広告
のコピーのコピー-2-800x450.jpg)
「農家住宅」と「分家住宅」、このふたつの住宅をご存じですか?
どちらも市街化調整区域に家を建てる際に関わる重要な制度ですが、実はその要件や許可の仕組み、そして利用できる人の条件には大きな違いがあります。
この記事では、農業を営む方や親から土地を引き継いだ方が、どちらの制度を利用すべきかを判断するために必要な情報を、わかりやすく丁寧に解説しています。
「許可がいらないのはどっち?」「将来的に売ることはできるの?」といった、よくある疑問にも答えながら、農家住宅・分家住宅それぞれの特徴、メリット・デメリット、手続きの注意点を比較します。
今後の住まいの計画や土地活用に役立つ、実践的な知識が満載です。
農村地域で家を建てようと考えている方は、ぜひ最後まで読んでご自身に合った選択肢を見つけてください。
農家住宅とは?―30秒でわかる基礎知識
「農家住宅=農家しか建てられないの? 手続きが難しいのでは?」
そんな疑問を解消するため、農家住宅建築に大事な要点3つを先に押さえましょう。
- 農業従事が前提だが開発許可は不要
※ただし、「開発許可が不要であることの証明」を取得する手続きが必要です - 最大1,000㎡の広い敷地が使える
- 転売制限(基本的に売却禁止。売却する場合はがあるため長期居住向け
農家住宅の定義と目的
農家住宅は、農業を営む本人または世帯が農地の近くに建てる居宅です。
都市計画法29条第1項2号により、市街化調整区域でも例外的に建築が認められます。
農家住宅の目的は「農地隣接で作業効率を高め、農業経営を継続しやすくする」であるため、兼業農家でも一定の出荷額(年間15万円以上)・従事日数(年間60日以上)を満たせば対象になります。
農家住宅建築のための条件
農家住宅を建築するためには、下記の条件が求められます。
- 建築主=農家(農業委員会の農業従事者証明が必要)
- 営農地と同一地区内に建築
- 1世帯あたり1戸のみ(セカンドハウスは不可)
農業従事者証明は、年間60日以上の農業従事(兼業可)、年間15万円以上の出荷実績等、農業委員会への報告が必要となります。
農業従事者になるまでの流れは次のようになります。
農業従事者になるまでの流れ
「今日から農業をする」と考えるだけでは、役所の認める農業従事者にはなれません。
現在の状況によって、下記の手順を踏む必要があります。
現在すでに農業を行っている方
市町村の農業委員会が管理する「農地台帳」に登録されている方は、特に手続き不要です。
建築主が掲載されている農地台帳の写しを農業委員会で交付請求すれば、発行してもらえます。
親が農業を行っているが、自分はこれから農業を手伝う
親・祖父母が農業を行っている場合は、一定期間の営農を行った上で農地台帳登載・変更の届出により、農業従事者として登録できます。
※同じ世帯として登録されます
愛知県では年間60日以上の営農が必要とされていますが、登録できる条件については各市町村の農業委員会で確認してください。
これから農業を始める(新規営農)
これから農業を始める場合は、まず農業ができる環境整備から行います。
具体的には次の3点が必要です。
- 農地の確保:通常は賃貸から始める
※農地法第3条の手続が必要です - 農機具の手配:購入、リース、知り合い・近所の農家から借りるでも、農機具が準備できれば良い
- 営農計画の策定:作付面積の決定、土づくり、種まき・収穫など年間の計画を表にまとめる
農業委員会と相談した上で営農を実施し、営農してから農業従事者証明が取得できます。
農家住宅を建てるために『農業を始めてみる』というのは、費用・期間が膨大なため見合わないでしょう。
新規営農してその地域に骨を埋める覚悟のある方にのみ、新規営農➡農家住宅をお勧めします。
メリットと注意点
農家住宅のメリットと注意点は次のようになります。
メリット
- 許可手続きが不要で費用・期間を圧縮
※「許可不要の証明」の取得に2~4週間必要です(開発許可の場合は4~6週間) - 農地近辺に家を建てられるため、農作業にかかる移動時間を大幅短縮できる
- 敷地は1,000㎡まで使え、倉庫も併設可能(分家住宅では最大500㎡)
- 農地を転用して宅地化できる(農地法の許可手続きが必要です)
注意点
- 農業を辞めると転売・転用が困難
- 住宅ローンの担保評価が下がりやすい
▼ 市街化調整区域に強い住宅会社を一括比較 ▼
「農家住宅を建てたいけれど、どのハウスメーカーが得意かわからない…」
全国100社以上の中から市街化調整区域OKの会社だけを絞り込み、来場予約をまとめて依頼できます。
費用は完全無料、最短1分で完了!
展示場の一括予約はこちらから
分家住宅とは?基本情報から要件まで
ここでは、市街化調整区域で建てられる代表的な要件、分家住宅について解説します。
昭和45年以前から親・祖父母が市街化調整区域に住んでいる方や土地を持っている方は必見です!
分家住宅とはどんな住宅なのか
分家住宅とは、親族世帯から独立して新たに設けられる住宅を指します。
特に市街化調整区域において、通常は住宅建設が難しいエリアであっても、特定の条件を満たすことで居住を目的とする住宅の建築が許可される制度です。
この制度は、親族の分家がその土地で生活を続けるための住環境を確保することを目的としています。
農家住宅と分家住宅の違いとして、分家住宅は主に親族間で土地を相続・贈与された場合に建てることができ、建築主が農業をしていなくても良い点が特徴です。
分家住宅を建てる際の条件とプロセス
分家住宅を建てる場合も、いくつかの条件を満たす必要があります。(愛知県の場合)
- 申請者は線引き前から本家と同一世帯であった者
- 土地を直系尊属(両親・祖父母)から相続や贈与により取得したこと
- 建築主とその配偶者、建築主の両親・祖父母が他に利用できる土地を所有していない
- 敷地面積は500㎡未満
- 土地が農地の場合は農地転用許可を取得する必要がある
- 2世帯住宅は禁止
詳しくは、分家住宅についての記事を参考にしてください。
分家住宅に必要な許可と自治体との連携
分家住宅を建築する場合には、自治体の許可が必要です。
市街化調整区域内での建築を行うため、自治体の条例や規定に準じた計画を立てることが重要です。
農家住宅と分家住宅の違いの一つとして、分家住宅は本家との親族関係や土地の取得経緯など要件となっています。これらの要件を確認するため、自治体との慎重な連携が不可欠です。
分家住宅建築での注意事項
分家住宅を建築する際にはいくつかの注意点があります。
まず、申請者本人が住宅所有を必要とする正当な理由を明確にする必要があります。しかし、結婚していて持ち家が無い(借家住まい若しくは実家住み)、ということであれば大丈夫です。(愛知県の場合)
次に、申請地は申請者が許可後に取得しなければなりません。
愛知県開発審査会基準第1号(分家住宅)
運用基準13 申請地は、申請者の自己所有地又は許可後自己所有地となる土地であること。
引用元:開発審査会基準第1号(愛知県)より
贈与税がかかるため、簡単に「はいそうですか」とはなりませんが、注意が必要です。
ただ「許可後『すぐ』」ではないので、タイミングを見て名義変更すると良いでしょう。
また、分家住宅は農家住宅と同じく、原則、転売や貸出しは禁止です。
そのため、住宅建築後の利用計画をしっかりと立てておくことが重要です。
加えて、各自治体によって具体的な要件が異なるため、事前に自治体と十分に相談し、不明点を解消することが大切です。
農家住宅と分家住宅の違いを徹底比較
市街化調整区域で建築できる住宅の「農家住宅」と「分家住宅」の違いについてまとめてみました。
建築許可の要・不要の違い
農家住宅と分家住宅の大きな違いとして、建築許可(開発許可)の要否が挙げられます。
基本的に、農家住宅は市街化調整区域でも開発行為の許可(建築許可・開発許可)が不要とされており、農業を営む人が農地の近くに建築する住宅として認められる仕組みです。
一方、分家住宅では通常の建築許可が必要です。
これは分家住宅の要件(昔から所有している土地、または昔から調整区域に住んでいる、他に所有地が無い、建築主が結婚している等)の審査があり、厳格な手続きが必要であるからです。
建築主の条件と対象となる世帯について
農家住宅と分家住宅のもう一つの重要な違いは、建築主の条件にあります。
農家住宅は、農業に従事している者、もしくはその世帯が居住することが前提です。
これは兼業農家も含まれ、農業を辞めた場合や、農地を他者に譲渡する際には制限がかかる点に注意が必要です。
一方、分家住宅の場合は、親世帯から独立した世帯が対象となります。
具体的には、本家から相続・贈与された土地を利用し、新しい住居を建築する場合に認められます。
また、申請者には他に住宅用地を所有していないことや、土地を元本家から正式に取得したことを証明する必要があるなど、対象者は厳密に限定されています。
このように、農家住宅は農業従事という要件が必要ですが、分家住宅は親・祖父母の状況が重要となります。
そのため、分家住宅は建築主の意思に関係なく「建築できる・できない」が決まります。
しかし、農家住宅については建築主が「農業をする」という条件さえクリアすれば、建築できることになります。
ただ、「農業をする」ことは容易でなく、下記のような準備が必要です。
- 農地の確保(農地を持っていない場合)
- 農機具の確保:知り合いから借りてもOK、賃料が発生する場合もある
- 農業技術の習得:市町村が研修してくれる場合もあります
- 資金の確保:農業経営(営農)するための資金(数百万~)の準備
家を建てるためだけに、農家を始めてしまうと大変なことになってしまいます。
そのため、農家住宅は親や親戚が農家である、または実際に農業を既に行っていたり、農業系の学校を出ていたりする方におススメです。
面積要件について
敷地面積についても分家住宅と農家住宅では大きく違います。
愛知県の場合、分家住宅の敷地は原則500㎡以下です。
しかし、農家住宅は農業用倉庫などを想定しているため、1,000㎡まで可能です。
もちろん分家住宅でも150坪(約450㎡)使えれば十分ではありますが、特に敷地を広く使いたいという場合、農家住宅であれば更に広い敷地での建築が可能です。
要件等のまとめ
農家住宅・分家住宅の要件等のまとめは以下のとおりです。
農家住宅 | 分家住宅 | |
建てられるエリア (共通) | 市街化調整区域 | 市街化調整区域 |
土地の地目 (共通) | 農地(田畑)もOK、宅地、雑種地その他 | 農地(田畑)もOK、宅地、雑種地その他 |
売却・貸借 (共通) | 禁止 ※建築主の破産・死亡等については、 許可を受けて売却可能 | 禁止 ※建築主の破産・死亡等については、 許可を受けて売却可能 |
土地の面積 | 1,000㎡以下 | 500㎡以下 |
許可の要否 | 許可不要 ※「許可不要の証明書」発行手続きが必要 | 開発許可または建築許可が必要 |
許可までの期間 | 2~4週間(非農地の場合) 2ヶ月弱(農地の場合※農地転用許可有) | 4~6週間(非農地の場合) 2ヶ月弱(農地の場合※農地転用許可有) |
建築主の条件 (血縁等) | 農業従事者であれば、誰でも建築可 | 市街化調整区域決定前からの世帯の 子・孫のみ |
建築主の条件 (血縁以外) | 営農していること(年間60日以上) ※農業を廃業してしまうと、 建て替え等ができなくなる | 結婚している(Uターンの理由が必要) 建築主が亡くなっても引き続き使える 建て替え等も可能 |
農家住宅・分家住宅のメリット・デメリットを検証
農家住宅・分家住宅のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
農家住宅・分家住宅のメリットは次の3点です。
- 市街化調整区域で住宅が建てられる
- 農地(田、畑)でも転用して宅地化できるため、親の土地を譲ってもらったり、近所の農地を安く買って家を建てることができる
- 広い土地を宅地化できる(分家住宅は500㎡、農家住宅は1,000㎡まで)
デメリット
農家住宅・分家住宅のデメリットは次の4点です。
- 手続きが必要:分家住宅は開発許可(または建築許可)、農家住宅は許可不要ですが「許可不要の証明」を取得する手続きが必要です
- 時間と費用が必要:許可手続きに1~2カ月必要で、事前相談や測量も含めると半年程度かかることがあります
- 厳しい要件がある:農家住宅は「農業従事者であること」、分家住宅は「市街化調整区域決定前からの世帯の子・孫であること」が要件で、他にも細々とした条件がある
- 住宅ローンの評価が低くなりがち:市街化調整区域の土地はそもそも評価が安く、賃貸・売却ができないために、住宅ローンの評価額は低くなりがちで、銀行によっては融資相談自体を受け付けてないところもあります
メリットはわかったけど「自分でも建てられる?」と感じたら
農家住宅・分家住宅に対応実績のある住宅会社を100社以上から無料で一括リストアップ!
一括で来場申し込みができます!
- 市街化調整区域の許可実績多数
- 自宅近くの展示場・店舗への一括申込が可能
- しつこい電話なし、メール中心で安心
- 来場完了社数分のAmazonギフト5,000円がもらえる!!
【持ち家計画】サイトから4社の展示場に予約して来場すれば、20,000円分のAmazonギフト券がもらえる
市街化調整区域OKの会社を無料で探す
農家住宅・分家住宅どっちが良いの?向いている人は?
農家住宅・分家住宅の要件、メリット・デメリットについて解説してきました。
「結局、農家住宅・分家住宅のどっちが良いの?」
「ウチの家庭はどちらが向いてる?」
「両方の要件(農家住宅・分家住宅)があるんだけど、どっちにすれば良い?」
特に、昔からの農家の方であれば両方の要件を持っている人がほとんどでしょう。
結論としては、「分家住宅」がお勧めです。
分家住宅がお勧めの理由
分家住宅がお勧めの理由は次の3点です。
- 許可時に分家住宅の要件があれば、建築主が亡くなっても子供たちが建て替え可能
- 一戸建ての敷地として500㎡あれば十分広く、家庭菜園・駐車場も広く確保できる
- 営農するなど、生活を変える必要が無い
農家住宅に比べて、「農業従事者である」という縛りがないので、許可に多少時間がかかったとしても、建築後の生活には貸借・売却禁止以外にはあまり制限が無いため、許可のことを気にせず生活ができます。
農家住宅がお勧めの方はどんな人?
農家住宅がお勧めの方は、下記のどちらかに該当する方です。
- 現在農業従事者である
- 住みたいエリアが市街化調整区域で、縁も所縁もない
現在、農業従事者である方は農業用の作業所や作業場を確保するため、耕作している農地の近くに広い敷地の自宅が必要となります。
そのため、1,000㎡まで宅地化できる農家住宅がお勧めです。
また、住みたいエリアが市街化調整区域だけど、縁も所縁もなく、分家住宅が建てられないにも農家住宅がお勧めです。
こういった方は、愛知県であれば「既存宅地」を検討すべきですが、市街化区域と地価があまり変わらず、予算オーバーしてしまうかもしれません。
しかし、農家住宅なら安い田畑を買うこともできるため、建物に予算をかけることができます。
このように、農家住宅と分家住宅の違いを理解し、それぞれの条件やメリット・デメリットを考慮しながら選択することが重要です。
まとめ|農家住宅と分家住宅のポイント総整理
市街化調整区域に家を建てる手段として代表的な 「農家住宅」 と 「分家住宅」。
どちらも通常は建築が難しいエリアに住まいを確保できる制度ですが、要件・手続き・将来の自由度が大きく異なります。
農家住宅 は「農業を継続すること」が前提で、開発許可が不要というメリットがあります。
最大 1,000㎡ と敷地を広く使える反面、農業従事をやめた場合は転売や用途変更が難しく、住宅ローンの担保評価が低くなる点に注意が必要です。
分家住宅 は「親族世帯からの独立」を支援する制度で、建築許可(開発審査会議決など)が必須です。
敷地は 500㎡ 未満が原則で、親族関係や土地取得の経緯を証明する書類が求められます。
農業従事の要件はないため対象範囲は広いものの、許可取得には時間と費用がかかり、こちらも転売・貸出しは制限されます。
両制度ともに共通するのは「長期居住を前提にすること」です。
短期的な転売や賃貸には不向きで、立地・ライフプラン・資金計画を総合的に検討する必要があります。そのため、次の点を押さえておくと安心です。
- 自治体と早めに相談:市街化調整区域の運用基準は自治体ごとに微妙な差があります。要件の最新情報は必ず直接確認しましょう。
- 将来の農業計画・家族構成を具体化:農業収支や家族のライフステージの変化を見越した上で制度を選択すると、後悔を減らせます。
- 資金調達方法の比較:転売制限がある分、金融機関によっては評価が低くなることも。複数行で審査条件を比較すると安全です。
まとめると、「農業に継続的に取り組む意思がある」なら農家住宅、「親族の土地を受け継ぎ、地域に暮らし続けたい」なら分家住宅が有力な選択肢になります。
いずれの場合も、制度のメリットだけでなく制限や手続きの負担を把握し、将来設計と照らし合わせて最適な道を選びましょう。
ただし、ハウスメーカーによっては市街化調整区域での建築に慣れている・慣れていない、といったケースがあります。
しかし、一括予約を行っておけば、幾つかのハウスメーカー・工務店を比べることができるため、市街化調整区域での建築に前向きなハウスメーカーを見つけられるでしょう。