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愛知県の市街化調整区域のインフラ整備状況は?

市街化調整区域のインフラの不十分さが伝わる画像 ブログ

愛知県の市街化調整区域はインフラ整備が不十分なことが多く、特に都市ガスや下水道の整備が遅れている地域が多いです。

この記事では、愛知県の市街化調整区域におけるインフラ整備状況、建築時や生活する困ることについて解説します。土地購入や建築を考えている方は、インフラを含めた計画を考えましょう。

市街化調整区域とは何か

定義と目的

市街化調整区域とは、市街化を抑制することを目的とした地域です。都市計画法に基づいて定められています。都市の無秩序な拡大を防ぎ、計画的な都市づくりを進めるために活用されています。この区域では、新たな建築物や開発行為が厳しく制限されることが特徴です。

愛知県における市街化調整区域の現状

愛知県では、名古屋市をはじめ主要都市周辺部に市街化調整区域が指定されています。愛知県全体の市街化区域と市街化調整区域の面積は下記の通りです。

  • 愛知県:市街化区域 113,077ha、市街化調整区域 241,212ha(愛知県総面積の約46%
  • 名古屋市:市街化区域 30,261ha、市街化調整区域 24ha(約7%)
  • 知立市:市街化区域 1,108ha、市街化調整区域 523ha(約32%)
  • 津島市:市街化区域 666ha、市街化調整区域 2,509ha(約79%)
  • 西尾市:市街化区域 2,885ha、市街化調整区域 13,064ha(市の約81%)
  • 豊橋市:市街化区域 6,184ha、市街化調整区域 2,509ha(約76%)

名古屋市にも一部の地域(中川区、南区、港区、守山区など)に市街化調整区域があることは意外に感じるかもしれません。また、ほとんどが市街化区域である大治町や、市街化調整区域がほとんどの飛島村のように、市町村によって状況が異なります。

市街化区域では人口増加を見込んでインフラが充実しています。しかし、市街化調整区域ではインフラが不十分なことが一般的です。整備される場合も、集落性の高いエリアから優先されます。

市街化調整区域の上水道

既存宅地・分家住宅の許可には集落性が必要です。そのため、基本的には建築可能な土地に周辺には他の建物が既に建っており、上水道も整備されていることがほとんどです。しかし、市街化調整区域では下記のようなケースが考えられます。

上水道の本管はあるが、引き込みが無い場合

建築予定地の前面道路に上水道の本管が埋設されているものの、敷地内への引き込みが無い場合には、加入金・新設工事費を支払って、引き込み工事を行います

水道加入金は口径によって変わり、20~30万円程度かかります。したがって、土地購入・建物建築を検討する場合には引き込みの有無を必ず確認します。

上水道の本管が無い場合

本管が無い地域では、自費で工事を行うか、井戸水を利用します。都市部に近い地域では、比較的早く整備が進むことが期待されます。

井戸水の利用

市街化調整区域の下水道

合流式と分流式

市街化調整区域における下水道整備は、都市部に比べると遅れています。これは、愛知県でも同様です。

下水道には「合流式」と「分流式」という二つの方式があります。合流式では、生活排水と雨水が同じ管に流され、一括処理されます。一方、分流式では生活排水と雨水が別々の管で処理されるため、処理施設への負担が軽減されるメリットがあります。

下水道が無い場合(浄化槽)

市街化調整区域では、下水道が整備されていない地域も多くあります。その場合、家庭で出た生活排水は各家庭で設置される浄化槽を利用して処理する必要があります。浄化槽は、微生物の力を利用して排水を浄化しますが、適切な維持管理が求められます。必要な維持管理を行うことで、環境に配慮した排水処理が可能になります。

下水道が無い場合の裏ワザ(区域外流入)

  市街化調整区域と市街化区域の境界付近の場合は、前面道路に下水道本管が入っているものの、こちら側(市街化調整区域)は下水道処理区域外という場合があります。下水道は下水道を利用できるエリア(下水道処理区域)が決まっており、区域外だと近隣であっても原則、下水道を利用できません

 しかし、市町村によっては一定の要件を満たして「区域外流入」の許可を受ければ、下水道処理区域外から汚水を排水できます。下水道処理区域内であれば不要な公共桝の設置費用などが必要ではありますが、接続可能であれば、下水道への接続を検討しても良いでしょう。

雨水の排水

  市街化調整区域における雨水排水の整備状況も重要な問題です。都市部と比べると、雨水の排水施設が十分に整備されていない場合が多いです。側溝や排水管が未整備の地域では、豪雨時に道路や敷地が浸水するリスクが高くなります。愛知県では、西三河地域や海部地域を中心に、雨水排水施設の整備が進められています。これにより、地域の住民が安心して生活できる環境が整いつつあります。

原則、排水禁止の道路(国道・県道)

  市街化調整区域内には、排水が原則として禁止されている道路も存在します。国道や県道は、道路の排水を想定しているため、宅地内からの排水流入が禁止されています。このような道路に面する土地の場合、居宅からの排水をどう処理するかが大きな課題となります。

 県や市町村と協議の上で、現地の面積・勾配の測量、流量計算を行い、他に排水先が無い、といった条件をクリアできれば例外的に排水の許可が得られます。この許可手続きには費用と期間がかかるため、土地選定の際には側溝の有無に加えて、前面道路が県道かどうかも確認しましょう。

 基本的には、市町村道で側溝が入っている土地は排水手続きが少ないので、一番にお勧めします。

市街化調整区域の都市ガス整備状況

東邦ガス

愛知県の市街化調整区域では、都市ガスの整備状況が地域によって異なります。供給エリアは名古屋市を中心とする尾張地域ですが、市街化調整区域で供給されているのは一部地域に限られます。

東邦ガス以外のガス会社

東邦ガスが供給していない地域では、他のガス会社が供給している場合もあります。しかし、都市ガスが利用できる地域は限られており、多くの市街化調整区域では利用が難しいです。

プロパンガス

市街化調整区域では、プロパンガスの利用が一般的です。プロパンガスは設置が容易で、市街化調整区域でも広く利用されています。災害時にも強いという利点もあります。

市街化調整区域の電力整備状況

市街化調整区域の住宅地に、送電線だけがあり、他のインフラが見えない

中部電力の整備状況

愛知県の市街化調整区域における電力整備は、中部電力が主に担当しています。市街化調整区域でも、比較的整備が進んでおり、電力供給の問題は少ないです。

中部電力の地役権が設定されている場合の手続

電力供給設備が必要な場合、地役権が設定されることがあります。これは特定の土地を利用する権利であり、送電線や変電設備の設置のために必要です。地役権が設定されている土地での建築には、地役権者の同意書が必要です。

送電線下同意書発行WEB受付システムは、こちらからアクセスできます。

建築確認申請時にも証明書や同意書が必要なので、手続きに注意しましょう。発行された同意書は管理事務所で受け取る必要があります。

まとめ

愛知県では総面積の約46%が市街化調整区域に該当し、名古屋市や周辺都市の一部にも存在しています。この区域では、新たな建築や開発が厳しく制限されており、インフラ整備も遅れがちです。

特に、下水道の整備が不足している地域が多く、浄化槽の設置が必要です。また、都市ガスの供給が難しく、多くの家庭ではプロパンガスが利用されています。一方、電力は中部電力によって比較的整備が進んでおり、電力面での問題は少ないです。

市街化調整区域で住宅を建設する際には、インフラ整備の現状を理解しましょう。自治体との連携を通じて適切な対応を行うことが重要です。

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