市街化調整区域の土地を手放したいが、売却が難しくて困っていませんか?
市街化調整区域の土地を高く売るためには、建築制限やインフラ整備の遅れ、住宅ローン審査の厳しさなど、売れない原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
本記事では、市街化調整区域の土地を高く売るための5つの方法を詳しく解説します。訳あり物件の買取業者活用や活用方法まで、売却を成功させるポイントを紹介!
市街化調整区域の土地を手放したい人に必要な基礎知識
市街化調整区域とは、都市計画法により開発を抑制する目的で指定された区域です。
そのため、一般的な宅地や商業地と比べて売却が難しい特徴があります。
所有者にとっては、固定資産税や維持費の負担が重い、困り者です。
また、相続の際には評価額が高くなることもあります。
こうした土地を適切に手放すには、規制・地目の違いを理解することが重要です。
都市計画法による建築制限を理解する
市街化調整区域では、原則として新たな建物の建築が認められていません。
ただし、特定の条件を満たせば許可が下りるケースもあります。
例えば、「分家住宅」のように、既存の土地所有者が家族のために建築する場合や、「公益性のある施設(社会福祉施設など)」を建設する場合は、自治体の許可を得られる可能性があります。
また、見直しにより一部の市街化調整区域が市街化区域に編入されることもあります。
このようなケースはとても稀ですが、将来的に土地の価値が上がるかもしれません。
そのため、売却タイミングは慎重に見極めることも重要です。
宅地・農地・山林など地目による違い
土地の地目は、売却や活用方法に大きな影響を与えます。
市街化調整区域の土地には「宅地」「農地」「山林」などの地目が設定されています。
それぞれ異なる規制・特徴がありますので紹介します。
- 宅地:すでに住宅が建っている場合は、比較的売却しやすい
- 農地:農地法の制約があり、転用には農業委員会の許可が必要。地目変更なしでは農業以外の用途に利用できない。
- 山林:保安林などであれば、都市計画法以外の手続も必要です。
このように同じ市街化調整区域の土地でも地目によって、売却方法が異なります。
更に言えば、宅地にも2種類あります。
市街化調整区域決定前からの土地は既存宅地と呼ばれ、建物の建築が行いやすく、買い手もつきやすい、人気の土地です。
しかし、分家住宅などの許可により、市街化調整区域決定後宅地となった土地は「新宅地」と呼ばれ、新たに建物を建てる場合には用途変更などの許可手続きが必要であり、その制限のために売却が難しいとされています。
売却前を考える際には地目を確認し、地目ごとに適切な手続きの準備も重要です。
意外と高い相続税評価額
市街化調整区域の土地は、一般的に市場価値が低いと考えられがちです。
しかし、相続税の評価額も必ずしも低いとは限りません。
市街化調整区域の土地の相続税評価額は、多くの場合は「倍率方式」で計算されます。
倍率方式では農地の評価額も決められた倍率(20倍~70倍程度)で評価され、固定資産税評価額に指定された倍率をかけた金額が、相続税の評価額となります。
もしも100坪の農地が10万円の固定資産税評価額、倍率30倍の土地であれば300万円の相続税評価額となります。
実際には終身営農することで、評価額を10万円のままにすることも可能です。
※農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例(国税庁HPより)
このように、農地は実際の市場価格よりも高い評価額が設定される傾向があります。
そのままだと、相続税の負担が想定以上に大きくなるケースがあります。
相続の際には、評価額を正確に把握し、適切な節税対策を講じることが重要です。
なぜ市街化調整区域は売れにくい?3つの主要原因
市街化調整区域の土地は、市街化区域の土地と比べて売却が難しいとされています。
その主な原因は、建築制限、インフラ整備の遅れ、住宅ローン審査の厳しさにあります。
これらの問題を理解し、適切な対策を講じることが、スムーズな売却につながるでしょう。
建物建築には許可が必要
市街化調整区域では、建物の建築が原則禁止されています。
ただし、以下のようなケースでは建築許可を得られる可能性があります。
- 分家住宅:一定の条件を満たせば、親族が新たに住宅を建てられる。
- 公益施設:社会福祉施設や教育機関など、公益性の高い建築物は許可要件あり
- 特例許可:特定の用途に限り、例外的に建築許可が下りる
これらの条件を満たさない場合、新たに建物を建てることはできません。
そのため、土地の用途が制限され、買い手が見つかりにくくなります。
インフラ整備の遅れ
市街化調整区域では、上下水道やガスなどのインフラ整備が不十分なことが多く、生活環境が不便になりがちです。
特に、水道や道路が未整備は住宅建築のハードルが高く、価格が下がる原因です。
自治体によっては、負担金を支払うことでインフラ整備を進められる場合もあります。
そのため、売却前に自治体へ相談し、インフラ整備の可能性を確認することが重要です。
住宅ローン審査が厳しい
市街化調整区域の土地は、住宅ローンの審査が通りにくい傾向があります。その理由は、以下の点にあります。
- 担保評価が低い:将来的な資産価値が不透明であるため、金融機関が融資を渋る。
- 住宅の建築制限:ローン審査の際、建築許可が取得できるかどうかが大きなポイント
- 流動性の低さ:市街化調整区域は銀行側のリスクが高く、融資の対象になりにくい。
住宅ローンの利用が難しいため、買い手の多くが幾つかの金融機関を探し、場合によっては現金購入を検討することになります。
結果として売却までの期間が長引くことが多いです。
農地の売却・転用が難しいと言われる理由と手続きを詳しく知る
市街化調整区域の農地を売却するには、農地転用の手続きを理解する必要があります。
農地転用とは農地を農地以外の宅地や雑種地などに転用することですが、農地転用には都道府県知事の許可が必要です。
また、農地転用許可を得ずに転用すると、最大3年以下の懲役または1億円の罰金が科されるかもしれません。
農地を転用する際には、必ず正式な手続きを取ってから転用しましょう。
許可を取らずに違反転用した場合、3年以下の懲役または300万円以下(法人は1億円以下)の
引用:STOP!!農地の違反転用(農林水産省)
罰金を科せられる場合があります。
本章では、農地転用の手続き、難しさについて解説します。
農地法4条・5条の許可手順と必要書類
農地転用には、「農地法4条」と「農地法5条」による許可が必要です。
- 農地法4条:農地の所有者が自ら転用(例:駐車場にする)する場合の手続き。
- 農地法5条:農地を第三者が転用する場合の手続き。(売却または賃貸)
必要書類として、土地登記簿、申請書、転用計画書、土地利用計画図などが必要です。
申請は市町村の農業委員会を通じて行い、最終的には都道府県知事が許可が下ろします。
【注意】申請=許可ではない
許可手続きは「禁止されている行為について、特別に許可を受けて行う」ため、「申請すれば必ず許可が下りるわけではない」ことも知っておきましょう。
たとえば、「自宅の駐車場が必要なので農地転用したい」、などは許可が下りません。
理由としては、「自宅敷地に他に停められる場所がある」「本当にそれだけの車が必要か」「他の土地で借りられないか?」など、理不尽に思われるレベルで詰められることがあります。
比較的通りやすい理由は、「病院で患者が多く、駐車場が不足している。周辺で駐車場借りているが、足りずに路上駐車が多く、『周辺住民からクレームが出ている』」といったものです。
緊急性(今現在困っている)・公益性(周辺住民の為)・合理性(他に対策したが他に方法が無い)、といった理由がつけばどうにかなる、イメージです。
このように、農地転用許可申請には役所との念入りな打ち合わせが必要です。
農地転用できる農地とできない農地がある(農地の種別)
すべての農地が転用できるわけではなく、以下のように区分されています。
- 農業振興地域内農地:原則として転用不可。例外的に認められる場合もあるが、ハードルが高い。
- 甲種農地:農業上の重要性が高く、転用がほぼ不可能。
- 一般農地(第1種~第3種):第3種であれば比較的転用しやすいが、許可と合理的な理由が必要
事前に自治体の農業委員会で確認し、転用可能な農地かを調べることも重要です。
周辺農地への影響、排水に配慮が必要
農地転用の際には、周辺農地への影響が考慮されます。
特に、以下の点に注意が必要です。
- 排水対策:農地を宅地にすることで、周辺農地の水はけが悪くなる可能性がある。
- 農道・用水路の変更:生活排水が農業用水路に入らないよう注意すること。近隣住民や自治会との合意形成が求められる。
- 景観・環境への配慮:地域の開発方針と調和するかどうかが審査のポイントとなる。
近隣農地に日影ができないように高さや位置を調整するなど。
転用申請から完了までにかかる期間と費用目安
農地転用には時間とコストがかかります。一般的な目安は以下のとおりです。
- 審査期間:3~6か月程度(自治体によって異なる)。
- 費用:行政書士への依頼費用や開発負担金などを含め、50万~200万円程度。
転用の許可が下りた後も、地目変更の登記や各種手続きが必要となります。
農地の買い手が見つかった場合でも、スケジュールを慎重に立てることが重要です。
市街化調整区域の土地を高く売る3つの方法
売れにくい市街化調整区域の土地でも、工夫次第で価値を高め、売却を成功させることが可能です。
ここでは、市街化調整区域の土地を高く売るための3つの具体的な方法を紹介します。
【方法1】分家住宅などを一般住宅に用途変更する
分家住宅の許可を受けて建てた建物は、建築主とその家族(配偶者・子・孫)しか居住できません。
そのため、他の人が買ったとしても居住してはいけません。
黙っていれば気付かれないかもしれませんが、建て替えの際に建築確認申請を出すとバレてしまい、
建て替えができないという最悪の状況に陥ってしまいます。
そんな状況になったケースはこちらの記事で紹介しています。↓
しかし、建築主の死亡や破産などやむを得ない状況であれば、「分家住宅から一般住宅への用途変更」の許可手続きを行って、別の人に売却することが可能です。
愛知県であれば、愛知県開発審査会基準第16号という基準で規定されています。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
全国でもほとんどの市町村に用途変更の規定が存在しますので、ご自分の所有する土地の市町村役場で確認すると良いでしょう。
【方法2】建物用地以外として売却する(駐車場、資材置き場)
住宅として売却できない場合、駐車場や資材置き場として売る方法もあります。
特に、以下のような用途での需要が見込めます。
- 企業のトラック駐車場:2024年問題で流通業界は駐車場・中継基地を探しており、現在も駐車場のニーズは高いです
- 資材置き場(建設会社、物流業者向け):成長中の建設会社は資材置き場用地を探しており、売却に至らずとも借地で定期収入になるケースもあります
- 貸し農園や家庭菜園用地:近年、都市部では数坪の農地を借りて、週末に農作業を行う人が増えています。都市部に近いのであれば、貸し農園などを営む業者への売却ができるかもしれません。
このような用途であれば、買い手の幅が広がり、売却の可能性が高まります。
また、売却が難しい場合でも借地の方法も考えておきましょう。
【方法3】訳あり物件専門の買取業者を利用する
通常の不動産市場では買い手が見つかりにくい土地でも、訳あり物件を専門に扱う業者を利用すれば、比較的スムーズに売却できます。
これらの業者は、転用可能な土地や事業用地として独自の活用方法や販売ルートを持っているため、
市場価格よりも低めですが、確実に速やかに売却できるメリットがあります。
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売却以外の活用方法をまとめて検討|社会福祉施設・空き家バンクなど
市街化調整区域の土地は売却が難しいケースが多いため、売れなかった場合の活用方法を検討することも重要です。
特に、自治体の制度を活用した転用や賃貸活用を行うことで、土地を有効に活かす手段があります。
公益施設や社会福祉施設への転用事例
市街化調整区域では、住宅建築が難しくても、社会福祉施設や公共施設としての転用であれば認められます。
ただし、事業者からの許可申請が必要なため、声がかかるのを待つか、不動産業者に紹介してもらえるよう仲介(不動産媒介)契約を締結しておくことになります。
実際に建てられる建物は以下のようなものです。
- 介護施設・デイサービスセンター
- 老人介護施設
- 病院
- 障がい者支援施設
このような施設の需要がある地域では、NPO法人や自治体が買い手となる可能性もあります。
特に、過疎化が進んでいる地域では、公共施設としての転用が自治体の支援を受けられる場合もあるため、事前に自治体へ相談してみるとよいでしょう。
空き家バンクや自治体のマッチングサービス利用
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家・空き地の売却・賃貸情報をまとめたデータベースです。買い手を探しにくい市街化調整区域の土地でも、こうしたサービスを活用することで売却のチャンスが広がります。
- 空き家バンクに登録する(自治体のウェブサイトから手続き可能)
- 自治体が主催する不動産マッチングイベントに参加
- 地域の活性化事業に協力し、補助金を受けながら売却
市町村によっては、移住促進事業と連携し、空き家や土地活用に力を入れているところもあります。
自治体のホームページなどで最新情報を確認し、活用できる制度がないかチェックしましょう。
駐車場や資材置き場として賃貸する
売却が難しい場合、土地を活用して賃貸収入を得る方法もあります。
特に、以下のような用途で活用が可能です。
- 月極駐車場として貸し出し(トラックや大型車両用のスペースとして需要あり)
- 資材置き場として貸し出し(建設会社や解体業者が利用するケースが多い)
- キャンプ場やアウトドア施設に転用(近年、アウトドアブームで需要増)
このような活用方法を検討することで、売却できない土地でも収益化することが可能です。
遠方在住や相続問題で管理が難しいときの対処法
市街化調整区域の土地を相続したものの、遠方に住んでいて管理が難しいケースも多く見られます。
このような場合、管理代行サービスの活用や、手放すための具体的な手段を検討することが重要です。
不動産所有者としての管理責任はどこまで?
土地所有者には管理責任が発生します。
特に、以下のようなリスクに注意が必要です。
- 雑草や不法投棄の問題:放置すると近隣住民とのトラブルに発展
- 境界トラブル:隣地との境界が曖昧な場合、後々の売却に影響するかもしれない
- 固定資産税の負担:利用していなくても毎年固定資産税がかかる
このような問題を避けるため、定期的な管理を行うか、早めの売却・活用を検討することが望ましいでしょう。
地元の専門業者・管理代行サービスに依頼する利点
遠方に住んでいる場合、地元の管理代行サービスを利用すると、手間をかけずに土地を維持できます。主なサービス内容には以下のようなものがあります。
- 定期的な草刈り・清掃
- 土地境界の維持管理
- 不法投棄や不法占拠の監視
費用は業者によって異なりますが、年間5万~15万円程度で対応してくれるケースが多いです。
長期的に維持する場合は、こうしたサービスの利用を検討するとよいでしょう。
相続放棄や国庫帰属制度は本当に得か?メリットとデメリット
相続した土地が不要な場合、「相続放棄」や「国庫帰属制度」を利用して手放す方法もあります。
- 相続放棄:相続を放棄することで、固定資産税の負担を回避。ただし、他の相続人に負担が移るため、家族間でのトラブルになる可能性がある。
- 国庫帰属制度:一定の条件を満たせば国が土地を引き取る制度。
ただし、審査が厳しい上、境界確定測量する必要があるなど、利用のハードルは高い
これらの制度を利用する場合、条件をしっかり確認し、専門家に相談するのが望ましいです。
よくある質問(FAQ)
市街化調整区域の土地に関するよくある質問と、その回答をまとめました。
「市街化調整区域から外す」ことは可能?
市街化調整区域から外すには、自治体の都市計画の見直しが必要です。
そのため、個人の希望で市街化調整区域から外すことはできません。
ただし、将来的に自治体が区域の再編を行う可能性があるため、最新の都市計画情報をチェックして
おくとよいでしょう。
「(自治体名) マスタープラン」と検索すると、その自治体の今後10年程度の開発方針を見ることができるので、市街化調整区域の取り扱いについても調べておくと良いでしょう。
建物が既にある場合、売却や用途変更はどうなる?
建物がすでにある場合でも、その建物を活用して売却することが可能です。
例えば、リフォームして販売したり、空き家バンクを利用して買い手を見つける方法があります。
ただし、再建築不可(分家住宅など)は既にご紹介したとおり、用途変更の許可が必要です。
行政書士などの専門家に依頼して、リスクもある事前に自治体へ確認が必要です。
買い手が見つからないときの最終手段は?
どうしても買い手が見つからない場合、以下の方法を検討できます。
- 訳あり物件専門の買取業者に売却(市場価格より低くなるが、確実に売れる)
- 自治体の引き取り制度を利用(特定の条件を満たせば、自治体が買い取る場合も)
- 寄付や無償譲渡を検討(NPO法人や団体に無償提供することで処分できることも)
買い手が見つかりにくい場合は、こうした手段を活用することで、早期の処分が可能になります。
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市街化調整区域の土地のような「訳あり不動産」の売却は、一般的な不動産会社ではスムーズに進まない場合も少なくありません。
そこで注目したいのが、「訳あり不動産専門の買取専門業者」です。
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