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名古屋市内に既存宅地は存在しない!?愛知県の既存宅地の意外な事実

名古屋市で既存宅地に近い許可を受けて家を建てるイメージ その他の許可

愛知県の既存宅地とは

愛知県の既存宅地とは、市街化調整区域で建築許可を受けられる要件のひとつです。この制度は愛知県知事が許可を下ろす市町村(日進市、あま市、武豊町、蒲郡市など)、若しくは稲沢市・豊川市などの事務処理市にのみ適用されます。

そして、名古屋市や豊橋市など一定以上の規模の市では独自の基準が設定されています。

まずは、愛知県開発審査会基準第17号「既存宅地」について説明します。

既存宅地(基準第17号)の要件

愛知県開発審査会基準第17号では、昭和45年11月23日以前に宅地として利用され、昭和50年3月末までに地目変更が登記された土地が対象です。この要件を満たす宅地は、市街化調整区域内でも建築が許可されることがあります。また、既存宅地の要件により建築された住宅賃貸物件も存在します。

市街化調整区域でも共同住宅・事務所の建築や宅地分譲が可能

既存宅地は許可を受けた人・法人しか使えないといった制限(属人性)がないため、市街化調整区域内でも許可が下りれば共同住宅・事務所の建築や宅地分譲が可能です。開発許可若しくは建築許可が必要なものの、自由度が高いために市街化区域の土地と変わらず、比較的価格が高い物件が多いです。

既存宅地(基準17号)の要件

基準17号に適合する既存宅地の主な要件は以下です。

  • 昭和45年11月23日以前から宅地として利用されていること
  • 昭和50年3月末までに宅地への地目変更登記が申請されていること
  • 法律で定められた他の基準を満たしていること
  • 50戸連たん(集落性)があること

この要件を満たし、愛知県の建設事務所若しく事務処理市の建築課等で事前相談して見込みが取れれば、許可を受けて建築が可能です。

独自に市街化調整区域の立地基準を持つ6つの市

愛知県内には、独自に市街化調整区域の立地基準設定できる市が6つあります。それぞれの市について解説します。

名古屋市(指定都市)

名古屋市は、指定都市として独自の市街化調整区域の基準を設けています。市街化調整区域内でも特定条件を満たした地域では建築行為が許可されています。平成12年の都市計画法改正で既存宅地制度は廃止されましたが、平成14年に名古屋市独自の開発許可基準が条例で定められました。これにより、市街化調整区域でも特定の用途で建築が可能です。

豊橋市、岡崎市、一宮市及び豊田市(中核市)

豊橋市、岡崎市、一宮市及び豊田市は、中核市としてそれぞれ独自の市街化調整区域基準を設けています。地域の実情に合わせた基準が規定されています。その基準を満たした建物は許可を受けて建築可能です。

春日井市(施行時特例市)

春日井市は、施行時特例市として独自の市街化調整区域基準を設定しています。春日井市では、既存宅地でない土地でも特定条件を満たせば建築が認められることがあります。市街化調整区域での建築は厳しく管理されていますが、市民のニーズに応じた柔軟な対応も行われています。

名古屋市の既存宅地に近い制度

名古屋市は愛知県開発審査会基準の適用はありませんが、名古屋市が設定した既存宅地に近い許可基準があります。また、他の中核市、特例市についても簡単に説明します。

名古屋市内の市街化調整区域で許可を受けるためには、事前相談、事前審査、32条協議(公共施設管理者の同意)の上開発許可(都市計画法29条)を申請、開発審査会にかけて許可を受ける必要があります。

市街化調整区域の許可は、既存宅地など小規模なものであれば1ヶ月程度で下ります。しかし、名古屋市の開発許可は3ヶ月~半年程度かかります。

線引き前よりすでに宅地であった土地における建築行為等(提案基準第1号)

名古屋市では、昭和45年11月23日以前から宅地である土地で、提案基準第1号に該当すれば許可を受けて建物の建築が可能です。提案基準第1号の主な要件は下の2つです。

  • 予定建築物の敷地は、既存集落内に存すること。
  • 予定建築物の敷地は、線引き前からすでに宅地であった土地であること。

愛知県開発審査会基準17号に比べるとシンプルですが、概要は似たようなものです。

既成住宅地内における住宅(提案基準第3号)※守山区東谷地区の一部のみ

守山区東谷地区の一部では、提案基準第3号に基づき既成住宅地内の住宅建築が可能です。この基準は限られた範囲で適用されます。既成住宅地の区域は、名古屋市のHP(別図、51枚目)から確認できます。また、建築できる建物住宅若しくは兼用住宅のみです。

豊橋市などの既存宅地に近い制度

愛知県内の他の市町村、豊橋市、岡崎市、一宮市、豊田市では、既存宅地に近い制度が設けられています。これらの市には、市独自の開発基準があります。そして、市街化調整区域内でも条件を満たせば建築や宅地分譲が認められています。

以上のように、名古屋市内にも既存宅地に近い制度はあります。そして、地域や歴史により基準が異なります。建築を検討する場合は、土地の状況に応じた制度を確認することが重要です。

まとめ

名古屋市には、愛知県開発審査会基準に基づく「既存宅地」は存在しません

しかし、市独自の基準に基づいて市街化調整区域での建築が可能です。また、既存宅地に準じた制度も存在するため、市街化調整区域でも建築のチャンスはあります。

この違いを理解すれば、名古屋市内や愛知県内で安心して建築計画が進められるでしょう。市街化調整区域の許可については、行政書士・建築士に相談しましょう。

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