郡山市が市街化調整区域63地区を規制緩和─一戸建てOKへ【2025年条例案】

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郡山市が市街化調整区域63地区を規制緩和─一戸建てOKへ【2025年条例案】

福島県郡山市は、市街化調整区域63地区で自己用住宅や兼用住宅の新築を可能にする条例案を2025年6月市議会へ提出しました。

農家や分家に限られていた建築制限が大幅に緩和され、郊外の人口減対策と地域コミュニティ活性化が期待されています。

条例の概要と建築条件、許可手続きを押さえましょう。

郡山市の規制緩和ニュースを3行で概要解説

引用
福島県郡山市は、市街化調整区域で住宅などの建築規制を緩和し、一戸建て住宅などの建築を可能とする条例を制定する。市によると、福島県内初の条例で、開会中の6月市議会に条例案を提出した。

(出典:福島民友新聞 2025/06/24 郡山市、住宅建築規制緩和へ 市街化調整区域で条例案

郡山市が提出した条例案は、本来、市街化調整区域では農家などの限られた条件でしか建てられなかった自己用住宅や兼用住宅を市内63地区限定で建てられるようにしたものです。
規制緩和は郊外の人口減少対策や地域コミュニティの維持、活性化が目的とのことです。


詳しい議会質疑の流れはYahoo!ニュース版でもチェックできます。

都市計画法第34条第12号に基づく区域指定とは?

市街化調整区域は都市計画法という法律により市街化を抑制すべき区域とされており、原則、建築物の建築が例外を除いて禁止されています。

例外には農家が営農のために居住する農家住宅、市街化調整区域決定前(昭和45年以前)から住んでいる世帯の子や孫の住宅などがありますが、血縁や農業などの職業、という厳しい条件をクリアしなければなりません。

しかし、都市計画法第34条第12号に基づく区域では、建築物の用途と敷地に関する条件を満たせば許可を受けて建築が可能となります。

建築できる建物は?条件は?

では、都市計画法第34条第12号の指定区域で建築できる建物の用途・条件はどのようなものでしょうか。

建築できる建物の用途

今回の郡山市の都市計画法第34条第12号指定区域で建てられる建築物は、自己居住用住宅またはその兼用住宅(第一種低層住居専用地域に準ずる)です。

自己居住用住宅は一般にイメージする専用住宅ですので、家づくりを考えている人のほとんどに該当します。

ただし、市街化調整区域に住宅を有していないこと等の証明(名寄帳又は資産のない証明書)が必要となりますので、現在、住宅や建築可能な土地を持っている方は、要件について郡山市役所開発建築法務課(024-924-2371)への相談が必要です。

なお、上記以外の店舗、事務所、社会福祉施設等は、この条例による基準では建てられませんが、他の条例での許可を検討しましょう。

建てられる条件

建てられる条件は、次の3つを全て満たすことです。

【条件1】指定区域内の土地であること

次の章で解説する、郡山市内63地区の土地であること

【条件2】敷地面積200㎡以上、建蔽率40%、容積率60%、高さ10m以下

建ぺい率・容積率は少し厳しめですが、敷地面積が200㎡以上なので特に困ることはないでしょう。

【条件3】手続きを経ること

下記の手順で、都市計画法の許可手続き(開発許可もしくは建築許可)を受けて、建築確認申請を行います。

1 区域を確認

次の章の区域指定図を参照して、希望する土地が指定区域内かどうかを確認します。

2 区域内であることの証明書を取得

都市計画証明書をもらうにはどうしたらいいですか?

郡山市役所都市政策課窓口にて、希望地の公図・登記簿謄本(※法務局で取得可能※発行3ヶ月以内)を添付し、用途証明願を記入し、都市政策課で印刷した位置図に詳細を記入して提出します。

翌日~3日以内で証明書が発行されます(発行手数料250円)。

3 許可申請(開発許可もしくは建築許可)

申請前に他に建築可能な不動産が無いか、申請書類等を確認しましょう。
また、最終決定した建築プラン等(建物の平面図・立面図・配置図・排水設備確認申請書の写し)が必要ですので、2の段階で目処が立てばハウスメーカー・工務店と調整し、許可申請の事前相談が完了次第、請負契約+建築プラン最終決定をしておきます。

そして、準備が整えば許可申請を行います。
通常は申請から許可完了まで1ヶ月程度、農地転用等があれば2~3ヶ月程度必要です。

4 建築確認申請

許可が完了すれば、建築確認申請(建築基準法の手続)を行います。

63地区はどこ?対象エリアを地図で確認

都市計画法第34条11号指定区域は郡山市内の下記の63地区です。
詳細はリンク先の郡山市HPを参照してください。

なぜ今? 人口減と住宅需要の背景

今回の規制緩和の目的は、郊外の人口減少対策・地域コミュニティの維持・活性化とのことで、椎根健雄市長は23日の市議会一般質問で「規制緩和を通して民間事業者による宅地供給を一層促す」と述べています。

引用:福島民友新聞HP 郡山市、住宅建築規制緩和へ 市街化調整区域で条例案

市街化調整区域は基本的に市街化を抑制する区域のため農家や地元で昔から住んでいる世帯の子・孫が例外的に住宅を建築できるものの、外部から移住して建築することは難しいです。
そのため、少子化の現在において、市街化調整区域は更に人口減少が進んでしまいます。

しかし、市街化調整区域は自然豊かで静かな環境が維持されており、いわゆる「田舎暮らし」や、子供のために空気の綺麗な環境で住みたいという方は一定数存在するため、新築の要件が緩和されれば人口流入にも期待ができるでしょう。

他自治体と比較する規制緩和トレンド

都市計画法第34条11号・12号の区域指定や、許可要件の規制緩和は他の自治体でも見られます

都市計画法第34条11号と12号は何が違う?

今回の郡山市の規制緩和は都市計画法第34条「12号」の指定区域ですが、「11号」の指定区域も存在します。

都市計画法第34条
十一 市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であつておおむね五十以上の建築物(市街化区域内に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあつては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下この号及び次号において同じ。)の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの

十二 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、災害の防止その他の事情を考慮して政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの

引用:e-GOV 法令検索 都市計画法第34条

難しく書かれておりますが、指定される区域はそれぞれ次のような特徴があります。

11号:市街化区域に隣接した市街化調整区域の中で、集落性のある(50戸以上建物が集まっている)エリア
12号:市街化が進まない(促進するおそれがない)エリア

そして、それぞれのエリアの特性に応じて都道府県知事(郡山市などの中核都市は市長)が建築物の用途・目的などを決めることができます

福島市では平成20年10月1日から都市計画法第34条第11号の区域指定あり

福島市は市内13地区について、地域社会(コミュニティ)の維持・再生を目的として区域指定をしました。

許可の条件は次のとおりです。
引用:福島市HP 市街化調整区域における開発許可基準の一部緩和に関する区域指定(都市計画法第34条11号)

【対象となる地区条件】
・災害発生のおそれのある土地の区域、農振農用地や保全すべき土地を含まない地区
市街化区域から4メートル以上の道路を経由して1キロメートル以内の地区
4メートル以上の道路が整備されている地区
・敷地間距離がおおむね50メートル以内で、おおむね50戸以上の建築物が連たんしている地区

【敷地条件】
・原則6メートル以上の道路に接続(専用住宅は4メートルでも可)
・給排水施設が整備されていること
敷地面積200平方メートル以上

【建築物条件】
住宅(共同住宅、長屋は除く)、店舗等兼用住宅、小規模店舗(用途、床面積の制限あり)
・建蔽率 70%以下
・容積率 200%以下
・高さ 10メートル以下
・延床面積 280平方メートル以内

これらも土地・建物に関する条件であり、人に対する要件(属人性と言います)が無いため基本的に誰でも建築することが可能であり、人口流入に期待ができます。

愛知県岩倉市、新城市

愛知県の県知事許可エリアでは岩倉市と新城市の8地区が平成24年~26年にかけて都市計画法第34条11号の指定区域が設定されています。
引用:愛知県HP 市街化区域に隣接又は近接する等の地域における開発行為等の許可基準のあらまし(法第34条第11号の規定に基づくもの)

【予定建築物等の用途(条例第3条第1項第1号)】
建築基準法別表第2(い)項第1号から第3号に掲げる専用住宅、兼用住宅、共同住宅
【敷地面積、建築物の高さの限度(条例第3条第1項第1号イ、ロ)】
敷地面積:200平方メートル以上
建築物の高さ:原則10m以下

愛知県の指定区域では、共同住宅も建築が可能です。

福島県鏡石町では線引き前住宅の要件緩和(令和7年4月1日より)

福島県鏡石町(福島県知事許可)では、線引き前住宅(市街化調整区域が設定された昭和45年10月15日以前に既に建築されていた自己用住宅)の再建築についての要件が緩和されました。

住宅を除却して空き地となった場合の再建築

(以前の取り扱い)
除却後一定期間経過してしまうと住宅の再建築不可

(令和7年4月1日以降)
除却後の期間の長さに関わらず再建築可能

再建築できるかどうかは土地の価格に大きく影響するため、再建築できるようになったことには大きな意義があります。

これまでは建物の除却(取壊し)を控えていた方は除却できるようになり、建物を除却してしまって再建築不可物件になって困っていた方には再建築できることで土地価格の上昇が期待できるので、嬉しい規制緩和ですね。

不動産会社による取得・売却及び再建築

いわゆる不動産会社の買取についても、線引き前住宅は原則認めていませんでした。

(以前の取り扱い)
線引き前住宅やその跡地は不動産会社が買い取れない。

(令和7年4月1日以降)
線引き前住宅を不動産会社が買い取り可能になり、再建築しての販売(再販)が可能に。

線引き前住宅かどうか分からないけど売りたい方は、訳あり物件専門の買取業者ワケガイへ無料相談

線引き前住宅、再建築できる物件かどうかは不動産の価値に大きく影響を与えることは、他のエリアでも同様です。

「実家の空き家が再建築可能かどうか分からないけど処分したい」
「市街化調整区域の不動産だけど、できれば高く買い取って欲しい」
「すぐにでも現金化したい」

という市街化調整区域の物件を持っている方は、訳あり物件専門の買取業者であるワケガイに相談しましょう。

買取業者って安く買いたたかれるんじゃないの?

一般に不動産の買取業者の買取価格は仲介で出した時の6~7割程度とされています。
さらに再建築不可物件となると、相場の1~2割でも買い手がつかないケースも多々あります。

しかし、訳あり物件専門の買取業者は沢山の訳あり物件を購入・再販売した経験と専門的な知識で、その後の再販売方法を熟知しています。
そのため、専門的な知識のない一般の買取業者よりも高い、適正価格での買取に期待できます。

線引き前住宅や再建築不可物件か分からないけど大丈夫?

線引き前住宅かどうか、再建築不可かどうかについても、専門的な知識と経験により役所調査を行い、正確な回答を出してくれます。

再建築の可能な物件であれば仲介として売り出し、再建築不可であれば買い取ってもらうということも可能です。

すぐに現金化したいけど、最短何日で買取できるの?

訳あり物件専門の買取業者であるワケガイは全国47都道府県対応で、最短1日での買取が可能です。

早く空き家を処分したいすぐに現金が必要、という方には特におすすめです。

市街化調整区域の不動産売却を相談する

市街化調整区域の売却チャンスと注意点

市街化調整区域の不動産を売却するチャンスと注意点があります。

売却のチャンス

市街化調整区域の不動産売却にはベストタイミングがあります。

・所得税:所有期間が5年を超える(長期譲渡所得に切り換わる)とき
・株価:株価が上昇しているとき
・住宅ローン金利:住宅ローン金利が低い時

所得税:所有期間が5年を超える(長期譲渡所得に切り換わる)とき

不動産売却後に問題となるのは所得税ですが、これを見逃して後悔してしまうケースもあります。

不動産売却で得た利益に対しては譲渡所得税が課され、所有期間が5年を超えるかどうかで税率は大きく変わります

所有期間5年以下の場合は短期譲渡所得として39.63%(所得税30.63%+住民税9%)の高率課税となります。
そして、所有期間が5年を超えるとと長期譲渡所得として20.315%(所得税15.315%+住民税5%)まで税率が下がります。

1,000万円の売却益が出た場合、短期譲渡で約200万円長期譲渡で約400万円の税負担となり、200万円もの差が生まれます。

従って、もうすぐで所有期間が5年を超える物件の場合、長期譲渡所得の適用を受けられるまで待つという選択もおすすめです。

また、購入価格より売却価格が低く、利益が出ない場合は気にする必要ありません。

株価:株価(市況)は不動産価格と相関関係にあり、株価が上昇すれば不動産価格も上昇するとされています。

不動産価格が毎年上昇している時期であれば、経過を見ながら売却タイミングを計るのも良いでしょう。

国土交通省のデータによると、令和6年7月分不動産価格指数(住宅)の全国住宅総合は前月比0.4%減となっていますが、2010年平均を100として2024年は137.8に上昇しています。

ただ、マンション以外は伸び悩んでおり、更に言えば郊外にある市街化調整区域の不動産が価格上昇の恩恵を受ける割合は低いと考えられます。

現状、所有する市街化調整区域の不動産が市街化区域(都市部)に近く、再建築可能な好立地でない限りは気にしなくて良いでしょう。

住宅ローン金利:住宅ローン金利が低い時

住宅ローン金利が低い時は購入者の購買意欲が高まっており、不動産全体の購入者が増える傾向にあります。

令和7年現在、変動金利型住宅ローンは0.5%台、固定金利型でも1%台前半という歴史的な低金利が続いています。

https://www.sumai-info.com/loan-knowledge/kinri.html

金利が上がってしまうと金利負担増により購入者の予算が減ってしまい、高額売却の可能性が低くなってしまいます。

注意点

市街化調整区域の不動産を売却する時の注意点は次のとおりです。

売却期間は通常、6~12ケ月かかる

通常の不動産売却は売り出しから決済(引き渡し)までに3~6カ月と言われています。
これは、買い手がつくまでの営業活動、買い手がついてからの住宅ローン審査・境界確定測量などの必要期間です。

更に、市街化調整区域の場合には都市計画法の許可に関する事前相談、本申請~許可までの期間が加算されるため、6~12ヶ月を見込んでおきましょう。

許可についての事前相談は必須

市街化調整区域の不動産は、農家住宅や分家住宅など、許可無しで売却してしまうと都市計画法違反になる物件もあります。

また、再建築不可物件と知らずに売却してしまい、買主から不適合責任が問われるおそれもあります。

対象物件が都市計画法のどのような許可を受けた物件か、売却する際にどんな手続きが必要か、必ず調べておきましょう。

このような手続きや調査をしたくない、という場合には買取業者も検討してみましょう。
専門の買取業者であれば、物件の査定価格だけでなく物件の状況・規制についてまでしっかりと調査してくれるでしょう。

まとめ|まずは専門家に無料相談を

今回は、郡山市の市街化調整区域における規制緩和、他の自治体での類似の規制緩和について解説しました。

市街化調整区域での住宅建築を考えている方には、新たな選択肢が増えたと言えるでしょう。

建築希望地で「都市計画法第34条11号区域」「都市計画法第34条12号区域」といった検索をして、ヒットすればお買い得な物件が見つかるかもしれません。

また、要件が緩和されたとはいえ市街化調整区域の建築には都市計画法を中心に厳しい規制があります。
ハウスメーカー・工務店と契約する前に、行政書士や建築士などの専門家を紹介してもらい、安心して建築できるようにしましょう。

市街化調整区域の家づくりには地元の工務店がおすすめ

市街化調整区域の建築は地元ルールを把握している工務店などがお勧めです。

しかし、工務店に付き合いがない購入したい土地に知り合いが少ないといった場合はできるだけ沢山の建築会社・工務店に一社一社ホームページからの資料請求が必要です。

そこで、ハウジングバザールであれば一括で建築会社の資料・間取り作成・見積もりの取得が可能です。
手間を最低限にして、気に入った工務店と打ち合わせをすれば市街化調整区域でも安心して建築できるでしょう。

市街化調整区域での家づくりに失敗したくない方は、ここから一括資料請求をして、信頼できる工務店・建築会社を探してみましょう。

備考欄へ“調整区域相談希望”と記入して資料一括請求する

入力は都道府県・市町村を選んでユーザー情報入力をするだけ、1分で完了!

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