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「市街化調整区域でも、本当に家が建てられるの?」
そう感じてこのページに辿り着いた方は多いはずです。
市街化調整区域は“建築NGエリア”というイメージが先行しがちですが、 実は愛知県独自の『既存宅地』という仕組みを使えば、誰でもマイホームを建てられるチャンスがあります。
この記事では、愛知県開発審査会基準第17号(既存宅地)を中心に、
- ✔ 建てられる土地・建てられない土地の見分け方
- ✔ 許可をスムーズに取る3ステップの手続き
- ✔ インフラ・費用の落とし穴とその回避策
初心者でもつまずきやすいポイントを図解&実例たっぷりで解説します。
読み終える頃には、「自分の土地で建てられるか・いくらかかるか」がはっきりし、一級建築士による間取りプランで次の一歩を踏み出せる状態に。
それでは早速、市街化調整区域のリアルな攻略法を見ていきましょう。
市街化調整区域とは?
市街化調整区域とは、ひと言でいえば「これ以上むやみに家や店を増やさないエリア」です。
都市計画法に基づき、都市の無秩序な拡大を防ぐために線引きされています。
「都市の外側にあるグリーンベルト」とイメージすると分かりやすいでしょう。
農地や森林といった自然を残し、インフラ負担の増大や環境破壊を抑える役割があります。
① 概要(どんなルール?)
- 原則:新築や開発はNG(建物を建てるには許可が必要)
- 農家住宅・公共施設など例外的にOKなケースもある
- 既存宅地・分家住宅など、条件を満たせば建てられる制度が用意されている
※都市計画法という法律で、例外に関する規定が書かれています(都市計画法第34条)
② 目的(なぜ設けた?)
目的は大きく3つあります。
- 自然環境の保護:農地・森林・生態系を守る
- インフラ負担の抑制:道路・上下水道などをムダに延ばさない➡市町村の負担軽減
- 秩序あるまちづくり:将来の都市拡大を計画的に進める➡都市部、農村部の住み分けがある方が、まちづくりは発展し易い(都市部と農村部が混在していると、効率的な発展が難しくなる)
③ 主な規制内容
秩序あるまちづくりのため、市街化調整区域内では以下の行為が原則禁止です。
- 住宅・店舗の新築、宅地造成
- 大規模な増改築や用途変更
- 工場・倉庫などの建設
ただし、次のような例外規定があります。
- 農家住宅(許可不要だが証明書が必要)
- 公益施設(病院・学校・福祉施設など)
- 既存宅地・分家住宅・やむを得ない自己用住宅など
→ 愛知県独自の「愛知県開発審査会基準」を満たせば建築可能
④ 誰が決める?(権限の所在)
区域指定や建築許可を出すのは都道府県知事が基本。
ただし、政令指定都市や独自基準を持つ市(名古屋市・豊田市など)は市長が許可権者です。
⇒ 「自分の土地が調整区域かどうか」「どの基準が適用されるか」は、
必ず市町村の都市計画課や県建設事務所で確認しましょう。
次章では、この区域でも建築を可能にする仕組み「既存宅地制度」を詳しく解説します。
市街化調整区域のメリット・デメリット
市街化調整区域のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
市街化調整区域には農地や森林といった自然の景観が多く残されています。
また、都市部へのアクセスが悪い、公共施設が不十分、利便性が低いため、地価が安い傾向にあります。
そのため、次のようなメリットがあります。
- 市街化調整区域は大都市近郊においても静かな環境を享受できる
- 自然と調和した生活環境を求める人にとって魅力的な場所
- 周辺環境の景観や生態系が保全されやすい
- 近隣の都市部に比べて土地を安価に入手しやすい
デメリット
一方で、建築や開発が規制されるため、通常の建築行為には許可が必要です。
したがって、手続きが煩雑である点がデメリットとして挙げられます。
例えば、既存宅地(基準第17号)のような要件に適合しない限り、建物を建てることができません。
市街化調整区域のデメリットは、次のようなものが代表です。
- インフラ(上下水道、道路など)の公共設備が不十分なことが多い
- 都市部に遠いため、日常生活の利便性が低い
- 希望の土地に家を建てられない可能性がある
- 建築には要件が必要で、許可手続きの費用がかかる(数10万円~200万円程度)
しかし、都市部に近いながらも自然豊かな環境で住めるメリットは大きく、市街化調整区域での建築を希望する方は多く存在します。
そのため、利用や居住を検討する際には、事前に詳細な調査と確認が必要です。
市街化調整区域で建物を建てる方法は?
市街化調整区域での建築は原則、禁止されています。
しかし、分家住宅などの要件を満たしていれば許可を受けて建築することができます。
ここでは、誰がどのような許可を下ろすか、どんな建物が建てられるかを解説します。
原則、建物の建築には許可(建築許可)が必要
誰が許可をする?
市街化調整区域の建築許可は、原則として都道府県知事が許可します。
また、前述の指定都市等(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市及び豊田市)並びに事務処理市(瀬戸市、半田市、豊川市、碧南市、津島市、刈谷市、安城市、西尾市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知立市及び田原市)では、市長が許可します。
許可権者リスト
なお、愛知県知事許可の市町村と相談窓口は下記のとおりです。東三河エリアについては、市町村窓口でも特定の曜日に相談を受け付けています。※要事前予約
市町村 | 審査・相談窓口 | 電話番号 |
尾張旭市、豊明市、日進市、 清須市、北名古屋市、 長久手市、東郷町、豊山町、 岩倉市、大口町、扶桑町、 愛西市、弥富市、あま市、 大治町、蟹江町、飛島村 | 尾張建設事務所建築課 (名古屋市中区三の丸 2-6-1) | (052)961-1845 |
常滑市、知多市、阿久比町、 東浦町、南知多町、美浜町、武豊町 | 知多建設事務所建築課 (半田市瑞穂町 2-2-1) | (0569)21-3316 |
高浜市、みよし市、幸田町 | 西三河建設事務所建築課 (岡崎市明大寺本町 1-4) | (0564)27-2735 |
蒲郡市、新城市、設楽町、 東栄町、豊根村 | 東三河建設事務所建築課 (豊橋市今橋町6) | (0532)52-1315 |
愛知県HP 開発許可申請等の審査・相談窓口 より引用
上記以外の市町村は、各自治体の建築課・都市計画課等に相談します。
許可を受ければ建物が建てられる
市街化調整区域内での建物の建設は厳格に規制されています。
しかし、一定の条件を満たす場合には許可を受けて建築が可能です。
この建築許可には、愛知県開発審査会基準第17号をはじめとする審査基準が適用されます。
基準では、建物の用途や規模、土地の条件などが細かく決められています。
また、利用者(建築主)についても規定されている点にも注意が必要です。
建築確認とは違う?
建築許可と建築確認は似ているようで異なる手続きです。
まず、建築確認は、建物の設計や構造が建築基準法に適合しているかを確認する手続きです。
一方、建築許可は、都市計画法に基づく申請であり、原則禁止されているものを特別に『許可』を受ける手続きです。
順番は、まず建築許可を取得し、その後で建築確認手続きを行うという流れです。
許可される、若しくは許可不要の要件
市街化調整区域で建築できる建物は下記の要件に該当するものです。
- 農家住宅
- 分家住宅
- やむを得ない自己用住宅
- 既存宅地
ここでは、代表的な要件について解説します。
農家住宅(許可不要)
農家住宅は、農家が農業を営むために必要とされる住宅等を指します。
これは、市街化調整区域の農家(漁業、林業も同様)の働き手のための制度です。
そのため、農家住宅を建てられる人は農家である要件を持っている人に限られます。
農家の要件を証明するためには、各市町村の農業委員会で発行される農家基本台帳が必要です。
詳しくは、各市町村の農業委員会で確認してください。
なお、「明日から農業やります」では農家基本台帳は作成されません。
従って、思い立っただけでは農家住宅を建てられない点に注意しましょう。
また、農家住宅の建築は許可不要ですが「許可不要の証明(都市計画法29条1項2号)」が必要です。
そのため、結局は証明書を請求する手続き(申請書、計画図面、位置図、現況測量図、公図、土地謄本、農家基本台帳等)を行ってから建築確認申請となります。
公益上必要な建築物及び日常生活のため必要な店舗等(都市計画法34条第1号)
都市計画法34条第1号では、公益上必要な建築物と地元の人たちの生活に必要な店舗等に関する許可要件が限定列挙されています。
たとえば公益上必要な建築物は、病院や学校、社会福祉施設です。
また、店舗等についてはコンビニ、薬局、メガネ屋、美容院、郵便局、学習塾などです。
この基準に書かれている店舗等は各都道府県知事が地域の実情に合わせた業種を列挙しており、許可権者ごとに違っています。
愛知県の市街化調整区域では、中古自動車販売店の建築許可は受けられない
なお、愛知県では中古自動車販売店は、34条1項に含まれていません。
実務をしていると、中古車販売店を市街化調整区域で行いたい方が沢山いらっしゃいました。。。
残念ながら、中古自動車販売店の店舗を建てたい場合は、既存宅地の購入を検討しましょう。
既存宅地であれば土地は高いものの、自己用店舗の建築は可能です。
また、自動車一般整備業(8911)、自転車小売業(5921)の店舗は可能です。
※()内数字は、日本標準産業分類(平成25年10月)の細分類番号です
34条第1項の業務用建物は農地転用して建築が可能
この基準に該当している業種であれば、農地転用しての建築も可能です。
農地であれば広い敷地を確保でき、駐車場も十分に確保できます。
この点は、市街化調整区域で事業を考えている事業者さんには有難いですね。
建てられる建物の審査基準はこちら→別表(法第34条第1号審査基準第2項第1号関係)
その他、地元に必要な施設など(都市計画法34条第2~13号)
地域のニーズに応じた施設や業務施設など、都市計画法の34条2号から13号に規定される条件を満たした建築物については許可が下りる可能性があります。ただし、これも個別に審査されます。そのため、あらかじめ相談することが重要です。各項目は以下のとおりです。
- 法第34条第2号 鉱物資源、観光資源の有効利用上必要なもの
- 法第34条第4号 農林水産物の処理等の施設 審査基準
- 法第34条第5号 農林業等の活性化のための施設
- 法第34条第6号 中小企業振興のための施設
- 法第34条第7号 既存工場と密接な関連を有する事業場
- 法第34条第8号 火薬庫
- 法第34条第8号の2 災害危険区域等からの移転
- 法第34条第9号 沿道施設と火薬類製造所
- 法第34条第10号 地区計画又は集落地区計画区域内の開発行為
- 法第34条第11号 条例で指定した土地の区域内において行う開発行為
- 法第34条第12号 市街化を促進するおそれがない等と認められる条例で定める開発行為
- 法第34条第13号 既存権利者の開発行為
市街化区域での建築にそぐわないもの、広い敷地が必要なものなどが該当します。
愛知県開発審査会基準(都市計画法34条第14号)
都市計画法第34条第14号(市街化区域では困難又は不適当であり、かつ市街化を促進させないもので、開発審査会の議を経たもの)は、住宅建築などについて、許可権者が決められる許可基準です。
愛知県の開発審査会基準については、次の項目で解説します。
愛知県開発審査会基準に該当する専用住宅
都市計画法第34条第14号による、愛知県の主要な基準は次のとおりです。
※主に、専用住宅が建築できる許可を紹介します
分家住宅(基準第1号)
分家住宅は、線引き前から存在する世帯の子・孫が新たに世帯を持って独立した(結婚等)場合に、認められる許可要件です。
属人性(誰が建てるかが重要)が必要な許可という特徴があります。
先祖代々住んでいる地元に家を建てる方であれば、許可を受けられる可能性があります。
また、農地でも建築可能であり、土地の所有状況によっては農振除外も可能です。
やむを得ない自己用住宅(基準第7号)
やむを得ない自己用住宅は、分家住宅と似ている許可です。線引き前から先祖が所有している土地を相続か贈与で自己所有しており、かつ、現在の住居が賃貸アパートや実家住みなどの場合、許可を受けて住宅を建てられる可能性があります。
また、大規模既存集落内に線引き前から住んでいる方であれば、土地(農地を含む)を購入して建築することも可能です。
相当期間適正に利用された住宅等の用途変更(基準第16号)
分家住宅や農家住宅など、属人性のある許可を受けて建てた建物を、所有者の事情(死亡、破産、競売等)により手放す(売却する)場合、「『所有者の変更』という意味での用途変更」を行う許可です。一方、買主側は現在住んでいるのが賃貸アパートや実家であれば大丈夫です。
(例)
売主側:事業に失敗して、昔建てた分家住宅を売却する
買主側:不動産を所有しておらず、現在は賃貸アパートに住んでいる
売主側はかなり深刻な事情が必要ですが、買主側は比較的緩い条件です。不動産情報ではたまに、このような事情の物件が出ています。
「愛知県開発審査会基準第16号許可が必要」という記載であれば、比較的購入のハードルが低く、お買い得かもしれません。
既存の宅地における開発行為又は建築行為等(基準第17号)
愛知県開発審査会基準第17号とは、市街化調整区域内の既存宅地における開発行為や建築行為についての基準です。
この審査基準では、宅地の特性や予定建築物の用途、規模などが審査され、一定条件を満たす場合に許可が下ります。
例えば、昭和45年11月23日以前から宅地であることや、50戸連たんの地域性を持つことなどが条件に含まれます。
愛知県開発審査会基準第17号(既存宅地)とは?
やっと、既存宅地の説明です。。。既存宅地の許可要件は、主に下記の3つの要件が重要です。
土地の要件
昭和45年11月23日以前から宅地であること
1つ目の条件は、土地が昭和45年11月23日以前から宅地として利用されていたことです。
途中で農地に地目変更されている場合や、昭和45年11月24日以降に宅地に地目変更した、いわゆる「新宅地」は既存宅地として認められません。
さらに、登記簿上は線引き前から宅地であったとしても、地目変更登記の申請日が昭和50年4月1日以降になっている場合は、登記簿以外に証明できる公的資料が必要です。
既存宅地かどうかは、土地の登記簿謄本の「地目」欄で確認します。
土地の登記簿で証明できない場合は、建物の登記簿謄本等で証明します。
建物が未登記で、当時あった建物も取り壊されている場合は証明が難しいです。
ただ、昭和45年当時の住宅地図や航空写真で証明する方法もあります。
「間違いなく昭和45年以前から建物があった」という場合には、専門家に相談しましょう。
50戸連たん(集落性)があること
既存宅地は、いわゆる「集落性」を持つ場所である必要があります。
集落性は感覚的なものになってしまうので、「50戸連たん」という明確な基準があります。
「連たん」の定義は17号の運用基準第2項に次のように規定されています。
※愛知県HPより引用
- 敷地間の最短距離がおおむね50メートルの距離をもって連続していること。
- 既に建築物がない宅地にあっても、連続しているものとみなす。
- 戸数の算定(延べ面積が30平方メートル以上のものに限る。以下、同じ。)にあたっては同一敷地に複数の棟があるときは、それぞれ算定し、共同住宅又は長屋にあっては住戸数で算定するものとする。
既存宅地の本申請時は市町村役場でもらえる白地図(2500分の1)に50戸連たんしているかを色付けして提出します。
また、事前相談時は住宅地図やグーグルマップでも可能です。
なお、「おおむね50m」については、1割程度(55mまで)緩和してくれます。(←ココ重要)
原則、申請地の面積が160㎡以上あること
申請地の面積は原則として160㎡以上です。
これは、最低限の居住環境を確保するためとされています。
また、分割が難しい場合など、状況によっては140㎡以上でも可能となります。
建てられる建物の用途
既存宅地で建てられる建物は、居住の用又は自己の業務用に限られます。
なお、原則、高さが10m以内という制限にも注意しましょう。
1 予定建築物の用途は次の各号の一に掲げるもので、居住の用又は自己の業務の用に供する
ものであること。
(1) 住宅、店舗等で建築基準法別表第2(い)項、(ろ)項又は(は)項に掲げるもの。ただし、床面積については適用しない。
(2) 事務所、倉庫又は工場(作業場を含む。以下、同じ。)。ただし、建築基準法別表第2 (る)項、(を)項(第5号及び第6号を除く。)又は(わ)項(第1号から第6号までを除く。)に掲げるものを除く。2 予定建築物の用途は次の各号に掲げる用途に供しないものであること。
引用:愛知県HP 開発審査会基準第17号
(1) 倉庫にあっては、建築基準法別表第2(と)項の準住居地域内において建築してはなら
ない規模以上の危険物の貯蔵等をするもの
(2) 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に規定する風俗営業及び性風俗
関連特殊営業等
専用住宅、共同住宅(居住の用に供する建物)
居住の用に供する建物は、専用住宅や共同住宅などです。
建築基準法別表第2では、住宅、住宅で事務所、共同住宅、寄宿舎又は下宿とされています。
居住の用に供する建物であれば、賃貸物件も建築可能です。
また、事業所の社宅・寄宿舎、大学の学生下宿であれば、審査会基準4号、5号を使えば農地でも建築できるため、有用です。
店舗等
店舗も条件を満たせば建築が可能です。
この場合、規模の制約や営業内容に関する制限があります。
特に風俗営業などの業種に該当する場合は許可が下りません。
事前に利用計画について十分に確認する必要があります。
事務所、倉庫又は工場
小規模な事務所や倉庫、地域に悪影響を及ぼさない規模や業種の工場についても建築が可能です。
これらは、地域の生活環境や景観に調和していることが求められます。
ただし、不適切な建築物が周辺環境を損なわないよう審査が行われます。
建てられない建物
貸事務所
貸事務所は、愛知県開発審査会基準第17号の条件には含まれません。
そのため、許可が下りず建築できません。
既存宅地でも、建築できるものは居住の用に供する建物か、自己の業務用(自分で使うため)のみとされているからです。
危険物の貯蔵等をする倉庫
危険物の貯蔵を目的とした倉庫の建築は認められません。
これは、市街化調整区域の住環境や自然環境を守るための重要な規定です。
また危険物は火災や事故のリスクが高く、住民の安全を確保するため厳しい制限が設けられています。
風俗営業等の建物
風俗営業等に該当する建物も建築を許可されません。
申請方法と手続きの流れ
ここでは、建築許可の申請方法と流れについて解説します。
家づくり全体の流れについては、こちらの記事をご覧ください。
相談先
愛知県開発審査会基準第17号の相談先は上述の愛知県の各建設事務所建築課(尾張、知多、西三河、東三河)です。また、市長が許可権者の場合は各市の建築課・都市計画課に相談します。
建築許可申請は専門的な知識や、作図の技術が必要です。
そのため、申請を依頼する予定であれば、事前相談から行政書士や建築士などの専門家に相談すると良いでしょう。
申請手順
事前相談
手続きをスムーズに進めるために、まず行うべきは事前相談です。
これにより、申請の可否や必要書類の確認が行えます。
事前相談では、第17号に関する要件について詳細なチェックが行われます。
17号許可であれば下記の資料を添付して事前相談します。
- 土地の登記簿謄本:線引き前から宅地であったことが確認できるもの
- 公図:土地の形状を描いた図面で、登記簿謄本と同じく法務局で取得できます
- 都市計画図:2500分の1の白図で、各市町村役場の都市計画課で購入できます。相談時点では、グーグルマップ等でも大丈夫ですが、50戸連たんを確認するため縮尺を必ず記載します。
建築計画の策定、最終決定
次に、建築計画を策定し、最終的な計画内容を確定します。
この際、予定している建物の用途や土地の広さ、地域の基準に適合しているかを慎重に検討します。
建築許可申請
必要書類を揃えたら、建築許可の申請を行います。
この申請には、事前相談資料に加えて、申請書、計画図(建物の平面図、立面図、配置図、排水計画図)を添付して、各市町村の窓口に提出します。
※各建設事務所でなく、市町村役場に提出する点に注意です
審査、補正等
提出された申請書類は、市町村窓口を経由して各建設事務所に届きます。
不備や補正が必要な点が確認された場合、申請者に指示があり、必要に応じて修正します。
許可完了
審査を通過すると、無事に建築許可が得られます。
この段階で正式に愛知県開発審査会基準第17号に基づいた許可が下りたことになります。
申請から許可までは通常、1ヶ月程度かかります。
確認申請、着工
建築許可が下りた後、施行前に建物の具体的な設計詳細を建築確認申請として提出します。
建築確認申請では、設計図が全て法的な基準に沿っているかを審査されます。
この確認が終わると、遂に着工が可能になります。
市街化調整区域内での建築は法律や規定が複雑なので、実際に工事を始める際も専門家にサポートを依頼することが重要です。
既存宅地の土地を買うのはリスクが高い?
「市街化調整区域=色々と面倒で危ない」というイメージを持つ方は少なくありません。
しかし、リスクを具体的に把握し、許可の可否を事前にチェックすれば、安心して購入・建築を進められます。ここでは既存宅地に潜む代表的なリスクと、その回避策をまとめました。
主なリスクと回避ポイント
- ① 建築許可が必須…既存宅地でも都市計画法34条14号に基づく許可が必要。
➡回避策: 市町村・県の都市計画窓口で事前相談→要件確認を行う。
本申請・図面作成は専門家へ依頼する(費用目安10〜20万円)。 - ② インフラ未整備…上下水道・都市ガスが来ていない地区が多い。
➡回避策: 上水道の有無・引込距離、浄化槽設置費などを事前見積りを行う。
予算取りで後悔しない。 - ③ 高さ・用途制限…原則高さ10m以内・居住用または自己業務用。
➡回避策: 間取りや屋根形状を調整し、共同住宅・自己店舗など認められる用途の範囲でプランを練る。
一般的な木造二階建てまでであれば、高さについてはほぼ問題ない - ④ 流動性リスク…用途制限ゆえ買い手が限定されがち。
➡回避策: 既存宅地は「共同住宅の建築が可能」「自然環境◎」など市場で訴求できる特徴を活かし、出口戦略を設計しておく。土地の広さが70坪以上であれば共同住宅の建築も検討できるため、売却時に有利になる。
これら4点を押さえれば、「想定外の費用が出て資金ショート」「許可が下りず着工できない」「購入後のトラブル」といった失敗はほぼ防げます。
ポイントは“許可の可否と追加コストを購入前に確認”することです。
それだけで調整区域=怖いという先入観は大幅に小さくなります。
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既存宅地でも条件を満たせば、敷地に合わせた理想のマイホームが建てられます。
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一級建築士に間取りを依頼する
既存宅地は売れない?実はそんなことはない
- 意外とニーズあり…「郊外で広い敷地を安く」「自然を楽しみたい」層が一定数存在。
- 価格も相場並み…誰でも購入できるため、需給がマッチすれば市街化区域並みの単価で取引されることも。
- 専用住宅は誰でも建築可…分家など属人要件と違い、既存宅地は居住用なら資格不要。購入ハードルが低い。
流通量こそ多くありませんが、立地・景観・広さがマッチすれば十分売買が成立します。
将来の売却を視野に入れるなら、道路幅員・上下水道管径・近隣の建築実績といったチェックを早い段階で行いましょう。
既存宅地を選ぶ3つのメリット
- ① 静かな環境…都市部の喧騒から離れ、朝は鳥の声・夜は星空といった暮らしが叶う。
- ② 豊かな自然…庭付き一戸建てや家庭菜園など、敷地を広く使えるのが魅力。
- ③ 条件次第で用途変更可…許可が下りれば共同住宅・自己店舗などへ転用できる柔軟性。
自然環境を楽しみつつ、広い敷地で趣味や子育てを満喫したい方には、既存宅地は十分検討に値する選択肢です。
許可条件やインフラ状況が不安な場合は、市町村都市計画課への事前相談と、調整区域案件に慣れた行政書士・建築士への依頼が最短ルートです。
無料相談を利用し、購入前に「許可OK・コスト把握」のチェックリストを完成させておきましょう。
愛知県開発審査会基準第17号の注意点
適用されない市もある
愛知県開発審査会基準第17号は愛知県知事許可若しくは事務処理市にのみ適用される基準です。
名古屋市や一宮市などは17号が適用されず、独自の基準となります。
同様の基準がある市町村
名古屋市、岡崎市、豊橋市、一宮市、豊田市、春日井市などの指定都市等は、独自の開発審査会基準があります。
しかし、同様の趣旨に基づいた基準を設けているので、考え方は同じで良いでしょう。
各市で基準を公表しているので、確認しておきましょう。
分譲地はまとめて開発許可を取っている場合がある
分譲地の場合、開発事業者があらかじめまとめて許可を取得しているケースがあります。
このような場合、既に許可を得た条件に基づいて建築が可能となります。
ただし、分譲地それぞれにおける条件や基準をきちんと確認し、建築計画に合致するかを検討することが求められます。
売買の場合には、契約前に開発許可番号等を確認して、土地購入後に「許可が下りてなかった」という事態にならないようにしましょう。
手続きに慣れた専門家に依頼する
市街化調整区域の土地で建築を行うには、申請手続きや必要書類の準備など専門的な知識が必要です。
不備があると時間がかかるだけでなく、最悪、許可が下りないこともあります。
そのため、許可手続きに慣れた専門家への相談や依頼をおすすめします。
建築士や行政書士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
誰に依頼すれば良いか分からない場合は、不動産業者に紹介をしてもらいましょう。
まとめ
愛知県開発審査会基準第17号を一言でいえば、「市街化調整区域でも、安全かつ計画的に家を建てるためのルール」です。押さえるべきポイントは次の4つだけ。
- 土地の確認:昭和45年11月23日以前から宅地であることを登記簿や古い地図で証明。
- 集落性の確認:周囲が50戸連たんしているか、役所へ持参する地図でチェック。
- 敷地と建物の条件:敷地160㎡以上、建物は高さ10m以内・居住用または自己業務用が原則。
- 許可の手順:事前相談→建築許可→建築確認の3ステップ。図面や申請は専門家に任せるとスムーズ。
この4点をクリアすれば、市街化調整区域でもマイホームや自己店舗を安心して建築できます。
迷ったら早めの事前相談が鉄則。
市町村の都市計画課または県建設事務所へ土地資料を持参し、「既存宅地かどうか」「許可が下りるか」をまず確認しましょう。
許可手続きや図面作成は、調整区域に強い建築士・行政書士に依頼すれば時間と手間を大幅に削減できます。
無料相談サービスを活用し、許可OK&コスト把握のチェックリストを完成させてから購入・着工へ進むのがおすすめです。