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市街化調整区域に家を建てたいけれど――
「そもそも建築できるのか、どこに相談すればいいのかわからない」
「開発許可や建築許可って何?どれが必要なの?」
「分家住宅とか既存宅地って聞いたけど、自分に関係あるの?」
こうした疑問や不安をお持ちではないでしょうか?
市街化調整区域では原則として建物は建てられませんが、一定の条件を満たすことで建築が可能です。
ただし、制度が複雑で、自己判断で動くと時間も費用も無駄になるリスクが高くなります。
本記事では、市街化調整区域で建築許可を得るための手続きを7ステップで整理し、以下のポイントをわかりやすく解説しています。
- 建築許可取得までの具体的な流れと必要書類
- 愛知県の実務に基づく手続きのコツや書類サンプル
読み進めることで、制度の全体像だけでなく、自分の土地で本当に建てられるのか、どう動けばいいかが具体的にイメージできるでしょう。
最後まで読むことで、失敗せずに次の一歩を踏み出す準備が整います。
ぜひ、じっくりご覧ください。
市街化調整区域・建築許可の基礎知識
市街化調整区域では新たな建築は原則禁止ですが、34条各号の要件に該当すれば、都市計画法第43条に規定されている「建築許可」(または都市計画法第29条の開発許可)受けて、新たな建物を建築できます。
1-1. 市街化調整区域とは?区域区分と建築許可
都市計画区域は「市街化区域」「市街化調整区域」「未線引き区域」の三つに区分され、市街化調整区域は“市街化を抑制すべき区域”として原則開発・建築が制限されます。
ただし、都市計画法第34条に規定されているような「地域の公益施設」や「分家住宅」などであれば、建築許可を受けた上での建築が認められます。
そこでまずは、自分の土地がどの区域かを市区町村の都市計画課で確認することが第一歩です。
1-2. 市街化調整区域は面積に関係なく開発許可(または建築許可)が必要
調整区域で住宅を建てる場合、用途が34条各号の要件(分家住宅・既存集落の店舗など)に当てはまれば開発許可を取得し、その後に建築確認へ進みます。
開発行為を伴わない小規模建築物であれば43条の建築許可のみで足りるケースもあります。
※詳しくは後述します
許可権者は県知事(指定都市では市長)で、愛知県の標準処理期間は都市計画法第29条(開発許可)が33日と示されています。
引用:愛知県行政手続情報案内システム 開発行為の許可より
豊田市では建築許可30日、開発許可60日と許可に当たり開発審査会の議を得る必要がある申請されており、
1-3.開発許可と建築許可の違い
開発許可(都市計画法第29条)と建築許可(都市計画法第43条)はどちらも建物建築の際に必要な許可手続きですが、原則は開発許可を受けるものとされています。
しかし、市街化調整区域すべての建築で開発許可が必要となると一戸建てや造成の無い分譲地など全てで着手・完了検査が必要となり、役所が管理しきれなくなってしまいます。
そのため造成の無い小規模な建築については例外とし、建物のみの許可、建築許可(都市計画法第43条に規定)だけで良いです。。
建築許可になるか開発許可になるかは、愛知県知事許可エリアであれば「土地の切盛り(切土・盛り土)が30cm未満」は建築許可、「土地の切盛りが30cm以上」であれば開発許可としています。
他の市町村・都道府県では違った基準があるため注意しましょう。
※例:安城市は1m以上の切盛りで開発許可、名古屋市は区画整理済みかどうか+区画・形状変更の有無で判断されます
本記事では、土地の切盛り30cm未満の「建築許可」を想定しております。
1-4. 全国の調整区域面積と人口比【令和2年都市計画現況調査】
令和2年調査によると市街化調整区域の面積は376万haで都市計画区域総面積1,024万haの36.7%を占めます。
市街化調整区域の常住人口は約1,051万人で、都市計画区域人口の8.7%にとどまります。
※引用:国土交通省 令和2年都市計画現況調査 都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況より
1,000万人以上が市街化調整区域に住んでいることになりますが、どう感じるでしょうか?
意外と少ない?意外と多い?
ただ、市街化区域に比べて人口密度が低いために道路や上下水道の延伸コストが高く、自治体が許可審査を慎重に行う背景にもなっています。
1-4. 制度が複雑と感じる声が多い理由
開発許可・建築許可については自治体の手引きがウェブ上に掲載されていますが、29条・43条の区別や必要書類が分かりにくいとの声も多くあります。
豊田市の手引きでも“補正期間は標準処理期間に含まれない”と明記されており、書類不備で期間が延びやすい点が課題です。
書類・図面に慣れていない方は無理せず、行政書士などの専門家に相談しましょう。
市街化調整区域で建築許可が「不要」か「必要」かを自己診断する判定フローで手戻りを防ぐ
建築希望エリアが市街化調整区域だった場合、許可区分(分家住宅か?既存宅地か?など)を早期に把握できれば、設計費や時間のロスを大幅に削減できます。
本章では許可不要の典型3ケースと、許可が必要な5類型を整理します。
2-1. 許可不要となる3ケース早見表
開発許可不要(建築許可も不要)とされるケースは、下記の3つです。
※都市計画法第29条各号に記載(e-GOV 法令検索より)
- 災害復旧で元の位置・規模に建て替える場合:都市計画法第29条第1項10号
- 公益上必要な建築物の一部:都市計画法第29条第1項第3号(駅舎、図書館、公民館、変電所など)
- 農林漁業用倉庫や農家住宅など第一次産業用建築物:都市計画法第29条第1項第2号
※ただし倉庫を住宅に用途変更する際は新たに許可が必要
個人の方が関係するものは、3つ目の農家住宅でしょう。
他の2つは国や地方自治体が主体となって行う事業が対象です。
農家住宅について詳しく知りたい方は、下記の記事を参照してください。
農家住宅の解説記事はこちら
2-2. 建築許可が受けられる代表的な4パターンと判断基準
市街化調整区域で建築できる(建築許可を受けられる)代表的な4パターンは次のとおりです。
- 分家住宅(専用住宅のみ)
- 既存宅地(専用住宅、店舗、事務所等)
- 34条11号指定区域(専用住宅、店舗等)
- 周辺住民サービス(コンビニなどの店舗、病院、学校等)
各パターンの要件は次のとおりです。
分家住宅(専用住宅のみ)
分家住宅は各都道府県の審査基準に書かれている、市街化調整区域で専用住宅を建築する代表的な基準です。
愛知県開発審査会基準第1号の場合、市街化調整区域決定前(愛知県は昭和45年11月23日以前)から存在する世帯の子・孫で、結婚など市街化調整区域で住むためのやむを得ない事情があれば許可を受けられます。
建築予定地が親・祖父母の所有地の場合(一般分家住宅)と新たに土地を購入する場合(大規模分家住宅)で基準が少し変わります。
※どちらも愛知県開発審査会基準より抜粋しておりますので、建築予定地を管轄する許可権者の基準を確認してください
一般分家住宅の基準
- 建築予定地を市街化調整区域決定前から親・祖父母が所有している
- 建築主が結婚している
- 他に建築できる土地が無い(特に、市街化区域に利用していない土地があると✕)
※親・祖父母が持っている場合もNG - 敷地は500㎡以内(500㎡を超える場合は開発審査会の許可が必要なものの、通常は認められない
大規模分家住宅の基準
- 市街化調整区域決定前から現在まで、建築予定地周辺の市街化調整区域に親・祖父母が継続して居住している
- 建築主が結婚している
- 他に建築できる土地が無い(特に、市街化区域に利用していない土地があると✕)
※親・祖父母が持っている場合もNG - 敷地は500㎡以内(500㎡を超える場合は開発審査会の許可が必要なものの、通常は認められない
分家住宅は市街化調整区域に昔から住んでいる世帯の子・孫であれば多くのケースで該当します。
親・祖父母が昭和40年代から市街化調整区域に住んでいる、市街化調整区域の土地を親・祖父母が持っているという場合は、一度、分家住宅が建築できるかどうか調べてみると良いでしょう。
既存宅地(愛知県開発審査会第17号)
既存宅地は線引き告示日前(愛知県は昭和45年11月23日以前)から宅地利用されていた土地であれば、住宅や事務所、店舗など比較的多くの用途の建物を建築できます。
既存宅地も愛知県内の市街化調整区域で多く利用されている要件です。
要件も分家住宅程厳しくなく、土地の要件があれば誰でも買って建てられるため、土地の相場も市街化区域並みのことが多いです。
市街化調整区域に親・祖父母が住んでいたといった事情が無い方は、既存宅地の土地を探してみましょう。
都市計画法第34条11号指定区域(岩倉市、新城市等)
愛知県では都市計画法第34条11号の指定区域を条例で岩倉市・新城市に定めています。
この指定区域は、一定の条件下で開発行為を許可する制度です。
この制度の適用範囲は、市街化区域と一体化した生活圏を形成し、おおむね50以上の建築物が連続する市街化調整区域の一部が指定されます。
指定された区域では専用住宅だけでなく、共同住宅や店舗なども建築が可能です。
また、農地を転用できる点でも強力な要件です。
周辺住民サービス(コンビニなどの店舗、病院、学校等)
市街化調整区域は建築が制限されているものの、昔から住んでいる人もいるため、住民のための店舗、病院、学校などの建築が認められています。
一般に「周辺住民サービス」と言われる要件で、店舗や病院を建てたい方にはお勧めです。
こちらも農地転用しての建築が可能ですが、面積要件(ほとんどが500㎡以内)に注意が必要です。
建築できる業種はコンビニ、薬局、理容室、自転車屋など多岐に渡りますが、愛知県の基準では自動車販売店などが無い点を知っておきましょう。
参照:愛知県HPより引用 別表(法第34条第1号審査基準第2項第1号関係)
市街化調整区域 建築許可取得までの7ステップと期間の実例
許可取得には標準処理期間だけでなく補正対応や農地転用手続きも含めると3〜6か月かかるのが一般的です。
本章では7ステップを時系列で整理し、日数の相場を示します。
Step1 事前相談と必要資料準備
事前相談には各市町村の都市計画課、または建設事務所建築課等に公図・登記事項証明書・都市計画図(グーグルマップでも可)を持参します。
分家住宅であれば市街化調整区域決定前の世帯(親または祖父母)と建築主の関係が分かる家系図を書いていくと相談がスムーズです。
既存宅地の場合は、事前に法務局で手書きの閉鎖登記簿(法務局のコンピューター化前の登記簿謄本)を取得して持参しましょう。
既存宅地かどうかは、市街化調整区域決定日~現在までの地目で判定するため、これらの資料が必要です。
まずは担当者と簡単な相談を行い、更に必要資料を揃えて仮の見込みをもらうまでが事前相談となります。
これを怠ってしまうと、分家住宅や既存宅地の要件が無い土地で計画を進めてしまい、建築できないことが後で判明して、設計費用などが無駄になる恐れがあるので注意してください。
こういった事態を防ぐために、事前相談は最優先で行ってください!
Step2 建築プラン決定
事前相談が完了すれば、ハウスメーカー・工務店と建築について打ち合わせを進め、建築プランを決定します。
建築許可申請には建物の配置図・平面図・立面図・排水計画図が必要になるため、建築許可申請までに建築プランの決定をしなければなりません。
このように建築プランが決まっていないと手続きが進まないため、スケジュール上とても重要です。
Step3 境界確定測量
建築プランの打ち合わせと同時進行で、建築予定地の境界確定測量も行います。
建物を建築する際は、ブロックなどの外構工事も一緒に進めるため、境界を明確にすることをお勧めします。
また、敷地が広い場合は適切な広さ(分家住宅の場合は500㎡以内)に分筆が必要です。
境界確定測量は2ヶ月が最短目安で、面積や立会い数によって長期化します。
Step4 申請書類作成
建築プランが決定し、境界確定測量・土地分筆登記が完了すれば、建築許可の申請書類を作成します。
土地が農地の場合は農地法の許可申請書類、側溝の敷設、排水経路のための道路占用許可等が必要であれば、各種申請書類も作成します。
建築許可の必要書類は、申請内容によって変わります。
ここでは愛知県知事許可の場合の申請書類を紹介しています。
愛知県知事許可(日進市、弥富市、みよし市、蒲郡市等)、事務処理市(半田市、安城市、刈谷市、稲沢市、豊川市等)、特定市(名古屋市、豊橋市、岡崎市等)の詳細については下記の記事でご確認ください。
許可権者を調べる
分家住宅の建築許可に必要な、申請書類一覧(愛知県知事許可の場合)
分家住宅であれば次の書類が必要です。
引用:愛知県尾張建設事務所HP 開発許可等の申請図書について 審査会基準第1号(分家住宅)
建築許可申請書は下記のようになります。
※分家住宅の場合、2の「工場(〇〇製造業)」が「一戸建ての住宅」になります
実際には正本・副本(返却用)・市町村用と3部必要です。
引用:愛知県尾張建設事務所HP 記入例について
添付書類の中でも敷地現況図は通常の建築図面と違った内容も必要なため、作図は専門的な知識のある行政書士・建築士に依頼しましょう。
付近見取り図については相談時はグーグルマップなどで大丈夫ですが、申請時には各市町村の都市計画課等で、
「縮尺2500分の1の都市計画図(白地図)」を準備しましょう。
分家住宅の建築許可ではその他、家族関係の分かる戸籍謄本や住民票、不動産に関する所有地等一覧表(名寄せ台帳)の添付が必要です。
基本的にはこちらもお住まいの市町村役場で取得できます。
既存宅地の建築許可に必要な、申請書類一覧(愛知県知事許可の場合)
既存宅地(愛知県開発審査会基準第17号)の申請書類一覧はこちらです。
引用:愛知県尾張建設事務所HP 開発許可等の申請図書について 審査会基準第17号(既存宅地)
こちらも必要書類は分家住宅とあまり変わりませんが、戸籍等の代わりに「線引き以前宅地の証明」が必要です。
事前相談の際に必要となる書類なので申請時には手元にあるはずですが、登記簿謄本から確認できる場合は、登記簿謄本(コンピューター化前の閉鎖登記簿+現在の登記簿謄本)だけで大丈夫です。
Step5 本申請と手数料、補正対応
愛知県知事許可エリアの場合、建築許可申請は愛知県の各建設事務所ではなく、建築地のある市町村役場の建築課等で受付されます。
申請書類の流れ
本申請した書類は、下記の流れに沿って処理が進められます。
①各市町村の窓口で受付
各市町村の窓口(建築課等)で受付され、基本的には最低限の内容(申請書の日付や申請者の確認、排水承諾等の要否)が確認され、不備があれば補正連絡が申請人に入ります。
なお、農地の場合には農地法の許可申請(農地法第4条または第5条の転用許可申請)も同時に申請しておかなければなりません。
最終的には農地法・都市計画法が同時許可になるため、受付も基本的に同時に行います。
そして、農地転用の受付は月1回の締切日があるため、これを失念していると許可が1ヶ月遅れてしまいます。
絶対に締切日は事前確認しておきましょう。
農地転用の締切日を確認する
②各建設事務所へ進達(申請から1~2週間)
市町村の処理が完了すれば、管轄の各建設事務所へ進達(市町村から愛知県へ書類を渡す)されます。
愛知県の担当者の定期巡回(1週間に1回)の際に回収されるようです。
③建設事務所の担当者が申請内容を審査する(進達から1週間程度)
建設事務所の担当者は、申請書類を受け付けると1週間程度で審査します。
ここで申請書類・申請図面の不備や不足といった修正内容があれば、申請人に「補正連絡(指摘事項を修正しなさいという連絡)」を行います。
④補正対応(申請書類、申請図面の修正)
完璧な申請書を出したと思っていても、なかなか補正はゼロになりません。。。
指摘事項が多いポイントは次の内容です。
- 申請書表紙の記載ミス:「実測面積」の書き忘れ(登記簿の面積を書いている)、地目の記載漏れ等
- 添付書類の期限切れ:戸籍謄本・登記簿謄本等はすべて発行から3ヶ月以内のものが必要ですが、事前相談から時間が経過していると3ヶ月過ぎてしまい、忘れて添付してしまうことがあります
- 理由書の不備:「建築主(申請人)が何年に結婚して、所有地は〇〇があって~~」といった理由書を事前相談時点から提出しますが、担当者から『申請時にはココを修正しておいてください』という指摘を忘れて、修正前のまま出して補正を受けることが多々ありました
- 平面図・立面図:平面図の方位、立面図の「最高の高さ」が抜けているとの指摘がダントツで多いです。
建築確認用の図面では平面図の方位が不要なため、建築用の図面をそのまま出してしまうと補正を受けます。
また、「最高高」なども、「最高の高さ」と書くように指摘されます。お役所ですね!! - 敷地現況図のミス:方位が抜けている、「造成計画が盛り土30cmを超えているけど間違いですよね?(30cm以内に収めて描き直せ)※30cmを超えていると開発許可になり、出し直しになる」、建物の大きさが違う(直前で平面図が変更になるとよく起こる)、土地の寸法が違う(小数点第三位の処理によって変わることもある)
このような細々した補正が来ますが、最優先で補正しておかないと許可が進みません。
また、近年は「〇〇日までに補正完了してください」という指示も入ります。
Step6 建築許可証の受け取り
補正が無事に完了すると、農地法の手続が無い場合は補正後1週間程度、農地法の許可を同時申請している場合は農地法の許可完了と同日で建築許可証が発行されます。
前者の場合、早ければ申請から許可証発行まで1ヶ月程度、後者は2ヶ月程度となります。
農地以外(宅地、雑種地等) | 農地の場合(田、畑) | |
締切日 | 原則、締切日無し | 毎月1回の締切日有り |
処理期間 | 約1ヶ月 | 約2ヶ月 |
例(農地転用が毎月末締切日の場合) | 6月30日に申請 7月30日頃に許可完了 ※補正等がスムーズに進んだ場合 | 6月30日に申請 8月25日~31日頃に許可完了 ※農地法も同時許可 ※補正等がスムーズに進んだ場合 |
建築許可証が発行されれば、これで一安心です。
なお、建築許可証は各建設事務所または市町村役場で受領することができます。
各建設事務所での受領は許可証発行後すぐに受領可能というメリットがありますが、建設事務所が遠い場合には大変です。
市町村役場での受領はそういった移動は不要ですが、建設事務所から市町村役場に届くまで1週間~2週間のタイムラグがあります。
基本的には各建設事務所で受け取りがベストでしょう。
Step7 建築確認・工事・完了検査
建築許可証があれば、後は市街化区域と同様、建築確認申請➡着工➡建物完成➡完了検査(建築基準法のみ)➡引き渡し、となりマイホームに入居できます。
愛知県で建築許可を取得するための費用ガイド
愛知県では開発許可・建築許可ともに、敷地面積と目的に応じた手数料が設定されています。
また、建築許可申請を行政書士等に依頼した場合は報酬が発生するので、それらの費用を解説します。
4-1. 愛知県に収める手数料
分家住宅などで一戸建ての(自己居住用)住宅を建築する場合、敷地面積が0.1ha(1,000㎡)未満の手数料は次のとおりです。
※引用:愛知県HP 開発許可申請等の手続 許可申請等手数料(平成13年4月1日改正)より
手数料(円) | |
建築許可(造成が30cm以下) | 7,300 |
開発許可(造成が30cmを超える) | 9,200 |
なお、手数料は愛知県証紙での納付のみですが、申請する各市町村役場で販売しています。
4-2. 建築許可申請等にかかる行政書士の報酬
行政書士の報酬は自由化されているため、建築許可申請にかかる報酬額は事務所によって違いますが、令和2年度の行政書士会の調査結果によると、分家住宅・既存宅地の区別がありませんが、平均で20万円前後のようです。
私が勤めていた事務所では、既存宅地の建築許可が15~20万円、分家住宅の建築許可が30万円前後でした。
また、農地法許可申請は10万円前後が多いようです。
その他、土地改良区の除外手続き・道路占用許可申請等の報酬も必要となります。
4-3. 測量費用
測量費用には2種類あり、現地の高さ・ブロックなどを測る現況測量(5~10万円程度)と、境界立会を行う境界確定測量(50~60万円程度)で費用が大きく変わります。
ただ、分家住宅の建築であれば現況測量だけでなく、土地を500㎡以内に分ける土地分筆のための確定測量も必要となります。
そのため、現況測量のみであれば5~10万円、確定測量・分筆登記を入れると70万円前後の費用が必要です。
4-4. 実費
建築許可においては、実費も高額になる場合があります。
主な実費は下記のとおりです。
申請手数料
上述した愛知県に収める手数料で、基本的には7,300円です。
戸籍、名寄せ台帳等(分家住宅の場合)
分家住宅の場合には、家族関係を証明するための戸籍謄本等が必要です。
祖父母が所有していたといった場合には祖父母までの戸籍謄本が必要となるため、1通450円(戸籍謄本)が建築主・両親・祖父母のもので3通、住民票、名寄せ台帳等で数千円かかります。
申請用の土地登記簿謄本・公図、閉鎖登記簿(既存宅地)
既存宅地の場合は土地の閉鎖登記簿が必要です。
こちらは法務局で取得するもので1通600円、過去に土地改良や合筆登記が行われているとその前後の関係土地まで取得するので、多い場合には1万円近くかかることもあります。
また、申請地の現在の登記簿謄本・公図も必要です。
土地改良区の手数料
申請地が農地の場合は、農地転用許可申請に土地改良区の意見書が必要となり、意見書発行のための手数料が発生します。
1㎡あたり10円~450円程度必要で、複数の土地改良区の受益地になっている場合は高額になります。
たとえば、200円/㎡のA土地改良区と450円/㎡のB土地改良区の受益地になっていた場合、100坪(330㎡)の転用に必要な土地改良区の意見書取得の手数料は下記のようになります。
330(㎡)✕(200円+450円)=214,500円
なんと、20万円を越えました!意外と高いのです、皆さん驚かれる気持ちもとても分かりますよね。
ただ、この費用を納めないと農地転用の申請ができないので、支払う必要があります。
その他排水承諾で費用がかかる場合(豊田土地改良区であれば5万円)もありますので、土地改良区の費用は事前にしっかりとチェックしましょう。
結局、建築許可には合計いくらかかるの?
330㎡の農地について、建築許可を受ける場合の費用概算は次のとおりです。
※この数値は参考値です。相場ではありませんので、必ず依頼する行政書士等に見積もりを依頼してください
報酬(円) | 実費(円) | 合計 | |
建築許可 | 300,000 | 7,300 | 307,300 |
農地転用許可申請 | 100,000 | 100,000 | |
土地改良区意見書 | 60,000 | 214,500 | 274,500 |
排水承諾手続き | 50,000 | 50,000 | 100,000 |
確定測量・分筆登記 ※分筆登記の登録免許税 2,000円と設定 | 600,000 | 2,000 | 602,000 |
現況測量 | 100,000 | 100,000 | |
消費税(報酬✕10%) | 121,000 | ||
総計 | 1,331,000 | 273,800 | 1,604,800 |
なんと、約160万円となりました!
「親の農地で安く建てられると思ったのに高い!!」
と思われた方がほとんどかもしれませんが、ここは市街化調整区域です。
通常、「市街化調整区域」では家は建てられません。
本来「家を建てられない土地」が、160万円で「家を建てられる土地」に変わったと考えるといかがでしょうか?
100坪の土地が160万円(坪当たり1万6千円)で手に入ったことになります。
これをメリットと考えるか、デメリットと考えるかは状況次第かと思います。
もしもメリットと考えられるのであれば、地元の工務店などに相談してみましょう。
調整区域の建築を相談したいけど、地元の工務店に知り合いがいない
市街化調整区域などの建築は地元ルールを把握している工務店などがお勧めです。
しかし、工務店に付き合いがない、購入したい土地に知り合いが少ないといった場合はできるだけ沢山の建築会社・工務店に一社一社ホームページからの資料請求が必要です。
そこで、ハウジングバザールであれば一括で建築会社の資料・間取り作成・見積もりの取得が可能です。
手間を最低限にして、気に入った工務店と打ち合わせをすれば市街化調整区域でも安心して建築できるでしょう。
市街化調整区域での建築を考えているかたは、ここから一括資料請求をしてみましょう。
地元の工務店に一括資料請求する
まとめ
市街化調整区域で建物を建てるには、例外要件の確認から許可取得・工事完了までの全体像を押さえ、時間とコストのロスを最小化することが肝要です。
- 市街化調整区域は原則建築禁止だが、都市計画法34条各号(分家住宅・既存宅地・周辺住民サービス等)に該当すれば建築許可・開発許可で建築可能。
- 造成が30 cm未満なら建築許可(43条)、30 cm以上なら開発許可(29条);愛知県の標準処理期間は33日だが、補正対応や農地転用を含めると実務上は3〜6 か月が目安。
- 許可取得は〈事前相談→プラン決定→境界測量→書類作成→本申請・補正→許可証受領→建築確認・工事〉の7ステップで進む。各段階の遅延が全体スケジュールに直結する。
- 費用は手数料・測量・農地転用・土地改良区負担金・専門家報酬などが重なり、農地の場合は総額100万円超になるケースも少なくない。
- 手戻りを防ぐには早期に許可区分を自己診断し、分家住宅・既存宅地の要件や土地改良区コストを確認したうえで行政書士や地元工務店に相談するのが安全策。
この記事を参考に、まずは市区町村へ事前相談を行い、必要書類と費用感を把握したうえでハウジングバザール経由で地元工務店に一括資料請求し、最短ルートでマイホーム計画をスタートしましょう。