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市街化調整区域で家を建てる方法と手順:許可基準から農林漁業用建築物の条件まで徹底解説

市街化調整区域で家を建てる方法と手順. その他の許可

市街化調整区域での住宅建築は厳しい制限がありますが、特定の条件を満たせば許可されることも。この記事では、農林漁業従事者向けの例外や既存宅地利用、手続きの流れ、注意点を詳しく解説します。

ルール

市街化調整区域の定義と目的

市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、無秩序な市街化を防ぐために設定された地域です。この区域は、都市のスプロール現象(無秩序な都市拡大)を抑制し、農地や自然環境を保護することを目的としています。そのため、原則として新しい住宅や商業施設の建設が制限されています

家を建てる際のルール

市街化調整区域内では、一般的な住宅の新築は基本的に禁止されています

しかし、特定の条件を満たす場合例外規定に該当すれば建築可能です。

この記事では、市街化調整区域で家を建てるための具体的な条件や手順について詳しく解説します。

市街化調整区域で家を建てられる要件

農林漁業従事者向け建物(農家住宅等)は例外的に建築可能

市街化調整区域では、農林漁業従事者がその業務に関連する居住用住宅を建てる場合、開発許可が不要となる例外があります。これは、農家や漁師などがその仕事に必要な住まいを確保するためです。この制度は都市計画法29条に規定されています。

田畑や漁場などは広大な敷地が必要なため市街化調整区域に多く存在します。農家住宅などはその土地で働く農林漁業従事者の住居を確保するための制度です。

都市計画法
(開発行為の許可)
第二十九条都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。

2都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、それにより一定の市街地を形成すると見込まれる規模として政令で定める規模以上の開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。
農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

引用:都市計画法(昭和四十三年法律第百号) e-Gov法令検索

具体的には以下の条件を満たす必要があります。

  • 農業(漁業・林業)従事者であること: 農地で作物を育てたり、漁業、林業を営んでいることが条件です
  • 一定規模以上の経営: 家庭菜園などの自給自足レベルではなく、一定規模以上の農業(漁業・林業)経営が行われていることが求められる場合があります。

農業従事者(漁業・林業従事者)であることの証明は、各市町村役場で取得(農業の場合は農家基本台帳)できますが、漁協が発行する場合もあります。詳しくは、各都道府県知事等の許可権者に確認しましょう。

宅地利用が認められている土地

市街化調整区域内でも、既存宅地や分家住宅などの場合には、要件を満たせば専用住宅の建築が可能です。これらの基準は都市計画法第34条14号に規定されている、都道府県知事が決定する「開発審査会基準」にあります。

開発審査会基準は都道府県によって基準が異なります。そのため、建築したい市町村に適用される審査会基準を確認する必要があります。

たとえば愛知県では分家住宅(1号)やむを得ない自己用住宅(7号)です。そして、既存宅地(基準17号)であれば誰でも専用住宅が建築できます。

立地基準を満たした土地

市街化調整区域内でも特定の立地基準を満たした地域では住宅建設が可能です。例えば、34条11号地域です。34条11号地域は許可権者が指定し、属人性(分家住宅のような「誰が建てる」かについての要件が必要)がなく、属地性(「どこ(地区、土地)」に建てるかの要件)のみ必要であり、農地転用して専用住宅を建てることもできます。

愛知県では岩倉市、新城市の一部の地域が該当します。

開発済み分譲地

ディベロッパーなどによって開発された分譲地では、市街化調整区域内でも既に開発許可が取得されているため、新たな住宅建設は比較的スムーズです。これらの土地は販売時点で開発行為が完了しており、個別に開発許可申請を行う必要はありません。愛知県の市街化調整区域で分譲される土地は、ほとんどのが17号許可(既存宅地)です。

市街化調整区域で家を建てる手順

許可権者への事前相談

市街化調整区域で家を建てるために最初に行うべきは自治体への事前相談です。その土地で住宅建設が可能かどうかを確認する重要なステップであり、自治体ごとの基準によって異なるため、この段階で具体的な条件や手続きについて確認します。

開発許可申請

市街化調整区域で家を建てる際には、開発許可が必要になる場合があります。これは都市計画法第29条に基づくものです。市街化調整区域内で土地利用変更や区画整理などを行う際には必須です。開発許可申請には以下の書類・図面が必要です。

  • 要件を証明するもの(分家住宅であれば戸籍、既存宅なら土地謄本等)
  • 設計図(平面図、立面図、土地利用計画図、排水計画図、断面図等)
  • 関係権利者からの同意書
  • 申請地の登記簿謄本、公図、都市計画図(2500分の1の白図)
  • 開発許可申請書
  • 手数料

申請後は都道府県知事による審査が行われます。既存宅地であれば申請から許可まで1ヶ月程度です(愛知県)。また、分家住宅等でも同じ程度の処理期間です。

ただし、申請地が農地の場合には2ヶ月農振農用地であれば半年以上かかります。

建築確認申請

開発許可後(または不要の場合)、次に建築確認申請を行います。これは建物自体が建築基準法などに適合しているかどうかを確認する手続きです。この申請には設計図や配置図などが必要です。そして確認済証が交付されれば工事着手が可能となります。

農林漁業用建築物に関する特別な基準

農林漁業用施設の基準

市街化調整区域では農林漁業用施設として認められる建築物については特別な基準があります。例えば以下のような施設は開発許可なしで建設できる場合があります。

  • 畜舎(家畜飼育施設)
  • 温室(作物栽培用)
  • サイロ(飼料貯蔵施設)
  • 漁具保管施設

これらはすべて農林漁業活動に直接関連するものである必要があります。また、小規模な施設については特例としてさらに簡便な手続きとなります。

農家住宅の条件と手続き

農家住宅の場合は農業従事者であることが条件です。愛知県であれば、年間60日以上の農業従事が必要です。

市街化調整区域で家を建てる際の注意点

インフラ整備状況

市街化調整区域ではインフラ(上下水道・電気・ガスなど)が未整備の場合も多いです。そのため、自身でインフラ設備を導入する費用や時間も考慮する必要があります。また、一部地域では井戸水や浄化槽など代替インフラ設備を使用するケースもあります。

自治体ごとの違い

市街化調整区域内での建築条件や手続きは自治体ごとに異なるため、自分の土地に適用されるルールについて必ず確認してください。同じ市町村内でも地域によって判断基準が異なることがありますので注意が必要です。

トレーラーハウスなど代替案

市街化調整区域内で固定資産税対象外となるトレーラーハウスなど、一時的または移動可能な住居として利用できる選択肢もあります。これらは固定された住宅とは異なる扱いになるため、市街化調整区域でも比較的自由に設置できる場合があります。ただし、長期間使用する場合には自治体への相談がおすすめです。

結論

市街化調整区域では原則として新しい住宅を建てることは難しいですが、農林漁業従事者向けの例外や既存宅地利用など、一部条件下では可能になるケースがあります。また、それぞれの手続きには時間と労力がかかり、多くの場合専門家との連携も重要になります。最終的には、自分自身の状況と土地条件に合った方法を選びつつ、自治体との綿密な協議を進めることが成功への鍵となります。

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