「名古屋市内の農地転用届出は簡単?自分でできる?」と気になっている方は、多いのではないでしょうか?
農地を宅地などに転用する際には、農地法第5条に基づく届出が必要です。市街化区域での農地転用は、許可でなく届出なので、簡単そうで、自分でもチャレンジしてみたい、費用をかけたくないというのは理解できます。では、本当に簡単なのか、自分で届出をするメリット・デメリットは?
本記事では、その手続き方法と、自分で行う際の判断基準を解説します。また、手続きを簡単に済ませるためのポイントも紹介します。自分で届出を行うメリットとデメリットを理解し、適切な選択をしましょう。
名古屋市の農地法第5条届出の概要
名古屋市内の市街化区域で農地を購入または貸借して農地以外(宅地や雑種地)に転用する場合は、農地法第5条の届出が必要です。ここでは、農地法第5条の届出について詳しく解説します。また、自分でできるかどうかの判断基準もお伝えします。
※農地を売却、貸借せずに自分で転用する場合は農地法第4条の届出となります
正式名称は農地法第5条第1項第6号の農地転用届出書
農地法第5条の届出書の正式名称は、「農地法第5条第1項第6号の農地転用届出書」です。
これは、そのまま農地法第5条第1項第6号が手続きを説明している条文だからです。農地法第4条第1項第7号も関係するので、合わせて紹介します。
農地法
第四条(農地の転用の制限)
農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。七 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域(同法第二十三条第一項の規定による協議を要する場合にあつては、当該協議が調つたものに限る。)をいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
このように、農地を農地以外に転用する場合は、原則、都道府県知事の許可が必要です。しかし、市街化区域内の農地はあらかじめ農業委員会に届出をすれば許可不要、と書かれています。「届出をすれば許可不要」なのです。
第五条(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。六 前条第一項第七号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
難しく書いていますが、所有権や賃借権などの権利の移転・設定を行う場合でも、市街化区域の農地であれば農地法第4条と同じく「届出をすれば許可不要」と決められています。届出と許可の違いは次の項目にて解説します。
名古屋市内の農地転用届出は随時受付
名古屋市の農地転用届出は、随時受付(いつでも受付)しています。「役所なんだから、平日なら当然」と思うかもしれませんが、一部の市町村では「毎週水曜日のみ受け付け」など締切が設定されています。しかし、名古屋市は平日ならいつでも受け付けてくれるので、大変便利です。
届出を提出すると、基本的には翌週の同じ曜日に受理通知書が交付されます。この受理通知書が、農地転用の届出を提出して農業委員会が受け付けた証明となり、所有権移転や地目変更登記に必要となります。
なお、名古屋市の農地転用の届出は平日日中に直接提出しかできませんが、受理通知書は郵送でも交付が可能です。郵送交付を希望する場合は、交付用のレターパックプラスを一緒に提出します。
詳しくはこちら→名古屋市HP 受理通知書等の郵送交付について
また、農地転用の許可については毎月決まった日に開催される農業委員会で審査されるので、毎月必ず締切日が設定されています。なお、名古屋市の市街化調整区域内で農地転用許可を申請する場合は、毎月末日です。
愛知県内の各市町村の農地転用の締切日等はこちら↓
農地転用の受付場所は4箇所(緑区役所、守山区役所、中川区役所、港区役所)
名古屋市の農地転用の受付場所は各地区の農業委員会事務局(4箇所)で受け付けています。管轄以外の農業委員会事務局では受け付けてもらえないので、必ず管轄を確認しておきましょう。
所管区域 | 農業委員会事務局 | 所在地 | 電話番号 |
千種区、昭和区、瑞穂区、 南区、緑区、名東区、天白区 | 東部・緑農政課 | 緑区青山二丁目15番地 (緑区役所内) | 052-625-3932 |
東区、北区、西区、 中村区、中区、守山区 | 西部・守山農政課 | 守山区小幡一丁目3番1号 (守山区役所内) | 052-796-4551 |
熱田区、中川区 | 中川区農政課 | 中川区高畑一丁目223番地 (中川区役所内) | 052-363-4360 |
港区 | 港農政課 | 港区春田野三丁目1801番地 (港区南陽支所内) | 052-301-8209 |
農地転用の「許可」は難しいが、農地転用の「届出」なら簡単?
許可と届出は、言葉の響きからも「許可」の方が難しそうに聞こえますね。
それぞれの手続が難しい理由、簡単と言われる理由は次のとおりです。
農地転用の「許可」が難しい理由
市街化区域以外にある農地を農地以外に転用する場合の手続は農地転用「許可」です。
許可手続きとは、行政が禁止していることを「特別に許可」を受けるための手続です。そのため、許可が下りないこともあります。また、許可を受けるためには様々な資料、手続きが必要となります。
時間もかかり、手続きそのものが重いため、許可手続きは難しいと言われています。
農地転用の「届出」が簡単と言われる理由
一方、市街化区域で行われる農地転用の「届出」は許可に比べて簡単な手続きだと言われています。
それは、却下されるリスクがなく、「受け付けてもらえば、ほぼ完了」だからです。
しかし、指定の様式で届出を行い、必要な書類を収集するため、実際には簡単ではありません。
自分で農地転用の届出を行うメリット・デメリット
メリット
- お金がかからない:土地の登記簿謄本や公図などの取得費用1,000円程度で済みます
- 手続きの内容が分かる:農地転用がどんな手続きかが実体験できます
デメリット
- 平日日中に時間が取られる:農業委員会への提出は平日日中のみです
- 書類収集・届出書の作成が面倒:ほとんどの方にとって初めての作業なので、難しく感じるでしょう
- 役所とのやり取りが必要:住民票や戸籍取得以上に難解な手続きを役所の担当者と行うため、苦手な人にとっては大変かもしれません
自分で農地転用届出を出すのが向いている人の特徴
次に、手続きを自分で行うのが向いているのはどんな人でしょう。
自分で農地転用を出すのが向いている人の特徴
- 役所への書類作成・提出に慣れている
- 役所の窓口で何かあっても落ち着いて対応できる
- 平日日中に時間が取れる
自分で農地転用を出すのが向いていない人の特徴
- 役所の窓口が苦手
- 平日日中に時間を取るのが難しい
- 細かい書類作成が苦手
さて、読んでいる方はどちらでしょうか?
農地転用の届出が面倒、自分には向いてない、という方は農地転用のプロである行政書士に依頼しましょう。費用はかかりますが、丁寧且つスムーズに完了させてくれるでしょう。
まとめ
名古屋市内の市街化区域で農地を転用する際には、農地法転用の届出が必要です。
届出を行えば、許可は不要ですが、手続きには書類収集や平日日中の時間確保が求められます。自分で手続きを行うメリットは費用を抑えられる点ですが、デメリットとしては手間や役所とのやり取りが挙げられます。手続きが難しいと感じる方は、行政書士に依頼するのも一つの方法です。自分の状況に合わせて、最適な選択をしてください。
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