市街化調整区域とは?家が建てられない?農地転用が難しい?

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市街化調整区域とは?家が建てられない?農地転用が難しい?

マイホームを建てるために土地探しをしていると、「市街化調整区域」というお値打ちな土地が出てきたことはないでしょうか?

気になって調べてみると、「都市計画法の許可が受けられる場合に限り~」「市街化調整区域のため建築不可」等、きな臭い言葉が並んでいる。
調べてみたいけど、何から調べたら良いかすら分からない、という方も多いことでしょう。

本記事では、市街化調整区域の特徴、市街化調整区域で建物を建てられる条件について詳しく解説します。

市街化調整区域って何?

日本の土地は無計画な開発を防ぐために、都市計画法で都市計画区域準都市計画区域都市計画区域外という3つの区域に分けられています。

その中で、都市計画区域は「都心の市街地から郊外の農地や山林のある田園地域に至るまで、人や物の動き、都市の発展を見通し、地形などからみて、一体の都市として捉える必要がある区域」とされています。

また、高速道路のインター周辺や幹線道路の沿道等で良好な景観を守るようなエリアを準都市計画区域と指定しています。

更に、都市計画区域は下記の3つに区分されます。

市街化区域:すでに市街地になっている区域や計画的に市街地にしていく区域
市街化調整区域:市街化をおさえる区域
非線引き区域:まだ市街化区域・市街化調整区域を決定していない区域

それぞれの具体的なイメージ、内容は次のとおりです。

市街化区域

市街化区域は既に市街化が進んでおり、インフラや住宅街、商業施設の会開発行為を計画的に進めるエリアです。
各市町村の中心部や繁華街などが該当します。

市街化調整区域

市街化調整区域は市街化を抑制するエリアとされており、建物の建築・土地造成などのいわゆる開発行為が原則禁止されています。
そのため自然環境が保護され、農林業(+少し水産業)が行いやすいエリアとなっています。

ただし、農林業を営む人、昔からそのエリアに住んでいる人たちの家や、住民たち向けの病院・店舗・福祉施設などは例外的に許可を受けて建築することができます。

都市計画区域の区分

市街化調整区域の特徴

では、市街化調整区域にはどんな特徴があるのでしょう。
主なものは次のとおりです。

  • 土地が安く手に入るかもしれない
  • 自然豊かで静かな環境
  • 生活の利便性が低い
  • インフラが未整備

土地が安く手に入るかもしれない

市街化調整区域は特定の人しか建築できず、建て替えにも制限があるため、不動産の流通が鈍く、価格が全般に安くなっています

また、都市計画税が非課税であり、土地価格が安いために固定資産税も低くなるというメリットがあります。

自然豊かで静かな環境

市街化調整区域は、開発を抑制するエリアのため、自然豊かで比較的静かな生活が送れます。
静かな生活環境を求めている方にはベストな地域と言えるでしょう。

生活の利便性が低い

市街化調整区域で店舗や病院などを建築するには許可が必要で、市街化区域に比べて集客も期待できないため、店舗などが少ない傾向にあります。
また、駅やバス停が遠く、車が無いと生活が難しいかもしれません。

インフラが未整備

下水道・都市ガス・電気・道路といったインフラが不十分な場合が多いです。

これは、市町村などが人口密集地を優先的にインフラ整備するためで、やむを得ないとも言えます。

そのため、住宅建築を計画する場合はプロパンガスかどうか、下水が無ければ浄化槽の設置など、どんな費用がかかるかを事前に確認しておきましょう。

場所によっては井戸水が使えたり、思わぬ恩恵に預かれることもあります。

市街化調整区域と市街化区域の比較

市街化調整区域で家を建てる方法

では、そんな自然豊かな市街化調整区域で家を建てることはできるのでしょうか?

本章では、市街化調整区域で家を建てられるケースについて、条件・具体例を紹介致します。
※愛知県の場合(愛知県開発審査会基準)を例に解説していますが、他の都道府県でも同様の制度があります

都市計画法34条に規定された要件を満たせば建築可能

市街化調整区域は建物の建築や開発行為は原則禁止ですが、都市計画法第34条で規定された要件を満たせば建設許可を得て、建物の建設が可能になります。

分家住宅(愛知県開発審査会基準第1号)

市街化調整区域に昔から住んでいる人の子や孫は、分家住宅という制度で新たに住宅建築が可能です。

市街化調整区域決定前(愛知県は昭和45年11月23日以前)から現在まで本家が継続存在しており、世帯構成員の子・孫が分家する場合、他に利用可能な土地がなければ、分家住宅の許可を受けて建築できる可能性があります。

例えば昭和44年から代々市街化調整区域に住んでいる山田さん一家、長男の太郎さんが結婚を機に分家として、祖父の所有する農地に一戸建を建築するケースを考えます。

【分家住宅の許可条件】
申請地は、市街化調整区域に指定される以前から本家(父母・祖父母等の直系血族)が所有している
・山田太郎さんは本家の世帯構成員であった者の3親等以内の血族
持ち家がないこと(借家または本家に住んでいる)
結婚していること(婚姻前の場合は婚姻証明書が必要)
他に利用可能な土地が無い(特に、市街化区域に土地を持っていると利用できない理由を厳しく調べられます)

詳しくは市町村役場または行政書士に相談しましょう。

分家住宅の記事はコチラ(「長男」でも建てられる!愛知県の分家住宅建築完全ガイド

市街化調整区域の不動産を購入する際に注意すること

市街化調整区域の土地を購入する際、下記のポイントに注意しましょう。
土地の地目(特に、宅地以外は要注意)
既存建物の建築年月日(昭和44年以前の建物かどうか)
住宅ローン審査が厳しくなる可能性が高い
転売や賃貸ができない

それぞれについて詳しく解説します。

土地の地目

土地の地目は宅地・田・畑・雑種地等があり、登記簿謄本で確認できます。
宅地の場合は「既存宅地」と「新宅地」で、建てられる条件が変わります。
また、農地(田・畑)、雑種地の場合は既に解説した「分家住宅」での建築が基本となります。

既存宅地

愛知県では、昭和45年11月23日以前から宅地(いわゆる既存宅地)であれば、「誰でも」購入して建築許可を受けることができます。

ただし、市街化調整区域で「誰でも」住宅建築できる土地のため、既存宅地は人気があり、多くの場合は近隣の市街化区域の土地と変わらない価格で販売されています。

既存宅地(愛知県開発審査会基準第17号)については、こちらの記事を参考にしてください。
愛知県開発審査会基準第17号とは?初心者にもわかる、「既存宅地」を徹底解説!

新宅地

分家住宅の許可を受けて住宅を建てると、元が田畑や雑種地であったとしても地目が宅地となり、このような宅地は既存宅地と区別するために「新宅地」と呼ばれます。

新宅地も売りに出ていることがありますが、「新宅地のため許可必要」等の情報が書かれており、「??」となる方も多いでしょう。

新宅地は現在宅地ですが、新たに建物を建てるには分家住宅、若しくはやむを得ない事情により手放す(用途変更)などの許可が必要です。
※用途変更についてはこちらの記事(分家住宅を一般住宅に!用途変更に重要なポイント(愛知県版))を参照してください

農地(田・畑)の場合

地目が農地(田・畑)の場合は、更に注意が必要です。

市街化調整区域の農地を購入して住宅建築するためには都市計画法の手続に加えて農地法第5条の許可手続きも必要です。

農地法の許可は対象地が優良農地かどうか、宅内排水が隣接農地に迷惑をかけないか、地元の承諾を得られるかなど、ハードルがとても高くなります。

安く販売されていることが多いですが、「宅地化できない」から安い、というケースがほとんどです。

市街化調整区域の土地、地目別の特徴とは?

既存建物がある場合は、建築年月日(昭和44年以前の建物かどうか)を確認する

建物が現存している場合、市街化調整区域決定前(昭和45年11月23日以前)から建っている建物かどうかを確認しましょう。

市街化調整区域決定前からの建物は、同一用途(住宅➡住宅)であれば許可不要再建築可能と、貴重な物件です。
お手頃価格で発見した場合は、すぐに問合せしましょう。

また、建築年月日は登記簿謄本や固定資産税の評価証明書などで確認できます。
固定資産税の評価証明書の場合は、建築年月日が年単位で書かれているため、「昭和44年以前」かどうかを確認しましょう。

住宅ローン審査が厳しくなる可能性が高い

市街化調整区域の物件は用途制限(転売・賃貸ができない)があり、地価評価も低いため、審査が厳しくなる傾向にあり、住宅ローンの融資対象外にしている金融機関も存在します。

ただ、JAや地元の信用金庫などは逆に市街化調整区域の融資が得意なこともあるので、色んな金融機関に当たってみましょう。

市街化調整区域の住宅ローンについては、こちらの記事をご覧ください。
分家住宅は住宅ローンが通らない?100件以上のローン成功事例の傾向とは

転売や賃貸ができない

市街化調整区域での住宅建築は、既存宅地を除くと昔から住んでいる世帯の子・孫(分家住宅)など特別な要件に限られます。

そのため、建築した建物を転売したり、賃貸することは禁止されています。

投資目的などで建築を考えている方は、諦めた方が良いでしょう。

まとめ

市街化調整区域は土地価格が安く自然豊かな一方、原則建築不可という高いハードルがあります。

しかし都市計画法34条許可や愛知県開発審査会基準1号(分家住宅)、昭和45年以前の既存宅地・既存建物の活用、農地法5条手続きなど、条件を正しく満たせば住宅建築は十分可能です。

購入前には①地目と既存宅地区分②昭和45年以前の建物有無③住宅ローン対応金融機関④転売・賃貸制限⑤インフラ整備コストを必ず確認しましょう。

チャンスとリスクを正確に把握し、行政書士や不動産業者に早めに相談することで、静かな環境と将来資産価値の両立を図れます。

市街化調整区域のメリットを最大化しつつ、許可取得と資金計画の障壁をスマートに乗り越えて、マイホーム建築を実現させましょう。

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