仲介で土地を売却する完全ガイド:査定から現金化、税金申告までを徹底解説

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仲介で土地を売却する完全ガイド:査定から現金化、税金申告までを徹底解説

土地の売却は、多くの方にとって一生に一度あるかないかの大きな取引です。
特に不動産会社を介した「仲介売却」は、そのプロセスが多岐にわたり、専門的な知識も必要となるため、不安を感じる方も少なくありません。

本記事では、土地売却を検討している売主が安心して取引を進められるよう、査定依頼から引き渡し、そして売却後の税金申告に至るまで、仲介による土地売却の全手順を網羅的に解説します。

複雑に感じられがちな確定測量契約不適合責任譲渡所得税といった専門用語も、具体的な事例を交えながら分かりやすく説明します。
信頼できる不動産会社の選び方や、売却を成功させるための具体的な注意点、さらには仲介以外の選択肢である「買取」についても触れることで、売主自身の状況に最適な売却方法を見つける手助けとなることを目指します。

仲介売却のメリット・デメリット

土地の売却方法には、主に「仲介」と「買取」の二つの選択肢があります。
それぞれの特性を理解することは、売主にとって最適な方法を選ぶ上で不可欠です。

仲介・買取とは?

「仲介」「仲介取引」といわれる売却方法は、不動産会社が仲介役として買主を探す方法で、一般的なイメージの売却方法です。

一方、「買取」とは不動産会社が売主から直接不動産を買い取る方法です。
広すぎて一般の人が買いにくい土地を分譲業者が購入して分譲販売する、無接道地や再建築不可物件、市街化調整区域の新宅地、狭小地など、いわゆる訳あり物件を専門の業者が相場の6~7割程度で買い取るケースもあります。

土地の形状や立地、相場、売主がいつ現金化したいか(安くても早く売りたい、急がないから高く売りたいなど)の事情によって選択することになります。

買取については詳しく後述しています。

仲介売却のメリット

仲介売却の最大の利点は、市場価格に近い、またはそれ以上の高値での売却が期待できる点にあります 。  

不動産会社は、チラシやインターネットのポータルサイトなどを通じて幅広い広告活動を行い、より多くの購入希望者を見つけるための努力をします 。  

これにより、競争原理が働き、結果としてより高い価格での契約成立につながる可能性が高まります。 また、内覧などを通じて購入検討者の意見を聞き、売却条件を調整できる柔軟性も仲介売却の強みと言えます 。  

仲介売却のデメリット

一方で、仲介売却にはいくつかのデメリットも存在します。 まず、買主探しに時間がかかり、売却期間が長期化する可能性があります 。  

特に条件の悪い土地の場合、半年以上かかることもあり、場合によっては1年以上を要するケースも珍しくありません 。  

また、売主は引き渡し後に物件の不具合が発覚した場合に「契約不適合責任」を負うことになり、トラブルのリスクが伴います 。  

さらに、購入希望者の内覧対応や、そのための準備、スケジュール調整など、売主自身の手間や時間が必要となる点も考慮すべきです 。  

不動産会社が広告活動を行うため、周囲に売却を知られる可能性も高まります 。  

そして、不動産会社への仲介手数料が発生することも、費用面でのデメリットとして挙げられます 。  

土地売却の全体像と期間:査定から現金化までのロードマップ

土地売却のプロセスは複数のステップから成り立っており、それぞれのステップにかかる期間を事前に把握しておくことが、スムーズな売却計画を立てる上で非常に重要です。
不動産会社への査定依頼から引き渡しまで、全体でおよそ3ヶ月から6ヶ月が平均的な期間とされていますが 、実際の所要期間は、早ければ  1ヶ月、長い場合は1年以上と大きく幅があります 。  

土地売却のステップと各期間の目安

以下に、土地売却の主要なステップとそれぞれの目安期間を示します。

  • ステップ1: 必要書類の準備・情報収集
    土地の売却を始めるにあたり、まずは売却に必要な書類(登記簿謄本、公図、測量図など)を集め、周辺の市場価格や類似物件の取引価格を調査します 。
    この期間は約2週間が目安です 。  
  • ステップ2: 不動産会社への査定依頼・媒介契約
    複数の不動産会社に査定を依頼し、その結果を比較検討した上で、信頼できるパートナーを選定し、媒介契約を結びます 。
    このプロセスには約1〜2週間かかるとされています 。   
  • ステップ3: 売却活動
    媒介契約後、不動産会社がチラシやインターネットのポータルサイトなどを通じて広告活動を開始し、買主を探します。
    購入希望者からの問い合わせ対応や内覧などもこの期間に行われます 。
    売却活動の期間は、土地の条件にもよりますが、約1〜6ヶ月が目安です 。
  • ステップ4:  買主との売買契約
    購入希望者が見つかったら、売却価格や引き渡し時期などの諸条件について交渉を行い、合意に至れば売買契約を締結します。
    買主が住宅ローンを利用する場合、その審査期間(約2週間〜1ヶ月)もこのステップに含まれ、この期間は約1ヶ月が目安です 。  
  • ステップ5: 土地の測量(必要な場合)
    土地の境界が不明確な場合や、買主からの要望があった場合には、確定測量を行う必要があります 。
    この測量には約2ヶ月程度の期間を要することが多く、売却期間全体に大きな影響を与える可能性があります 。
  • ステップ6: 決済・引き渡し
    売買契約後、残代金の受領、所有権移転登記、鍵の引き渡しなどが行われます。
    この時点で売却代金が売主に支払われ、現金化が完了します 。  
  • ステップ7: 売却後の税金申告
    土地売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行う必要があります。

土地売却の期間と流れの目安

ステップ主な内容目安期間合計期間(累積)
1. 書類準備・情報収集必要書類の収集、相場調査約2週間約2週間
2. 査定依頼・媒介契約不動産会社選定、契約締結約1〜2週間約1ヶ月
3. 売却活動広告、内覧対応、買主探し約1〜6ヶ月約2〜7ヶ月
4. 買主との売買契約条件交渉、ローン審査約1ヶ月約3〜8ヶ月
5. 土地の測量
※必要な場合
確定測量の実施約2ヶ月約5~10ヶ月
6. 決済・引き渡し残代金受領、所有権移転約1ヶ月約6〜11ヶ月
7. 譲渡所得税の申告確定申告翌年の2月16日〜
3月15日
売却完了の翌年

土地売却の期間は、売主の準備状況、特に確定測量の有無が大きく影響します。
確定測量が必要な場合、その手続きに約2ヶ月を要するため、これが全体の売却期間を大幅に延長させる要因となり得ます。

また、買主が住宅ローンを利用するケースでは、金融機関の審査に時間がかかったり、審査結果によっては契約が解除される可能性もあるため、これも売却期間に不確実性をもたらします 。  

したがって、売却を検討し始めた初期段階で、測量の必要性を判断し、早めに着手することが、売却期間を短縮し、スムーズな取引を実現するための重要な鍵となります

土地の価値を知る:査定依頼のポイント

土地売却の最初のステップは、その土地がいくらで売れるのか、適正な価格を知ることから始まります。

このために不動産会社に査定を依頼しますが、査定方法には「机上査定」と「訪問査定」の二種類があります。

机上査定と訪問査定の違いと活用

机上査定と訪問査定の違いは次のとおりです。

机上査定(簡易査定)

机上査定は、土地の所在地や面積、地目などの基本的な情報に基づいて、不動産会社が現地を訪問することなく概算の価格を算出する方法です 。  

  • メリット: 最も大きな利点はそのスピードにあります。
    早ければ即日、遅くとも3日前後で査定金額が提示されることが一般的で、手間がかからないため、気軽に大体の価格を知りたい場合に非常に便利です。
    また、複数の不動産会社に一括で依頼し、比較検討の第一歩とすることも可能です 。  
  • デメリット: 現地確認がないため、正確性には限界があります 。
    物件個別の独自性や特殊性(例えば、高低差、隣地との境界状況、周辺環境の詳細など)が反映されにくく、売主の希望額との乖離が生じるケースも少なくありません 。  

訪問査定(詳細査定)

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に現地を訪問し、土地の状況、周辺環境、法規制、日当たり、接道状況などを詳細に確認した上で、最も正確で適正な査定価格を算出する方法です 。  

  • メリット: 物件の個別性が詳細に評価されるため、最も正確で適正な価格が提示されます 。   売却の意思が固まっている場合に特に有効です。 また、担当者と直接対話できるため、売却に関する具体的な相談や、疑問点の解消が可能です。
  • デメリット:不動産会社の担当者が実際に現地に訪問するため、所有者が対応する必要があります。
    また、査定金額出るまでに時間がかかることが大きなデメリットです。
    しかし、物件に近い不動産会社であれば即日対応しれくれる場合もあることを知っておきましょう。

活用法

まずは複数の会社に机上査定を依頼し、その中から提示された査定額の根拠や対応の良さを見て、信頼できそうな数社に絞り込んで訪問査定を依頼するのが効率的です

より精度の高い査定結果を得つつ、売却活動をスムーズに進めるためのパートナーを見つけることができます。

査定時に準備すべき書類

査定をスムーズに進め、より正確な価格を引き出すためには、以下の書類を事前に用意しておくことが強く推奨されます 。  

これらの書類は、不動産会社が土地の法的状況、履歴、隠れた価値を正確に把握するために不可欠です。

  • 必須書類:
    • 登記簿謄本(登記事項証明書):土地の所有者、面積、地目、担保権の有無などを確認できます 。  
    • 公図:土地の位置や形状、隣接する土地との関係を示す図面です 。  
    • 土地の測量図確定測量図地積測量図):土地の正確な面積や境界線を示す図面です。 地積測量図は法務局に備え付けられていますが、古い土地には存在しない場合もあります 。  
    • 登記権利証または登記識別情報通知書:土地の所有権を証明する重要な書類です 。  
    • 身分証明書印鑑証明書:本人確認や契約時に必要となります 。  
  • あると良い書類:
    • 購入時の売買契約書、重要事項説明書:土地の購入時の条件や特記事項が記載されており、査定の参考資料となります 。  
    • 地盤調査報告書:土地の地質や強度に関する情報を提供し、買主の安心材料にもなります 。  
    • 建築確認済証・検査済証:建築基準法に則った物件であることを証明します 。  
    • 建築設計図書、工事記録書:建物の設計や工事内容が分かり、不動産会社が物件の価値を評価しやすくなります 。  
    • 境界確認書:隣地所有者との間で境界が確定していることを示す書類です 。  
    • 住宅性能評価書、耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書:物件の性能や安全性に関する公的な証明書や報告書で、査定額にプラスに影響する可能性があります 。  
    • 固定資産税納税通知書:固定資産税の評価額や税額が記載されており、査定の参考になります 。  
    • リフォームの契約書・報告書:リフォーム履歴がある場合、その内容を伝えることで査定評価が適切に行われます 。  

名義確認の重要性 相続で取得した土地を売却する場合、まだ名義変更が済んでいないケースがあります。
売却には亡くなった人(被相続人)から相続人への名義変更が必須となるため、査定依頼時に名義が誰になっているかを確認し、不動産会社に状況を説明することが重要です 。  

複数の不動産会社に査定を依頼する重要性

査定価格は不動産会社によって異なるため、複数の会社に依頼し、比較検討することが不可欠です 。  

査定価格の妥当性を見極めるためには、単に提示された金額の高さだけでなくその根拠担当者の説明の丁寧さ、そして売却戦略などを総合的に比較することが成功への鍵となります 。  

査定は単なる価格提示の場ではなく、不動産会社との最初の「面接」の場と捉えるべきです。

この段階で、提示された査定額の根拠が明確であるか、担当者が土地売却に関する専門知識を豊富に持ち、こちらの疑問に的確に答えられるか、そしてコミュニケーションが円滑に行えるかを見極めることが非常に重要です 。  

査定サイトなどを利用すると、複数の不動産会社から一括で査定依頼ができますが、中には自社に依頼してもらうことを目的に、根拠なく高い査定金額を提示する会社も存在します 。  

このような高い査定額に安易に飛びついてしまうと、後で値下げを迫られたり、売却活動が長期化したりするリスクが高まります。

したがって、査定段階で、単に「高い査定額」に惑わされることなく、その裏にある「根拠」と「担当者の質」を徹底的に見極めることが、売却成功のための重要な戦略的ステップとなります

不動産会社の選び方:成功への鍵を握るパートナー探し

土地売却の成功は、適切な不動産会社を選ぶかどうかに大きく左右されます。

信頼できるパートナーを見つけるためには、いくつかの重要なポイントがあります。

売却実績と地域密着度

不動産会社は、賃貸仲介と売買仲介で得意分野が分かれることがよくあります。
土地を売却する際は、賃貸仲介ではなく、売買仲介、特に土地売却の実績が豊富な会社を選ぶことが重要です 。  

ホームページなどで売買仲介をメインとしていることをアピールしている会社は、その分野に強みを持っている可能性が高いです 。  

また、売却を依頼する不動産会社は、売却対象の物件と同じ地域に営業店がある、あるいはその地域に精通している会社を選ぶことが基本です 。  

地元の不動産会社は、その地域特有の相場観、将来性、住環境の特徴、さらには地域のニーズを深く把握しています 。  

これにより、「この地域では、どういった不動産が売りやすいのか」といった地域の特性を踏まえた的確なアドバイスや、地域オーナーとの良好な関係から非公開物件の情報を持っているケースもあります 。  

遠方の不動産会社は、地元の詳細な情報を把握しきれず、売却活動が非効率になる可能性もあるため、極力避けるべきでしょう。

ただし、市街化調整区域など訳あり物件の場合には地元で対応してくれる不動産会社が無いケースもあり、全国対応の不動産会社に依頼した方が良いケースも存在します。

営業担当者の対応と質

不動産仲介は、営業担当者の個人の能力が大きく左右する仕事です。
そのため、会社名よりも、対応の良い営業担当者を軸に選ぶことが成功への重要なポイントとなります 。  

大手不動産会社であっても経験の浅い担当者よりも、中小規模の会社であっても経験豊富な担当者の方が、早く高く売却できるケースは珍しくありません 。  

対応の良い営業担当者とは、例えば、以下のような特徴を持つ人物です 。  

  • レスポンスが早い: 問い合わせや連絡に対して迅速に対応してくれる。
  • 専門性を感じられる: 土地売却に関する深い知識を持ち、複雑な質問にも的確に答えてくれる。
  • 相場に精通している: 地域の市場動向や適正価格について具体的な根拠を持って説明できる。
  • 不明点をしっかり調べてから回答する: 安易な回答ではなく、不明な点はきちんと確認して正確な情報を提供してくれる。
  • 誠実な対応: 買主からの信頼も得やすく、価格交渉や契約手続きにおいても円滑な進行が期待できる 。  

売却活動は3ヶ月以上にわたる長期的なプロセスとなるため、相性の良い、誠実な営業担当者に依頼することで、売主のストレスも軽減され、満足のいく売却活動につながります 。  

信頼性の確認方法

不動産会社を選ぶ際には、その信頼性を多角的に確認することが重要です。

  • 宅建業免許の更新回数: 不動産取引を行うには宅地建物取引業免許(宅建業免許)が必要です。
    免許には「東京都知事(2)第〇〇〇〇号」のように記載されており、かっこ内の数字が免許の更新回数を示します 。
    宅建業免許の有効期間は5年であるため、更新回数が多いほど、長期間安定して事業を運営している会社であると判断できます 。  
  • 行政処分の有無: 過去に行政処分を受けていないかを確認することも重要です。
    これは、その不動産会社が法令を遵守し、適切な事業運営を行っているかの指標となります 。  
  • 口コミ評価と実績: インターネット上の口コミサイトや不動産情報サイトでの評価は、仲介業者の評判を知る有効な手段です 。
    ただし、口コミは主観的な意見も多いため、複数の情報源から総合的に判断することが賢明です 。
    特に取引実績については、過去の成約事例や年間取引件数などの具体的な数字に注目し、自分が売りたい物件種別やエリアでの実績が豊富かを調べることが重要です 。  
  • 料金体系の透明性: 仲介手数料をはじめとする各種費用の説明が明確で透明性があるかどうかも、不動産会社の誠実さを測る重要な基準です 。
    極端に安い手数料を提示する業者には、後で追加費用が発生したりサービス内容が不十分であったりするリスクがあるため注意が必要です 。  

不動産会社選びでは、提示された査定額の高さだけで安易に判断せず、営業担当者の対応や知識、料金体系の透明性、地域密着度、そして実績を総合的に評価することが重要です 。  

大手か地域密着型かといった会社規模だけでなく、自身のニーズに合った業者を選択することで、売却活動の成功確率を高めることができます。

契約前には必ず重要事項の説明を求め、不明な点は納得いくまで確認することが大切です 。  

仲介手数料:費用と支払いタイミング

仲介手数料は、不動産会社が売主と買主の間に立って取引を成立させた際に支払われる「成功報酬」です 。  

この手数料は、宅地建物取引業法によって上限額が定められています。

仲介手数料の計算方法と上限

仲介手数料は、売却価格によって計算式が異なります 。  

  • 200万円以下の部分:売却価格 × 5% + 消費税
  • 200万円超400万円以下の部分:売却価格 × 4% + 消費税
  • 400万円を超える部分:売却価格 × 3% + 消費税

この計算は複雑に見えますが、簡単に計算できる「速算式」があります。

速算式:売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税  

例えば、3,000万円の土地を売却した場合の仲介手数料(税抜)は以下のようになります 。  

『3,000万円 × 3% + 6万円 = 90万円 + 6万円 = 96万円(税抜)』
これに消費税(10%)を加えると、96万円 × 1.1 = 105.6万円となります。

なお、売却価格が800万円以下の低廉な物件の場合、「低廉な空家等の媒介特例」が適用され、仲介手数料の上限は一律30万円(税抜)となります 。  

仲介手数料の支払いタイミング

仲介手数料は、不動産売買契約が成立した場合にのみ発生する費用であり、取引が成立しなければ支払い義務は生じません 。  

一般的な支払いタイミングは以下の3通りです。

(1)売買契約時に半額、引き渡し時に残金を支払う

売買契約締結時に仲介手数料の半額を前金として支払い、残りの半額は決済・引き渡し時に支払うパターンです。

売主は、買主が売買契約時に支払う手付金(売却価格の5〜10%程度)を仲介手数料に充当できるため、自己資金の負担を軽減できる場合があります 。  

(2)引き渡し時に一括で支払う

主に買主が物件を購入する際に、引き渡し時に仲介手数料を一括で支払うケースです。
売買契約時に買主が手数料を捻出するのが難しい場合に選択されることがあります 。

(3)売買契約時に一括で支払う

不動産の売買契約締結時に、仲介手数料を全額一括で支払うケースです。

売主の立場では、手付金の額によっては自己資金で補う必要があるため、事前に不動産会社と相談することが推奨されます 。

仲介手数料の性質を理解し、支払いタイミングについても事前に不動産会社としっかり確認しておくことが、売却プロセスを円滑に進める上で非常に重要です。

確定測量の必要性:トラブル回避と売却価格への影響

土地の売却において、「確定測量」も非常に重要な手順です。
法的な義務ではないものの、売却をスムーズに進め、将来的なトラブルを回避するために不可欠と言えます。

確定測量とは?現況測量との違い

測量とは、土地の大きさや形状、隣接地との境界を正確に測定し、定める作業です 。  

測量には主に「確定測量」と「現況測量」の二種類があります。

  • 確定測量: 確定測量とは、法的な効力を持つ正式な土地の境界を確定させる測量です 。   これは、隣接する土地の所有者(個人、企業、国や自治体など)の立ち会いのもと、双方の合意を得て境界線を確定し、境界標(石杭や金属標など永続性のある標識)を設置する手続きを含みます 。   確定測量によって作成される「確定測量図」は、土地取引や登記に用いられ、最も信頼性の高い土地のデータとなります 。  
  • 現況測量: 現況測量は、土地の現状(形状、高低差、おおよその面積など)を把握することを目的とした測量です 。   土地の取引や開発の初期段階で、土地の現況を迅速に確認したい場合に役立ちます 。   しかし、境界線の調査や法的な確定は行わず、隣地所有者の立ち会いも不要です 。   そのため、現況測量で得られる面積や寸法は法的な効力を持たない「現況面積」であり、後に確定測量で修正されることが多い点に注意が必要です 。  

確定測量と現況測量の大きな違いは、「境界(筆界)」を確定するかどうか、そしてその測量結果に法的な効力があるかどうかです 。  

法的な効力が必要な場合や、境界線を厳密に確認する必要がある場合には確定測量が適しています 。  

土地売却における確定測量の必要性

土地売却において、確定測量は法的に義務付けられているわけではありません 。  

登記簿上の面積で売買する「公簿売買」も可能であり、山林や田畑など地価が低い広大な土地では、測量コストが高くつくため確定測量を行わないケースも見られます 。  

しかし、確定測量を行わないことで、以下のような様々なリスクやデメリットが生じる可能性があります。

  • 買主からの敬遠: 境界が不明確な土地は、購入後に隣地所有者とのトラブルになる懸念から、買主に避けられやすくなります 。   買主は境界が明確な土地を求めることが一般的です 。  
  • 売却価格の低下: トラブルのリスクを抱える土地は、売却価格が低く買い叩かれる傾向があります 。  
  • 契約不適合責任のリスク: 境界が未確定であることを買主に告げずに売却した場合や、契約書に記載された地積と実際の地積が異なることが購入後に判明した場合、売主は契約不適合責任を問われる可能性があります 。   これにより、補修費や代金減額の請求、損害賠償請求、さらには契約解除のリスクが生じ、売主にとって大きな負担となることがあります 。  
  • 住宅ローン審査への影響: 境界未確定の不動産は、金融機関の担保評価が低くなる傾向があり、買主が住宅ローンを組むことが難しくなる恐れがあります 。  
  • 分筆の制限: 広すぎる土地を売りやすい面積に分筆して売却するケースは多いですが、確定測量をしていないと分筆できない場合があります 。  
  • 相続や隣地トラブル: 売却時だけでなく、相続時の土地分割や、隣地所有者との境界を巡る紛争に発展する可能性もあります 。  

これらのリスクを避けるためには、売却前に確定測量を行い、境界を明確にしておくことが非常に重要です 。  

特に、境界標がない、登記簿と実際の面積が異なる、高額な土地を売却する場合などは、確定測量を行うべきケースとされています 。  

確定測量の流れ、期間、費用

確定測量は、専門家である土地家屋調査士に依頼して行います。 測量作業自体は測量士にも可能ですが、登記申請などの手続きは土地家屋調査士でなければできません 。  

不動産会社に相談すれば、信頼できる土地家屋調査士を紹介してもらえるでしょう 。  

確定測量の流れ  

  1. 土地家屋調査士に依頼: 測量図作成と登記申請を依頼します(1〜2日程度)。
  2. 資料収集: 土地家屋調査士が役所や法務局で公図、登記簿謄本、地積測量図などの測量に必要な資料を取得します。 売主が所持する権利書なども準備します(1週間程度)。
  3. 事前現地調査・現況測量: 収集した資料と照らし合わせながら、土地家屋調査士が現地を詳細に調査します。 既存の境界標の有無や状態を確認し、土地の大きさ、形状、隣地との接道状況などを把握します。 この段階で、公図などに基づいて仮の境界を定め、仮の境界杭を設置することもあります 。   この時点では隣地所有者の立ち会いは不要ですが、誤解を避けるため、仮杭であることを事前に説明しておくことが重要です 。  
  4. 境界確認作業(隣地立会い):
    • 民有地との境界: 土地家屋調査士が立ち会いのもと、売主と隣接する民有地の所有者全員が現場で仮に設置した境界点を確認し、合意形成を行います 。  
    • 官有地との境界: 道路や水路など、国や地方公共団体が所有する土地と接している場合は、「官民有地立会申請書」を管轄の役所に提出し、役所職員の立ち会いのもとで境界を確認します 。   官有地との境界確定は、行政側のスケジュール調整や内部協議に時間がかかることが多く、確定までに数ヶ月から一年以上を要することもあります 。   隣地所有者との協力関係が築けない場合や、所有者が不明・死亡している場合、境界確定測量のプロセスは大幅に遅延し、費用も増加します 。   このような「人的要素」は、測量プロセスにおける最も予測不能で重要なボトルネックとなることがあります。
  5. 確定測量・図面作成(1ヶ月程度) 全ての境界が確定し、合意が得られたら、最終的な精密測量を行い、詳細な「確定測量図」を作成します 。   この段階で、永続性のある石杭、コンクリート杭、金属標などの境界標が正式に設置されます 。  
  6. 境界確認書の作成・署名捺印 確定測量図に基づき、境界確定に関係する隣地所有者全員に「境界確認書」を作成し、署名・捺印を求めます 。   この書類は、境界が正式に合意されたことを証明する重要な書類となります。
  7. 登記申請 作成された確定測量図と境界確認書を添付し、土地家屋調査士が法務局に登記申請を行います 。   これにより、公的な地積測量図が更新され、土地の境界が法的に確定された状態となります 。  

期間 確定測量の依頼から完了までの期間は、通常1ヶ月半から3ヶ月以上かかります 。  

隣地所有者の数や、隣地に官有地(公道や河川など)が含まれる場合、立ち会いのスケジュール調整や行政との協議に時間がかかるため、さらに長引くことがあります 。  

筆界特定制度を利用した場合は、半年から1年かかることもあります 。  

費用 確定測量にかかる費用は、土地の広さ、形状、隣接地の数、境界標の設置数、隣接土地所有者の数、官有地との接道の有無などによって大きく異なります 。  

一般的な住宅用地の場合、目安としては以下の通りです 。  

  • 確定測量費用: 30万円〜80万円程度  
  • 隣地に公道や河川など官有地が含まれる場合、官民査定費用としてさらに20万円〜30万円程度が加算されることがあります 。  
  • 登記手続きまで含めると、一般的に60万円から100万円程度かかることもあります 。  

測量費用は一見すると大きな負担に感じられるかもしれませんが、将来的なトラブルを避け、売却価格の低下を防ぐための「予防的な投資」と考えることができます 。  

境界が不明確な土地は、後々の紛争や訴訟に発展するリスクがあり、その解決には測量費用をはるかに超える時間とコストがかかる可能性があります。 売却直前になって買主から境界確定を求められ、売却が頓挫する事態を避けるためにも、早めの確定測量検討が賢明です 。  

契約不適合責任:売主のリスクと対策

2020年4月1日の民法改正により、不動産売買における「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変更されました。 この改正は、買主の保護を強化し、売主の責任範囲を広げるものとなりました。

契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、売却した不動産が売買契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負う責任を指します 。  

以前の「隠れた瑕疵」という概念が「契約の内容に適合しない」というより広い範囲に改められたことで、売主が瑕疵を認識していなかった場合でも、買主は修補や代金減額などを求めることができるようになりました 。  

具体的には、以下のようなケースで契約不適合責任が問われる可能性があります 。  

  • 物理的な不適合: 雨漏り、シロアリ被害、建物の構造上の欠陥など、物件自体に物理的な不具合がある場合 。  
  • 法律的な不適合: 都市計画法による規制違反、建築基準法違反など、法律上の規制によって物件の利用が制限される場合 。  
  • 心理的な不適合: 事故物件、心霊現象の噂など、心理的に不安を感じさせる状態 。  
  • 環境的な不適合: 有害物質を排出する工場や騒音源など、周辺環境に問題がある場合 。  
  • 数量・種類に関する不適合: 土地の境界が誤っている、実際の土地面積が契約時の説明と異なるなど、契約書に記載された数量や種類と異なる場合 。  

売主が契約不適合責任を負う場合、買主は売主に対して、目的物の補修、代金の減額、損害賠償、さらには契約解除を求めることができます 。  

特に、欠陥が重大で補修しても住めないような場合は、契約解除に至ることもあります 。  

個人の売主の場合、契約不適合責任を負う期間は引き渡しから2~3ヶ月程度と定めるケースが一般的です 。  

売主のリスク軽減策

契約不適合責任によるリスクを軽減し、円滑な取引を実現するためには、売主が契約締結前から引き渡し後まで、適切な対応を行うことが重要です。

  1. 事前の物件検査(インスペクション)の実施: 売却前に第三者機関によるインスペクション(建物状況調査)を実施し、物件の状態を正確に把握することが、契約不適合のリスクを軽減する上で非常に有効です。
    特に、床下、屋根裏、壁の内部といった構造部の不具合は目視だけでは気づきにくいため、専門家による検査が重要です。
    検査結果を基に、不具合があれば事前に修補するか、あるいは買主に正確に告知することで、後のトラブルを防ぐことができます 。  
  2. 正確な告知と契約内容明確化: 売主は物件の状態を正確に告知し、契約内容を明確にすることが求められます 。
    契約書には、物件の状態や設備の仕様を具体的に記載し、不適合となる可能性のある項目(例えば、過去の修繕履歴、境界の状況など)を明確にすることが必要です 。
    これにより、買主との認識のズレを防ぎ、トラブルを減らすことができます 。  
  3. 契約不適合責任の免責特約の検討: 売主と買主の合意があれば、売主の契約不適合責任を問わないとする「免責特約」を契約書に設けることも可能です 。
    そうすれば、売主は不動産売買における瑕疵に関するリスクを軽減できます。
  4. ただし、特約が法律の範囲を超える内容である場合には無効とされるため、慎重な対応が必要です 。  
  5. 迅速な修補対応: 引き渡し後に不適合が発見された場合には、速やかに修補対応を行うことが売主のリスク軽減につながります 。   特に軽微な不具合については迅速に対応することで、大きなトラブルに発展するのを防ぐことが可能です 。  
  6. 保険や保証サービスの活用: 不動産会社独自の保証サービスや、既存住宅売買瑕疵保険などの活用も検討します。
    これらのサービスは、引き渡し後の一定期間、特定の不具合に対する補修費用を保証してくれるため、売主のリスクをさらに軽減する手段となります 。

契約不適合責任は、買主を保護するための制度ですが、売主にとっても適切に対応することでリスクを軽減し、円滑な取引を実現するために活用できます

売主は、物件の状態を正確に把握し、買主へ誠実に情報を開示することで、信頼関係を築き、安心して取引を進められる環境を整えることが重要です。

譲渡所得税の申告:売却後の税金対策

土地を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として所得税と住民税の課税対象となります。
これは給与所得など他の所得とは区分して計算される「分離課税」の対象です 。  

譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の基本的な計算式は以下の通りです 。  

税額 = 【課税譲渡所得金額】 × 【税率】

そして、課税譲渡所得金額は以下のように計算されます 。  

課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額(適用される場合)

それぞれの用語について詳しく見ていきましょう。

  • 譲渡価額: 土地を売却した金額、つまり売却価格のことです 。  
  • 取得費: 売却した土地を買い入れたときの購入代金や、購入時にかかった仲介手数料、登記費用などの合計額です 。   もし取得費が不明な場合や、実際の取得費が譲渡価額の5%に満たない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費として計算することができます 。   購入時の資料(売買契約書など)を保管しておくことが、取得費を正確に算出し、税金を抑える上で非常に重要です 。  
  • 譲渡費用: 土地を売るために直接要した費用です。 具体的には、不動産会社に支払った仲介手数料、確定測量費、売買契約書の印紙税、建物を取り壊して土地を売った場合の取り壊し費用、貸家の売却に際して支払った立ち退き料などが該当します 。  
  • 特別控除額: 特定の条件を満たす場合に、譲渡所得から差し引くことができる金額です 。   後述する「3,000万円の特別控除」などがこれに該当します。

所有期間による税率の違い

土地を売却した年の1月1日現在で、その土地の所有期間が5年を超えるか否かによって、適用される税率が異なります 。  

  • 長期譲渡所得: 所有期間が5年を超える場合。 所得税15%、住民税5%(合計20%)が基本税率です 。  
  • 短期譲渡所得: 所有期間が5年以下の場合。 所得税30%、住民税9%(合計39%)が基本税率です 。  

これに加えて、所得税額に対して2.1%の復興特別所得税が課されます 。  

所有期間が1日でも5年を超えると長期譲渡所得となり税率が大幅に下がるため、売却時期を検討する際にはこの点を考慮することが重要です

適用できる主な特別控除と特例

特定の条件を満たす場合、譲渡所得から特別控除を受けることで、税負担を軽減できます 。  

  • マイホームを売却した場合の3,000万円特別控除: 居住用の家屋やその敷地を売却した場合、所有期間に関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます 。   この特例を適用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります(例:以前住んでいた家屋は非居住後3年以内であること、相続した空き家の場合は昭和56年3月31日以前に建築された区分所有建物でない家屋であることなど) 。   また、所有期間が10年を超える自宅の場合、この3,000万円特別控除と併せて、税率が軽減される特例も適用できることがあります 。  
  • 公共事業のために土地を売却した場合の5,000万円特別控除: 公共事業のために土地を売却した場合に適用される特例です 。  
  • 特定の土地区画整理事業などのために売却した場合の2,000万円特別控除: 特定の土地区画整理事業などのために土地を売却した場合に適用されます 。  

これらの特別控除は、譲渡所得の金額が控除額に満たない場合は、譲渡所得の金額が限度となります 。  

確定申告の方法と必要書類

不動産売却で譲渡所得が出た場合、原則として売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告が必要です 。  

特別控除や特例を適用する場合、譲渡所得の額に関わらず確定申告が必須となります 。  

確定申告の手順  

  1. 必要書類の収集: 売却価格、取得費、譲渡費用を証明する書類(売買契約書、領収書など)を集めます。
  2. 課税譲渡所得金額の計算: 上記の計算式に基づき、譲渡所得金額と課税譲渡所得金額を算出します。
  3. 確定申告書の作成・提出: 国税庁のe-Tax(電子申告システム)を利用するか、手書きで確定申告書を作成します。 譲渡所得は「分離課税」のため、通常の確定申告書(第一表、第二表)に加えて、「申告書第三表(分離課税用)」と「譲渡所得の内訳書」の作成が必要です 。  
  4. 添付書類の提出: 特別控除や特例を適用する場合は、売却した不動産の登記事項証明書、戸籍の附票の写しなど、追加の添付書類が必要になります 。  

正確な記録の重要性 譲渡所得税の計算において、取得費や譲渡費用を正確に把握しているかどうかは、最終的な税額に大きく影響します 。  

特に取得費が不明な場合、譲渡価額の5%しか経費として認められないため、税金が高くなる可能性があります 。  

そのため、不動産を購入した際の売買契約書や領収書、測量費などの記録は、将来の売却に備えて大切に保管しておくことが、税負担を最適化するための重要な準備となります

仲介以外の選択肢:不動産会社による買取(直接売却)

土地売却を検討する際、仲介売却が一般的な選択肢ですが、不動産会社が直接買主となる「買取(直接売却)」という方法もあります。

この方法は、特定の状況下で売主にとって大きなメリットをもたらす可能性があります。

買取(直接売却)とは

買取とは、不動産会社が売主から直接不動産を買い取る売却方法です 。  

仲介売却が不動産会社が第三者の買主を探す「仲介役」であるのに対し、買取では不動産会社自身が「買主」となります 。  

買取のメリット

  1. 売却・現金化が速い: 買取の最大のメリットは、売却期間が非常に短いことです 。
    不動産会社が直接買い取るため、買主探しや買主の住宅ローン審査といったプロセスが不要です 。
    査定価格に合意すれば、数日から1ヶ月程度の短期間で契約から決済・引き渡しまで完了、現金化が可能です 。  
    これにより、急ぎで資金が必要な場合や、住み替えの資金計画を早く確定させたい場合に非常に有利です 。  
  2. 仲介手数料が不要: 不動産会社が買主となるため、仲介業務に対する成功報酬、仲介手数料が発生しません
    これは、売却にかかる総費用を抑える上で大きなメリットとなります 。  
  3. 契約不適合責任が免責されることが多い: 仲介売却では売主が契約不適合責任を負いますが、買取の場合、買主が不動産に精通したプロである不動産会社であるため、ほとんどのケースで契約不適合責任が免除されます 。
    これにより、引き渡し後の予期せぬトラブルや費用負担のリスクがなくなり、売主は安心して取引を終えることができます 。  
  4. 内覧対応の手間がない: 不動産会社が直接買い取るため、個人の購入希望者に対する内覧対応が不要です 。
    したがって、売主は家の清掃やスケジュール調整といった手間を省くことができます 。  
  5. 周囲に知られずに売却できる: 広告活動が不要なため、周囲に売却を知られることなく取引を進めることが可能です 。  

買取のデメリット

  1. 買取価格が仲介より安い: 買取の最大のデメリットは、売却価格が仲介売却に比べて安くなる傾向があることです 。   不動産会社は、買い取った物件をリフォームや再販することで利益を得るため、その費用やリスクを考慮して買取価格を設定します。 一般的に、市場価格の7〜8割程度が相場とされています 。  
  2. 買取を取り扱っている不動産会社が少ない: 売買や賃貸の仲介を行う不動産会社は多いですが、買取を専門に行う会社は少なく、対応エリアが限られていることもあります 。   そのため、特に地方では買取業者を探しにくい場合があります 。  
  3. 物件によっては買い取ってもらえない: 全ての不動産が買取対象になるわけではありません 。   築年数が古い物件、再建築が難しい物件、法令上の制限がある物件、あるいは極端に状態が悪い物件などは、買取を断られる可能性があります 。  

買取が向いているケース

買取は、売却のスピードや手間を優先したい場合に特に適しています。

  • 急ぎで資金を現金化する必要がある場合: 転勤、相続税の納税期限が迫っている、借金返済など、まとまった資金がすぐに必要なケース 。   相続税の納税期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と定められており、物納が困難な場合は売却による現金納付が一般的です 。  
  • 物件に修繕や改修が必要で、仲介売却が難しい場合: 古い家屋が残っている、リフォーム費用が高額になるなど、物件の状態が悪く、個人の買主が見つかりにくいケース 。   買取業者はリフォームやクリーニングを前提としているため、物件の状態が査定額に反映されにくいという特徴もあります 。  
  • 売却活動が長期化し、価格が下落するリスクを無くしたい場合: 仲介でなかなか売れない物件や、市場の動向によって価格下落のリスクがある場合に、早期に売却を確定させたいケース 。  
  • 内覧対応や契約不適合責任のリスクを避けたい場合: 売却の手間を最小限に抑えたい、引き渡し後のトラブルを避けたいと考える売主 。  
  • 離婚や相続に伴う売却: 共有名義の解消や財産分与を急ぐ場合など、複雑な事情を抱えるケース 。  
  • 事故物件の売却: 心理的瑕疵のある物件など、一般市場で売却が難しい物件 。  

買取は、売却価格が仲介よりも安くなるというデメリットがあるものの、スピード、手軽さ、そして引き渡し後の安心感という大きなメリットを提供します。

売主は、自身の状況や売却の目的を明確にし、価格とスピード・手間のバランスを考慮して、最適な売却方法を選択することが重要です

複数の買取業者から見積もりを取得し、価格や条件を比較検討すること、そして信頼できる業者を選ぶことが成功への鍵となります 。  

買取・仲介に迷ったらナカジツ(愛知県・福岡県)

愛知県岡崎市に本社を置くナカジツは、不動産業者として仲介だけでなく買取も行っています。
そのため、「仲介で買主を探して、ダメなら買取」という「買取保証付き仲介」売却プランでは仲介・買取の良いとこどりが実現できます。
ナカジツでは「買取保証付き仲介」プランを含めて5つの売却プラン(仲介、買取、任意売却、リースバック)が用意されています。

また、ナカジツは愛知県内では不動産売買仲介の店舗数NO.1(ナカジツ調べ)と、地元密着型不動産会社です。
その他、福岡・千葉・静岡・熊本・埼玉・岐阜は直営店として運営しており、地域に精通したスタッフが対応しています。

該当エリア、特に愛知県の不動産売却を考えている方はナカジツに相談してみましょう。

まとめ:土地売却を成功させるために

土地売却は、多くの売主にとって複雑で時間のかかるプロセスですが、適切な知識と準備、そして信頼できるパートナーを見つけることで、その成功確率を大きく高めることができます。

本記事では、仲介による土地売却の全手順を詳細に解説しました。

査定依頼から始まり、仲介手数料の仕組み、確定測量の重要性、契約不適合責任への対応、そして売却後の譲渡所得税の申告まで、各ステップで売主が直面する可能性のある課題とその解決策を提示しました。

土地売却の期間は、平均で3ヶ月から6ヶ月とされていますが、確定測量の有無や買主のローン審査状況によって大きく変動する可能性があります。
特に境界が不明確な土地では、確定測量に3ヶ月以上を要することがあり、これが全体の売却期間を長期化させる主な要因となります。

したがって、売却を検討し始めたら、まず土地の境界状況を確認し、必要であれば早期に土地家屋調査士に相談することが賢明です

不動産会社の選定は、売却成功の鍵を握ります。 提示された査定額の高さだけでなく、その根拠、営業担当者の専門性、対応の誠実さ、そして地域での実績を総合的に評価し、複数の会社を比較検討することが不可欠です
信頼できる担当者は、売却活動全般において売主の強力な味方となり、スムーズな取引をサポートしてくれます。

また、売却後の契約不適合責任は、売主にとって大きなリスクとなり得ます。 物件の状態を正確に把握し、買主へ誠実に情報開示を行うこと、そして必要に応じてインスペクションの実施や免責特約の検討を行うことで、リスクを軽減し、引き渡し後のトラブルを未然に防ぐことができます。

最後に、土地売却で利益が出た場合の譲渡所得税は、売却した年の翌年に確定申告が必要です。 取得費や譲渡費用を正確に把握し、適用可能な特別控除や特例を最大限に活用することで、税負担を適正化することが可能です。 購入時の資料や売却にかかった費用の領収書などは、大切に保管しておくべきです

仲介売却が長期化するリスクや、物件の状態が悪い場合など、特定の状況下では、不動産会社による買取(直接売却)も有効な選択肢となります。 買取は売却価格が低くなる傾向があるものの、迅速な現金化、仲介手数料不要、契約不適合責任免責といったメリットがあり、売主のニーズに合わせて検討する価値があります。

土地売却は、単なる不動産の取引ではなく、売主の人生における重要な転機です。 本記事で提供した情報が、売主の皆様が安心して、そして納得のいく形で土地売却を成功させるための一助となれば幸いです。

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