市街化調整区域の税金は安い?固定資産税は?本当に安いのか検証してみた

市街化調整区域の税金は安い?固定資産税は?本当に安いのか検証してみた

市街化調整区域は本当に固定資産税が安いのか?

不動産税制の基礎知識から市街化区域との比較まで詳しく解説!

農地と非農地でどれくらい差が出るのか、リアルな数字を交えて検証しました。
不動産購入を検討中の方、必見です!

不動産にかかる税金とは?

不動産にかかる税金といっても、状況に応じて次のような税金がかかります。

大きく分けると、不動産を所有している時にかかる税金(固定資産税・都市計画税)、不動産の所有権移転(贈与、相続、売買)した時にかかる税金(相続税、贈与税、登録免許税、不動産取得税)、そして不動産売却により利益を得た時の所得税(譲渡所得税)の3種類が存在します。

それぞれについて解説します。

不動産を所有している時にかかる税金

土地建物(不動産)を所有している時に課税される税金は、固定資産税都市計画税です。

市区町村が不動産所有者に課税する税金で、一般には「固定資産税」と言われますが実際には「固定資産税」と「都市計画税」に分かれます。

最近届いた固定資産税課税明細書を見てみましょう、都市計画税の項目で課税されているハズです。

そして、都市計画税が課税されていない場合は・・・市街化調整区域都市計画区域外の土地となります。

固定資産税

固定資産税は、土地家屋などの固定資産を所有する人が、土地家屋が所在する市区町村に納税する税金です。

そして、固定資産税は税収の使途が定められていない税(普通税)なので、徴収した市町村により道路や学校、公園などの公共施設の設備のほか、介護・福祉などの行政サービスにも使われています。

固定資産税の納税義務者はその年の1月1日時点に登記簿や土地課税台帳に登録されている人で、4,000万人以上が納税しているそうです。
※総務省 地方税制度 固定資産税「納税義務者(税を納めなければならない人)」より引用

税額は固定資産税評価額の1.4%ですが、詳しくは後述します。

都市計画税

都市計画税は、目的の定められていない普通税の固定資産税と異なり、目的税(一定の政策目的を遂げるために税収の使途が定められている税)であり、市町村の発展のため、都市計画事業(道路、水路、公園などの公共施設の設備)や土地区画整理事業など一定の事業に使われます。

課税対象は市街化区域内に土地や家屋を所有する個人・法人であり、市街化調整区域や都市計画外は対象から外れています。

なお、都市計画税の税率は固定資産評価額の最大0.3%です。

不動産を取得した時にかかる税金

不動産を取得した時にかかる税金は次のとおりです。

相続税

亡くなった人が所有していた不動産を相続したり、死因贈与、遺贈を受けたりした人には相続税が課税されます。

計算方法は省略しますが、亡くなった人の遺産全額(プラスの財産もマイナスの財産の合算)が基礎控除額(3000万円+相続人の数✕600万円)を超えていれば課税対象となり、死亡日の翌日から10ヶ月以内に相続人全員で申告する必要があります。

税率は累進課税で最大55%です。
ただし、控除額があるため、実際の税率はもっと低くなります。
※国税庁:相続税のあらまし より

贈与税

生きている個人から生きている個人に不動産を贈与した場合、贈与を受けた側(不動産をもらった人)に贈与税が課税されます。

こちらも累進課税で最大55%ですが、基礎控除が3000万円の相続税と違い、贈与税の基礎控除は年間110万円しかありません。

そのため不動産の贈与を受けると多くの場合、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です。

不動産取得税

不動産取得税は都道府県が徴収する税金で、相続以外で取得した場合(贈与、売買、死因贈与)に課税されます。

税率は課税標準額の4%、住宅及び土地については3%(R9年3月31日まで)です。

また、以下のような特例もあります。

<住宅・住宅用地の特例> (昭和29年創設)
  • 新築住宅→1,200万円を控除
  • 中古住宅→住宅の新築時期により最高1,200万円を控除
  • 住宅用地:税額の減額措置(新築・中古とも)・・・150万円又は床面積の2倍の面積(200m2限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額を減額
<住宅用地・商業地等の特例> (平成6年創設)

住宅用地、商業地等の取得に係る課税標準としての価格を、評価額の1/2に圧縮

不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金(譲渡所得税)

不動産を売却するときに得る所得が譲渡所得です。
この所得には税金がかかり、譲渡所得税と呼ばれています。

具体的には「所得税」と「住民税」、2つの税金が発生し、2037年12月までは復興特別所得税も発生します。

土地の売却利益には譲渡所得税を支払う必要があるといわれますが、正しくは譲渡所得税という税金ではなく、土地の譲渡をした際の利益にかかる「所得税」「住民税」を総称して、譲渡所得税と呼ばれています。

計算式は次のようにして算出します。

1.譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 土地の売却(譲渡)代金) - (取得費 + 譲渡費用(=売るために直接かかった費用))

2.課税譲渡所得の計算式
課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除

3.税額の計算式
税額 = 課税譲渡所得 × 税率(所得税・住民税・復興特別所得税(平成25年から令和19年まで))

所得税の税率は次のとおりです。
短期譲渡所得(売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下の場合)の所得税は30%、住民税は9%で、合計39%の税率。

長期譲渡所得(売却した年の1月1日現在で所有期間が5年を超える場合)の所得税は15%、住民税は5%で、合計20%の税率。

印紙税・登録免許税

不動産売買で交わす売買契約書には、記載された契約金額の多寡に応じて収入印紙が必要です。

また、登録免許税とは不動産の名義変更時に法務局へ納める手数料で、売買であれば固定資産税評価額の1000分の20、相続などは1000分の4と決められています。

市街化調整区域は市街化区域より固定資産税が安い、は本当か?

結論から言いますと、「市街化調整区域の農地はめちゃくちゃ安い、農地以外(住宅地や更地)は少しだけ安い」です。

市街化調整区域の農地と農地以外について解説します。

市街化調整区域かどうかを調べたい方は、こちらの記事↓より!

市街化調整区域内農地の固定資産税は激安

市街化調整区域内農地は固定資産税評価額が激安です。

どのくらい安いかというと、周辺の市街化調整区域宅地の30分の1~100分の1程度です。

土地の課税評価額の評価方法は固定資産評価基準が決められており、農地は田・畑などの区分に応じて標準田・標準畑という基準となる田畑の価格を参考に、周辺農地の取引価格などを参考に評価されます。

周辺農地も市街化調整区域なので取引がほとんど無く、高くなる要素がありません。

※市街化区域農地については状況が類似する宅地を基準として評価されるので、それなりの評価額となります

市街化調整区域内の非農地は少しだけ固定資産税評価額が安い

意外かもしれませんが、市街化調整区域の宅地、更地(雑種地)などは市街化区域と固定資産税評価額はあまり変わりません。

農地は、市街化区域内農地とそれ以外のエリアの農地でそもそも評価方法が違いましたが、非農地にはそのような違いがありません。

そのため、非農地は市街化区域・市街化調整区域で評価額に大きな差はありません。

実勢価格(周辺の取引価格)での修正分があるくらいですが、1割もないでしょう。

都市計画税(0.3%)がかからない

市街化調整区域は市街化を抑制する土地のため、市町村の発展のための目的税である都市計画税は課税されません。

固定資産税は通常1.4%のため、都市計画税が0.3%と考えると毎年の税率は1.7%➡1.4%と2割程度安くなります。

もしも、課税標準額1000万円の市街化区域の宅地Aと市街化調整区域の宅地Bがあれば、宅地Aの1年間の固定資産税・都市計画税は17万円、宅地Bは14万円と3万円の差額が生じます。

同じ市町村内であれば基準となる標準宅地もあまり変わらず、固定資産税の課税標準額も大きくは違わないでしょう。

結論

市街化調整区域の固定資産税が安い、というのは実際は2割程度(非農地の場合)です。

市街化調整区域は都市計画税(0.3%)分が課税されていないため、その分、市街化区域よりも安くなります。

また、農地については市街化区域農地と市街化区域以外(市街化調整区域、都市計画区域外)での評価方法がそもそも違うため、比較にならないくらい安いです。

市街化調整区域の不動産購入を考えている方は参考にしてみてください。

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