愛知県での分家住宅建築|元プロが教える重要な要件とポイント

愛知県での分家住宅建築|元プロが教える重要な要件とポイント

分家住宅とは、市街化調整区域で特定の要件を満たす場合のみ建築が許可される住宅です。

要件が非常に厳しく、条件を満たせないと建築できません。

そのため、分家住宅を検討する人はどんな条件が必要かを理解しておくことが重要です。

本記事では、行政書士が面談時に「一般分家住宅の要件に該当するか」をどのように見抜いているのか、そのポイントを解説します。

この記事を読むことで、一般分家住宅の重要な要件を理解し、自分が条件を満たしているかどうか判断できるようになります。

記事内容を1分でまとめた動画はこちら

第1章: 一般分家住宅の要件と行政書士の役割

一般分家住宅は、線引き前から親や祖父母が所有する土地で建てるケースを指します。

一方、大規模分家住宅は他人から購入した土地に家を建てる場合です。

どちらも市街化調整区域での建築許可が必要ですが、最大の違いは土地の取得方法や本家とのつながりにあります。
行政書士は面談で登記簿や戸籍の情報を聞き取り、要件を満たしているかを大まかに見極めます。

そして、最終的には許可権者との協議で建築の可否を確認します。

愛知県開発審査会基準1号の2種類の要件

愛知県開発審査会基準第1号には「一般分家住宅」と「大規模分家住宅」の2種類があり、一般分家住宅は線引き前から親や祖父母が相続や贈与で所有している土地が対象です。

大規模分家住宅は他人から土地を購入し、本家が線引き前から市街化調整区域に存在するうえで200戸以上の連たんがある場合に検討します。

この記事では一般分家住宅を中心に解説しています。
大規模分家住宅については別記事で詳しく紹介しています。

▼大規模分家住宅の詳細はこちら

第2章: 親の土地に建てる一般分家住宅の要件

一般分家住宅を検討する際は、土地が線引き前から直系尊属によって所有されているか、施主の居住状況や他に使える土地の有無、農地転用の可否などを確認する必要があります。

これらをしっかり把握しないと、建築許可が下りず、建築ができません。

若い夫婦と行政書士が古い農家の前で相談するイメージ

1. 土地の所有履歴を確認

まずは分家住宅を建てたい土地の所有者を確認することが重要です。

親や祖父母が昭和45年11月23日より前から土地を所有しているか、相続・贈与以外の形で所有権移転されていないかが重要です。

登記簿謄本で確認し、履歴が省略されている場合は法務局で閉鎖登記簿を取得して調査します。
所有者が直系尊属のみで、売買や交換履歴がないことが鍵になります。

2. 施主の居住状況を確認

結婚していて本家や賃貸に暮らすなど、分家住宅を建てる合理的な理由があるかを確認します。

家族が増え手狭になったり、本家での同居が難しい場合など、独立の必然性が説明できれば要件を満たしやすくなります。

3. 他に利用できる土地がないか

市街化区域の土地や市街化調整区域の宅地・雑種地など、すぐ家を建てられる土地を持っている場合はそちらの活用を求められます。

名寄せ台帳や無資産証明を使い、他に利用可能な土地が無いことを示すのが通例です。

ただし、建物が既に建っていて利用できないなどの事情があれば考慮されます。

▼他に使える土地が無い証明のポイント

4. 農地の転用可否

建築予定地が第二種や第三種農地であれば転用しやすいです。

一方、第一種農地や農業振興地域内農用地の場合は許可が厳しくなります。

事前に農地の種別を確認し、転用できるかを調べましょう。

第3章: 面談後の詳しい調査と許可申請

面談時に得た情報をもとに、行政書士は登記簿や戸籍謄本、名寄せ台帳などの書類を取得して詳細な調査を行います。

許可の見込みが高いと判断できれば役所と事前協議を行います。
その上で問題がなければ、開発許可や農地転用許可申請に進みます

自力で調べることも可能ですが、要件を誤解するとやり直しになるリスクが大きいため、専門家に任せるのが無難です。

▼市街化調整区域の許可要件について

一般分家住宅と大規模分家住宅の比較表

一般分家住宅と大規模分家住宅は、土地の取得方法や本家の所在地などに違いがあります。
以下の表を見て、自分がどちらに該当しそうか確認しましょう。

どちらにしても、最終的な許可判断は行政書士を通じて許可権者との相談が必要です。

分家住宅の要件(共通)

一般分家、大規模分家のどちらにも必要な要件は次のとおりです。

【共通の要件】一般分家住宅の要件大規模分家住宅の要件
施主の要件結婚など独立していること
※実務上は、ほぼ「結婚」のみ
結婚など独立していること
※実務上は、ほぼ「結婚」のみ
建築主の居住状況賃貸住宅または本家に仮住まい賃貸住宅または本家に仮住まい
他の所有地他に利用可能な土地が無い
特に、市街化区域の土地や
宅地・雑種地(調整区域含む)が
あってはいけない
他に利用可能な土地が無い
特に、市街化区域の土地や
宅地・雑種地(調整区域含む)
があってはいけない
建築希望地が
農地の場合
原則、第三種・第二種農地まで
第一種農地や農振農用地は、
状況により建築可能
原則、第三種・第二種農地まで
第一種農地や農振農用地は、
状況により建築可能
建築プランの
最終決定時期
建築許可・農地転用許可
申請前まで

※建築面積・床面積平面図・立面図
配置・排水計画など
建築許可・農地転用許可
申請前まで

※建築面積・床面積平面図・立面図
配置・排水計画など
許可までの期間農地の場合は申請から約2ヶ月
農地以外の場合は申請から約1ヶ月
※農振農用地の除外があると6ヶ月
農地の場合は申請から約2ヶ月
農地以外の場合は申請から約1ヶ月
※農振農用地の除外があると6ヶ月
※令和6年9月1日時点での概要です
(これはおおまかな要件で、個別の状況により調査・調整が必要なため、必ず依頼した行政書士を通じて許可権者に確認してください)

一般分家と大規模分家で異なる要件

一般分家と大規模分家で異なる要件は次のとおりです。

一般分家住宅の要件大規模分家住宅の要件
土地の所有者直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母)
線引き前から代々所有している
相続or贈与のみ
要件無し
(購入前提)
購入しての建築原則不可(線引き前所有が前提
※農振農用地で交換したなど、
 限定的に認められる場合あり
土地購入が前提
本家の所在地市街化区域・市街化調整区域
どちらでも可能
市街化調整区域のみ
本家の継続性特に言及なし線引き前から現在まで
継続して同一集落内にある
土地と本家の
位置関係
特に言及なし
※既存集落内又はその周辺の地域
という土地だけの要件はある
(田んぼの一軒家は✕)
指定既存集落内
(本家と、市街化調整区域のみ
30㎡以上の建物が180戸以上で
連たん
している)
※令和6年9月1日時点での概要です
(これはおおまかな要件で、個別の状況により調査・調整が必要なため、必ず依頼した行政書士を通じて許可権者に確認してください)

上記の条件を満たせば分家住宅は建てられます。
しかし、書類確認や要件整理には時間がかかります。

行政書士などの専門家を活用し、確実に許可取得を目指すとよいでしょう。

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分家住宅を建てるときは、地元密着型工務店を選ぶメリットが大きいです。

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