PR

行政書士が面談で見抜く!一般分家住宅を建てられるかのポイントとは【元プロが解説】

行政書士がクライアントと一緒に土地の登記簿を確認し、厳しい要件について説明している場面。 分家住宅

分家住宅とは、愛知県の市街化調整区域において、特定の要件を満たす場合に限り建築が許可される住宅のことです。しかし、要件が非常に厳しく、条件を満たさない場合は建築ができません。そのため、分家住宅を建てたいと考える人にとって、どのような条件を満たす必要があるのかを理解することが重要です。

本記事では、行政書士が面談時にどのようにして「相談者が一般分家住宅(親・祖父母の所有地での建築)の要件に該当するかを見抜いているのか、そのポイントを解説します。

この記事を読むことで、一般分家住宅の重要な要件を理解し、自分が条件を満たしているかどうかの判断材料にすることができます。

記事内容を1分程度にまとめた動画はこちら↑

第1章: 一般分家住宅の要件と行政書士の役割

愛知県開発審査会基準1号(分家住宅)の2種類の要件

愛知県開発審査会基準第1号(分家住宅)には、一般分家住宅と大規模分家住宅の2種類の要件があります。新しく新屋を建てるという点では共通していますが、一般分家住宅は親または祖父母の所有する土地に分家住宅を建てる大規模分家住宅は土地を購入して分家住宅を建てる、という違いがあります。

1.一般分家住宅:親や祖父母の所有する土地に分家住宅を建てる。対象地を線引き前(昭和45年11月23日以前)から直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母など)が持っていること絶対条件
2.大規模分家住宅:土地を他人から購入して分家住宅を建てる。本家が線引き前(昭和45年11月23日以前)から現在まで市街化調整区域に存在し、本家と対象地が200戸以上で連たんしている、という2点が絶対条件です。

これ以外にも分家住宅としての要件が必要ですが、ここが最初に確認すべきポイントです。

行政書士は、面談を通じて相談者から詳しい情報を引き出し、その情報を基に面談の時点でおおまかに要件を満たしているかどうかを判断します。この判断は、許可申請できるかどうかの大事なポイントですので、慎重に行います。

もちろん、実際に登記簿謄本や戸籍謄本などの裏付け資料を取得し、最終的には許可権者(各建設事務所や市役所)で許可見込みの確認を行う必要があります。

今回は、一般分家住宅の要件確認ポイントについて詳しく解説し、大規模分家住宅については、こちらの記事↓で紹介しています。

第2章: 親の土地に建てる場合(一般分家住宅)の要件確認ポイント

若い夫婦が古い農家の前で行政書士と共に将来の建築計画について相談している様子。

1. 土地の所有履歴の確認

一般分家住宅の場合は、土地が先祖代々の所有地であるかどうかです。

これは、土地の登記簿謄本で確認するので、ある程度は事前に確認できます。また、線引き前(昭和45年11月23日以前)の所有者が載っていない場合(登記簿謄本がコンピューター化された時に、以前の所有履歴は省略されます)は、管轄の法務局で閉鎖された登記簿謄本を取得します。土地改良事業で換地処分を受けている場合は、すべての従前地の閉鎖登記簿謄本を取得します。登記簿謄本では次の点も確認します。

  • 昭和45年11月23日から現在までの所有者名がすべて直系尊属:建築希望地は施主の両親・祖父母・曽祖父母(3親等以内の直系尊属)が所有している
  • 所有権移転の原因がすべて「相続」または「贈与」直系尊属が所有していても、親子間で売買していたり、交換をしていると、線引き前所有ではありません
    ※不整形地や農振農用地で交換したなどの合理的理由での交換は除きます

面談当日に最低限、必ず確認することは上記の4点です。

当日に分からないこともありますが、4つの条件をすべてクリアしていれば高い確率で一般分家住宅の要件があり、1つでも満たしていないと、建てられる可能性がかなり下がってしまいます

ただし、あくまでおおよその話ですので、必ず行政書士を通じて許可権者(各建設事務所または市役所)に事前相談が必要です。

2. 施主の居住状況の確認

建築主さんが、結婚していて賃貸または本家(実家)に住んでいること。

これから分家住宅を建てなければならない合理的な理由が必要です。本家で住んでいれば「跡継ぎがいる」「プライバシーを守りたい」賃貸に住んでいれば「子どもが産まれて手狭になった」「建築地を探していたが適地が無くやむを得ず仮住まいを借りている」等の理由で大丈夫です。

3. 他に利用可能な土地の有無

他に利用可能な土地がない

建築主さん、配偶者、建築主さんの父母・父方の祖父母・母方の祖父母が他に利用な市街化区域の土地、市街化調整区域の宅地・雑種地などを持っているとそちらを使うように言われるため、まずは口頭で他に利用可能な土地がないか確認します。

後日、名寄せ台帳・無資産証明等の裏付け書類で土地の所有状況を確認します。

尚、市街化区域の土地や市街化調整区域の宅地があっても、建物があって使えない場合は賃貸借契約書を提出すれば、「使えない土地」として判断してくれます。

ただし、市街化区域も市街化調整区域も、雑種地(駐車場など)は借主に出て行ってもらうことができる(建物の撤去などが不要)ため、「使えない土地」として判断されることは非常に難しいです。

4. 農地の転用可能性の見極め

親の土地が農地である場合、その農地が転用可能かどうかを確認することが不可欠です。第二種農地・第三種農地である場合は、転用が認められやすいですが、農業振興地域内農用地(青地、黄地)や甲種農地、第一種農地は転用がかなり難しいです。

農地の種別もしっかりと見極めることで、分家住宅を建てられる可能性が高まります。

第3章: 面談後に取るべき次のステップ

面談で得た情報を基に、次のステップとして行政書士は詳細な調査を行います。この調査では、建築希望地の規制や農地の種別、申請人・家族の戸籍謄本や名寄せ台帳などを詳細に確認し、分家住宅を建てられるかどうかの調査を行います。

最終的には役所との調整も行い、許可見込みが取れれば、ハウスメーカー・工務店と契約して建築プランの決定、許可申請を行います。

許可要件は自分で調べることも可能ですが、思わぬ落とし穴にハマることもあります。

費用はかかりますが、行政書士は許可手続きのプロですので、しっかりとした調査、役所との事前協議を代行してもらえば安心して分家住宅の建築を進めることができるでしょう。

一般分家・大規模分家の違い(比較表)

一般分家と大規模分家の違いはこちらです。
整理して、自分がどちらに該当し、どこがネックになるかを確認してから行政書士に相談しましょう。

一般分家住宅の要件大規模分家住宅の要件
【要件が違うもの】
土地の所有者直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)
線引き前から代々所有している
相続or贈与のみ
要件無し
(購入前提)
購入しての建築原則不可(線引き前所有が前提
※農振農用地で交換したなど、
 限定的に認められる場合あり
土地購入が前提
本家の所在地市街化区域・市街化調整区域
どちらでも可能
市街化調整区域のみ
本家の継続性特に言及なし線引き前から現在まで
継続して同一集落内にある
土地と本家の
位置関係
特に言及なし
※既存集落内又はその周辺の地域
という土地だけの要件はある
(田んぼの一軒家は✕)
指定既存集落内
(本家と、市街化調整区域のみ
30㎡以上の建物が180戸以上で
連たん
している)
【共通の要件】
施主の要件結婚など独立していること
※実務上は、ほぼ「結婚」のみ
結婚など独立していること
※実務上は、ほぼ「結婚」のみ
建築主の居住状況賃貸住宅または本家に仮住まい賃貸住宅または本家に仮住まい
他の所有地他に利用可能な土地が無い
特に、市街化区域の土地や
宅地・雑種地(調整区域含む)が
あってはいけない
他に利用可能な土地が無い
特に、市街化区域の土地や
宅地・雑種地(調整区域含む)
があってはいけない
建築希望地が
農地の場合
原則、第三種・第二種農地まで
第一種農地や農振農用地は、
状況により建築可能
原則、第三種・第二種農地まで
第一種農地や農振農用地は、
状況により建築可能
建築プランの
最終決定時期
建築許可・農地転用許可
申請前まで

※建築面積・床面積平面図・立面図
配置・排水計画など
建築許可・農地転用許可
申請前まで

※建築面積・床面積平面図・立面図
配置・排水計画など
許可までの期間農地の場合は申請から約2ヶ月
農地以外の場合は申請から約1ヶ月
※農振農用地の除外があると6ヶ月
農地の場合は申請から約2ヶ月
農地以外の場合は申請から約1ヶ月
※農振農用地の除外があると6ヶ月
※令和6年9月1日時点での概要です
(これはおおまかな要件で、個別の状況により調査・調整が必要なため、必ず依頼した行政書士を通じて許可権者に確認してください)

一般分家住宅を建てられるかどうかの判断は、非常に複雑で細かい要件を満たす必要があります。この記事で紹介したポイントを基に、自分が条件を満たしているかどうかを確認してみてください。そして、プロの行政書士に相談することで、分家住宅の建築がスムーズに進むでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました