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新築マイホームの完成が近づくと住宅ローンや火災保険の手続きなど、やるべきことはたくさんありますが、その中でも特に重要なのが「建物表題登記」です。
この登記は、あなたの新居が確かにそこに存在することを公に証明するための、いわば「建物の住民票」のようなものです。
この手続きを怠ると建物の所有者を公に表示できないだけでなく、担保設定ができず住宅ローンが受けられない、相続登記ができないなど、さまざまなトラブルに発展するリスクがあります。
この記事では、新築マイホームを建てた人が必ず知っておくべき建物表題登記について、その重要性から手続きの流れ、必要な費用まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。
大切な資産を守り、安心して新生活をスタートさせるために、ぜひ最後までお読みください。
建物表題登記とは?その意義と重要性
住宅ローンを受けるにあたり、初めて聞く方も多い「建物表題登記」とはどのようなものでしょう。
建物表題登記の概要と基本的な役割
建物表題登記とは、新しく建築された建物について、その所在や種類、構造、広さといった基本情報を登記簿に登録する手続きのことを指します。
この登記は不動産の正確な情報を公式な記録として残すことで、法律上の保護を受けるための第一歩となります。
新築住宅の引き渡し後には、所有者であることを明確にするためにさまざまな手続きが求められますが、その最初の段階がこの建物表題登記です。
特に新築後に「やること」として忘れてはならない重要なステップといえます。
登記を怠ることによるリスク
建物表題登記を怠ると、さまざまなリスク・ペナルティが発生します。
例えば、法律上その建物が正式に登記されていない場合、所有権を主張することが難しくなるほか、売却や担保設定ができないというリスクがあります。
また、建物引き渡し後1ヶ月以内に建物表題登記を行わないと、不動産登記法という法律で過料が課せられる可能性があります。
このようなリスクを回避するためにも早めの手続きが不可欠です。
法律で義務化されている理由
建物表題登記が法律で義務化されているのは、不動産の正確な実態を公に記録し、所有権や取引を円滑に進めるためです。
(建物の表題登記の申請)
引用:不動産登記法e-Govより
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
新築住宅を例にとると、建物を登記することで所有者が誰で、どのような構造の建物かを証明できるため、住宅ローンの担保設定が可能になります。
他の登記種類との違い
不動産登記には、建物表題登記以外にも所有権保存登記や抵当権設定登記などさまざまな種類があります。
表題登記は不動産の構造や場所などの物理的情報を明確に記録する「最初の登記」と呼べるものです。
一方で、所有権保存登記や抵当権設定登記は権利に関する登記であり、表題登記が完了していないとこれらの手続きに進めない点で大きな違いがあります。
新築後に必要な手続きは多岐にわたりますが、建物表題登記はその基礎となる登記であるため、見落とさないよう注意が必要です。
実際の生活におけるメリット
建物表題登記を行うことで、日常生活において多くのメリットがあります。
例えば、住宅ローンを組む際には、表題登記が済んでいなければ抵当権設定登記を行えず、金融機関からの融資が受けられない場合がありますが、建物表題登記を行っていればスムーズな融資・担保設定が可能です。
また、家を売却する際や相続が発生した場合にも、建物表題登記がされていないと手続きが増えたり、そもそも売却ができなかったりというリスクがあります。
さらに、表題登記によって建物の所有情報が公式に明示(「公示力」と表現されます)されるため、トラブルの未然防止や資産の活用がスムーズになる点も重要なポイントです。
引っ越し後に控える住宅ローンの手続きを進めるためには、この表題登記がとても重要となります。
建物表題登記の申請手続きの流れと必要書類
建物表題登記の手続きはどのような流れで行われるのでしょうか?
ここでは、建物表題登記の申請手続きの流れと必要書類について解説します。
なお、新築から引き渡しまでの流れは下記の記事をご覧ください。
申請のタイミングと期限とは?
新築住宅を購入した後、建物表題登記は早急に行うべき重要な手続きの一つです。
具体的には、建物が完成し引き渡しを受けた時点から所有権を取得したとみなされ、そこから1ヶ月以内に建物表題登記を申請する義務があります。
この期限を過ぎてしまうと最大10万円以下の過料が科される可能性があるため、事前に計画を入れておく必要があります。
必要書類の一覧と詳細
建物表題登記は法務局へ申請を行い、下記の提出書類が必要です。
- 建物図面および各階平面図:新築時の建物の詳細情報を示す図面で、建物の配置・広さを正確に記載します
- 住民票:登記する建物の所有者として申請者の氏名や住所を証明する書類です
- 建築確認申請書及び検査済証:建物の種類・構造・所在・所有者を証明するための書類です
- 登記申請書:建物表題登記の申請内容を記載した申請書です
- その他:共有の場合には持分証明書(共有者全員で署名、実印の押印)+印鑑証明書が必要です
これらは新築物件に適用される一般的な必要書類で、不備がないように事前に確認しておきましょう。
法務局での申請方法を分かりやすく解説
建物表題登記の申請は、所有する建物が所在するエリアを管轄する法務局で行います。
申請手続きは以下の流れで進めます。
建物所有者本人が行う場合の手順を書いていますが、後述する通り専門的な知識が必要で、十分な知識なく手続きを進めた場合には登記の遅延・取り下げ再申請等により、住宅ローンが受けられなくなるリスクがあります。
- 必要書類の準備:住民票・建築確認申請書・検査済証を準備します。
※建築確認申請書・検査済証はハウスメーカー・工務店から受け取りますが、通常は建物引き渡し後に渡されるもののため、「建物表題登記に必要」なことをしっかり説明しましょう - 現地調査:建物が建築確認申請書どおりに建てられているか、床面積に参入する部分の構造は?(建築基準法と不動産登記法で床面積の考え方が違います)、建物の配置、同じ敷地に建物の登記が残っていないか等について現地で確認します
- 建物図面の作成:現地調査の内容を踏まえて、建物図面・各階平面図を作成します
- 登記申請書の作成:申請内容をまとめて登記申請書+添付書類をまとめます
- 法務局へ登記申請:管轄の法務局へ申請します。
申請方法は持参(法務局へ持ち込み)、郵送(レターパックプラスでの郵送)、オンライン申請の3つがあります。初めての方は、「法務局へ持参」が良いでしょう。申請前に事前相談(要予約)、受付時に書類の確認をしてもらうと安心です。 - 法務局の審査:登記官が申請内容を審査し、状況に応じて現地調査も行います。修正事項(補正)があれば、補正します。
- 登記完了:登記が完了すれば登記完了証が発行され、建築確認申請書等の原本が返却されます
土地家屋調査士以外が申請すると完了まで最低でも2週間~1ヶ月程度かかりますので、時間に余裕を持ち、申請に関する不明点があれば事前に法務局で確認しましょう。
土地家屋調査士とは何か?委任するメリット
土地家屋調査士は、不動産の表示登記に関する唯一の国家資格者です。
建物表題登記は通常、土地家屋調査士に委任することとなりますが、主なメリットは以下の通りです。
- 手続きがスムーズ:表題登記の専門家であるため、自分で行う時のようなミスや手間を削減できます
- 専門的な図面作成:登記手続きには専門的な知識・技術が必要であり、複雑な構造の建物・配置でも正確な図面を作成してくれます
- 期限内に完了できる:建物表題登記は住宅ローン実行時までに完了している必要がありますが、土地家屋調査士に依頼しておけば確実に、期限内に完了することができます
- 他の手続も漏れがない:土地の地目を宅地に変更しなければならない、以前の建物登記を消す(建物滅失登記)必要がある、などの手続もチェックしてくれるので、手続きに漏れがありません
土地家屋調査士への依頼には費用がかかりますが、何千万円という大きな借入れの成否に影響するので、基本的には土地家屋調査士に依頼することをお勧めします。
費用はいくら?建物表題登記にかかる料金の目安
ここでは建物表題登記にかかる費用について詳しく解説します。
申請費用の内訳と相場
建物表題登記の申請費用は、土地家屋調査士に依頼した場合の報酬と土地の公図・登記記録などの実費です。
一般的に、自分で申請する場合の費用は低額に抑えられる一方、土地家屋調査士へ依頼する場合は10万円から15万円程度の費用が発生することが多いです。
なお、建物表題登記については登録免許税(法務局に収める手数料)は不要です。
そのため、登記申請にかかる実費は土地の公図や登記簿謄本、そして住民票・印鑑証明書なので数千円程度です。
土地家屋調査士に依頼する場合の費用
土地家屋調査士に建物表題登記を依頼する場合の費用は、物件の規模や調査内容によって異なりますが、新築登記であればおおよそ10~15万円前後が相場です。
この費用には現地調査費や書類作成費、法務局への申請手続きの報酬が含まれています。
ただし、建て替えであれば以前の建物の登記記録が残っていて建物滅失登記(前の建物の登記記録を削除する手続)が必要だったり、農地の場合には農地転用(行政書士への依頼)・地目変更登記(田畑→宅地への変更)が必要だったりと、追加費用(1申請につき4~5万円前後)がかかる場合もあります。
初めて聞くと「そんなにかかるの?」と驚かれるかもしれませんが、土地家屋調査士のサポートを受けることでスムーズに登記・住宅ローン手続きが進むので、必要な費用と考えておきましょう。
申請を自分で行う場合の注意点とコスト削減
申請を自分で行う場合、土地家屋調査士への費用が不要となるため、コスト削減になります。
しかし、その分必要書類の準備や手続きに関する知識が必要な上、書類作成・取得・法務局への申請手続きに時間と手間がかかる点に注意が必要です。
また、申請書類の不備や法務局とのやり取りが遅れると、住宅ローン実行が遅れるなどのトラブルにつながるリスクもあります。
費用を抑えるために自分で進める際は、事前に十分な情報収集と準備を心がけることが大切です。
住宅ローンと登記費用の関連性
住宅ローンを利用する場合、建物表題登記は非常に重要な役割を果たします。
ローン契約には建物表題登記が必須であり、表題登記が完了していないと抵当権設定登記が行えません。
また、住宅ローン実行には最終的に司法書士による所有権保存登記・抵当権設定登記が発生するため、建物表題登記の費用を合わせると4,000万円程度の住宅ローン実行では40万円前後の登記費用がかかることになります。
そのため、登記費用は事前に見積もりを取って把握することが重要です。
新築後の引き渡し時に発生しやすい費用をまとめて計算しておくと、資金計画も立てやすくなります。
まとめ
新築マイホームを手に入れた後、最初に行うべき大切な手続きが建物表題登記です。
これは、新しく建てられた建物の所在地番、種類、構造、床面積、所有者といった基本情報を公的に記録する手続きであり、法律で義務づけられています。
この登記を怠ると、最悪の場合、最大10万円の過料が科される可能性があるほか、住宅ローンの融資が受けられなかったり、将来の売却や相続が困難になったりするリスクがあります。
申請は、建物の引き渡しから1ヶ月以内に、建物の所在地を管轄する法務局で行います。
申請には、建物図面、住民票、建築確認申請書などの書類が必要です。
手続きは自分でも行えますが、土地家屋調査士という国家資格者に依頼するのが一般的です。
土地家屋調査士に依頼すれば複雑な手続きをスムーズに進められ、住宅ローンの実行に確実に間に合わせることができます。
費用は10〜15万円程度が相場ですが、確実な手続きを考えると依頼する価値は十分にあるでしょう。
建物表題登記は、所有権保存登記や抵当権設定登記といった、その後の重要な手続きの基礎となります。
新築後の資金計画に含めて、早めに手続きを進めるようにしましょう。