「愛知の市街化調整区域で土地を買って家を建てたい」と考えていませんか?
土地価格が安く広い敷地が手に入りやすい一方で、厳しい建築制限や手続きの複雑さなど課題も多いのが実情です。
本記事では、愛知の市街化調整区域で土地購入する際の要点や許可条件を解説します。
市街化調整区域に興味がある方は必見です。
「土地が高い都市部では厳しいから、価格の安い市街化調整区域を選びたい…」とお悩みの方も、最後まで読めば、建築ができるケースや具体的な注意点を理解できます。
愛知の市街化調整区域で土地を買って家を建てる魅力と課題
市街化調整区域で土地を買って家を建てる魅力、そして課題について詳しく解説します。
広い敷地を安く購入できるメリット
愛知県の市街化調整区域は、都市部より土地価格が安いことが最大の魅力です。
さらに、広めの敷地を確保できるため、庭や駐車スペースをゆったりと取りたい方には注目ポイントでしょう。
ただし、その反面、建築が厳しく制限されていることを理解しておかないと、「買ったのに家が建てられない!」なんて事態に陥る恐れもあります。
厳しい建築規制と許可の必要性
市街化調整区域は、都市計画法によって開発を抑制するために設定されています。
建物の新築は原則禁止で、家を建てるには特別な許可が必要です。
要件を満たさない場合は、土地を買っていても家が建てられないので注意しましょう。
愛知県の市街化調整区域とは?押さえておきたい基礎知識
愛知県内には多くの市街化調整区域が存在し、自然環境や農地を守る役割を担っています。
ここでは基本的なポイントを整理しておきます。
そもそも市街化調整区域って何?
市街化調整区域とは、「無秩序な都市化を防ぐ」ために開発を抑制する地域です。
建物の新築は原則禁止で、例外的に自治体の許可を得た場合のみ建築できます。
※愛知県知事若しくは市長の許可が必要です
愛知県の場合、愛知県開発審査会基準に則って「分家住宅」「やむを得ない自己用住宅」「既存宅地」など複数の枠組みが設けられており、要件を満たすと許可が降りる仕組みです。
開発審査会基準のポイント:分家住宅・自己用住宅・用途変更など
市街化調整区域で家を建てる際、愛知県開発審査会の基準をクリアする必要があります。
ここでは主要なケースをざっくり紹介します。
1. 分家住宅(愛知県開発審査会基準第1号)
「親元から独立する子が家を建てる」という考え方に基づいた要件です。
市街化調整区域決定前(愛知県では昭和45年11月23日以前)からあった世帯が分化(子や孫の独立)の過程において、新たに家を建てる場合に認められる許可です。
親や祖父母が線引き前から市街化調整区域に住んでいる、建築地の土地を持っているといった人の属性による条件(「属人性」と言います)が重要視され、誰でも簡単に建てられるわけではありません。
ただし、属人性の要件を満たす場合には農地でも建築可能で、強力な要件です。
主な要件は次のとおりです。
- 親・祖父母が線引き前から市街化調整区域に住んでいる(大規模分家住宅の場合)
- 親・祖父母が線引き前から申請地を持っている(一般分家住宅の場合)
- 申請者が結婚している
- 申請者、配偶者(妻または夫)、親・祖父母が他に利用可能な土地を持っていない
※市街化区域に土地を持っている場合は基本的に許可NGです
2. やむを得ない自己用住宅(基準第7号)
「現在居住中の家が手狭(賃貸、実家住み)」といった事情がある場合に認められます。
現在は分家住宅とほぼ同じ属人性が必要です。
要件の細部をチェックしましょう。
3. 用途変更(基準第16号)
分家住宅など、都市計画法の許可を受けて建てた「属人性のある既存建物」を「一般住宅」に用途変更する許可手続きです。
実例
下記のようなケースが該当します。
- 5年前に分家住宅を建てたものの、所有者が破産してしまい売却せざるを得なくなった
- 40年前に農家住宅を建てたが建築主は死亡し、建築主の妻は認知症で住むことが難しくなり介護施設に入居することになった
- 昔建築した分家住宅が山間部にあり、運転免許証を返納したら買い物や病院の通院が難しく、子どもも遠方で住んでいるため生活ができないので、やむを得ず引っ越すことにした
このような「やむを得ない」事情がある場合、分家住宅などから一般住宅へ用途変更して売却することが可能です。
要件
やむを得ない事情については「死亡、破産、病気」などかなり重い事情が必要で、許可権者(愛知県や市役所)との十分な打ち合わせが必要です。
なお、用途変更は厳密に言うと、買主が新たに許可を受けてその家の使用者・所有者となります。
また、買主の要件はかなり緩く、下記の条件があれば基本的に認められます。
- 持ち家が無い(土地を持っていてもNG)
- 現在の住まいが賃貸又は実家住み
- 家を購入する必要がある(結婚している等)
このような要件なので、家を探している方はほとんどが買主の要件に該当します。
そのため用途変更の許可を受けられる土地建物は、比較的価格が高めです。
4. 既存宅地(基準第17号)
線引き前から宅地として使われている場合、属人性に関係なく許可を受けて家を建てられます。
ただし、誰でも建てられる上、宅地分譲も可能なので土地価格はそこまで安くない場合も多いです。
値段重視ではなく、自然豊かで静かな市街化調整区域に住みたい方におススメです。
【具体的ステップ】愛知で市街化調整区域の土地を探すには?
以下の手順で進めると、失敗や無駄な出費を抑えやすくなります。
- 属人性の有無を確認:
「実家が市街化調整区域にある」、「親・祖父母が昔から持っている農地がある」、といった場合には分家住宅など属人性のある許可を受けられる可能性があります。
属人性がない場合は、既存宅地(17号)や用途変更(16号)の物件を探しましょう。 - 希望エリアの不動産情報をリサーチ:
市街化調整区域で売りに出されている土地を探す。 - 役所や専門家に相談:
購入予定の土地が本当に許可要件に合うかを照会する - 金融機関との事前打合せ:
ローン審査について確認。市街化調整区域はローン審査が厳しめです。
※参考記事:分家住宅は住宅ローンが通らない?分家住宅100件以上のローン傾向を暴露 - 契約・許可申請:
不動産契約後に正式な建築許可を申請します。許可が下りたら家づくりスタート
物件情報だけでなく、自治体への確認や専門家との相談が必須ステップです。
許可要件が曖昧なまま購入してしまうと「建てるつもりが建てられない」など取り返しのつかないトラブルに発展するかもしれません。
配偶者や両親の実家要件も要チェック
大規模分家住宅などの場合、配偶者側の実家が要件を満たしているケースがあります。
自分がNGでも、奥様やご主人の実家をたどると条件クリアできることもあります。
そのため、できるだけ多くの可能性を検討しましょう。
実際に視点を変えて、許可を受けられたケースも存在します。
市街化調整区域で家を建てるメリット・デメリット
メリットとデメリットを簡単にまとめると、以下のようになります。
- メリット: 土地が安い / 広い敷地が得られる / 自然環境が豊か
- デメリット: 建築許可が必要 / インフラが不十分 / 生活利便性が低い / ローン審査が厳しい
「庭付きの広い家に住みたい」「費用を抑えたい」という人には魅力的です。
しかし、事前の確認をしっかり行わなければ後悔につながる可能性も高いです。

まとめ:愛知の市街化調整区域で土地を買うなら「許可要件の把握」がカギ
愛知の市街化調整区域で土地購入を検討する場合、分家住宅(基準第1号)・自己用住宅(基準第7号)などの許可要件を理解することが欠かせません。
親が昔から市街化調整区域に住んでいるなどの属人性が無い場合、既存宅地や用途変更(16号・17号)での許可を視野に入れ、専門家に相談しながら進めるのが安心です。
広い敷地を安く手に入れられる魅力と、建築制限やインフラ面のデメリットを比較し、自分のライフスタイルに合うか慎重に見極めましょう。
もし迷う場合は、市街化調整区域に詳しい行政書士や不動産の専門家に相談してみるのがおすすめ。「本当に家が建てられるか」を購入前にしっかり確認すれば、後悔や失敗を最小限に抑えられます。
ぜひ、行動を先送りせず、失敗を回避するための情報収集を始めてみてください。
思い描くマイホームを、愛知の市街化調整区域で実現できるかもしれません。
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