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愛知県開発審査会基準第17号(既存宅地):確認すべき3つのポイント

愛知県開発審査会基準第17号 既存宅地(基準第17号)

愛知県開発審査会基準第17号は、市街化調整区域のいわゆる既存宅地に関する規定を定めています。

平成12年5月18日までは「既存宅地確認」という制度がありました。
現在は無くなっており、愛知県では既存宅地確認に代わる制度が既存宅地(17号)です。

既存宅地として建築許可を受けるには、もちろん正確な知識と事前打合せが必要です。
しかし、実は既存宅地の要件は3つのポイントを抑えれば大丈夫です。

本記事では、既存宅地の概要と3つの要件について、わかりやすく解説します。

記事内容を1分程度にまとめた動画はこちら↑

愛知県開発審査会基準第17号とは?

愛知県開発審査会基準第17号は、「既存宅地」や「17号」と呼ばれます。
分家住宅(基準第1号)と同じかそれ以上に使われている有名な許可要件です。

そして、既存宅地かどうかは3つの要件を知っていれば大丈夫です。

既存宅地の基本的な3要件

愛知県開発審査会基準第17号には、以下の3つの基本的な要件があります。

  • 要件1:線引き前から現在まで宅地であることの確認
  • 要件2:50戸連たん
  • 要件3:土地の面積

これらの要件は、既存宅地の許可を行う上で非常に重要です。

それぞれの要件について、具体的な必要書類や確認方法などが詳細に規定されています。

開発審査会基準第17号(既存の宅地における開発行為又は建築行為等)

要件1.線引き前から現在まで宅地であることの確認

既存宅地とは、市街化調整区域と市街化区域を決定した昭和45年11月24日(愛知県※一部除く)から現在まで、宅地である土地のことを言います。

地目変更未了のケースもあるため、既存宅地の確認方法には次の規定があります。

なお、市街化調整区域かどうかの確認方法はこちら

土地の登記簿謄本

原則、登記簿謄本の地目が、昭和45年11月23日以前から宅地であれば、OKです。

ただし、2つ例外があります。

  • 土地改良や土地の合筆があった場合
  • 昭和50年4月1日以降に地目変更登記を申請している

土地改良や土地の合筆については他の地目が混ざっている可能性があるので、閉鎖謄本で他の土地も宅地であったことを証明する必要があります。

また、地目変更登記の時期が遅いものについては、後付けで既存宅地にされないためかもしれません。
正式な理由は不明です。。。

建物登記簿謄本

建物の登記簿謄本を使って既存宅地を確認することも可能です。

登記簿謄本には建物の新築年月日と土地の所在地番が載っています。

そのため、土地上にいつから建物が存在していたかの客観的な証拠となります。

こちらも、新築年月日が昭和45年11月23日以前であればOKです。

また、建物の新築年月日が空欄のものは、昭和30年代以前からの建物です。
そのため、線引き前からの建物と推定されます。

既存宅地確認

平成12年までの「既存宅地確認」を受けた土地も既存宅地として認められます。

既存宅地確認を受けた土地かどうかは、過去の建築確認や、既存宅地確認の書類などで証明します。

建設事務所や市役所で調査も可能です。
しかし、既存宅地確認の記録が存在しない(廃棄済み)の場合もがほとんどです。

そのため、基本的には所有者が持っている資料が手掛かりとなります。

なお、安城市など一部の市町村は既存宅地確認の資料が保管されています。

その他、公的資料

土地建物の登記簿謄本、既存宅地確認で既存宅地の証明ができない場合は、他の公的資料を使って証明します。

私が実務で使った公的資料は次のとおりです。

  • 建物の登記簿謄本:法務局で取得可能
  • 建物の課税台帳:市町村役場の税務課で取得可能。
    建物の所在地番、新築年月日が書かれていることが重要です。
  • 昭和45年当時の都市計画図:市役所都市計画課などで取得可能。
  • 昭和45年以前の航空写真地図・空中写真閲覧サービス(国土地理院HP)で検索。
    画像は少し荒いですが結構便利で、印刷も可能です。
    一般財団法人日本地図センターで証明書付の航空写真も購入できます。
    ※約2,000円~2万円
  • 当時のゼンリン住宅地図:市の図書館に保管されていればラッキー!
    尾張地方は結構残っていて、東三河はあまり残っていないイメージです。
    ※公的かどうかは微妙ですが・・・

線引き前から宅地であることを証明する方法(まとめ)

結論としては、公的資料で分かればOKです。

私の経験上、線引き前から宅地であれば何らかの公的資料で証明が可能です。

証明できないのであれば、何か行き違いがあるのかもしれません。
許可権者(愛知県の各建設事務所や市役所)にとっては客観的資料があるかどうかが重要なので、
どうにか頑張って探しましょう。

要件2.50戸連たん

「50戸連たん」とは、申請地の周辺に一定数以上の住宅が集まっていることを示す要件です。

定義

50戸連たんは、申請地の周辺に集落性あることを定義づけしたものです。
簡単に言うと、「申請地の周囲に建物が沢山ある集落」ということです。

50戸連たんを数える時の条件は次のとおりです。

連たんは都市計画図で数える(原則)

連たんの確認は、役所が発行する都市計画図(2500分の1の白図)で行います。
各市町村役場の都市計画課で購入可能、200円~300円前後です。

グーグルマップ、ヤフー地図などでも代用可能です。
ただし、最終的には都市計画図で申請する必要があります。

建物は30平方メートル以上

50戸連たんは、建物が50戸以上「連なっている」、という意味です。

そして、対象となる建物は、広さが30平方メートル以上のものに限ります。
都市計画図には建物の形状だけ描かれているので、特に迷うことは無いでしょう。

また、共同住宅や長屋は住戸数(部屋の数)で数えるので、近くにあるとおトクです。

建物と建物の距離はおおむね50m以内

連たんを数える時、建物と建物の距離はおおむね50メートル以内のものを数えます。
これは、住宅が密集した一体的な地域を形成していることを示すためです。

また、おおむね50メートルというのは1割程度の幅を持たせているので、55メートルまでは大体認めてくれます。

更に、建物が既に存在しない土地でも地目が宅地の場合には連たんしているものとみなされます。

50戸連たんはだいたい、一目で分かる(まとめ)

細かい条件を解説しましたが、50戸連たんは地図を見ればすぐに分かります。

「ちょっと足りなさそう」
「数えるまでもない」

そして、都市計画図に書いているかどうかなので、基本的には頑張ってもあまり結果は変わりません。

「次の建物まで少し距離が遠い」
「この建物、30㎡ある?28㎡くらい?」

なら、どうにかなるかもしれません。

要件3.土地の面積

原則、既存宅地の土地の面積は160㎡以上必要です。
これを下回る面積の時は、役所や行政書士に確認しましょう。

細かい規定がありますが、少し難解なので、役所に確認するのが一番早いです。

既存宅地の1区画の最低面積は160平方メートル

17号で許可申請をする際、に1区画当たりの最低面積は160平方メートルと決められています。

あまりに細切れに建物を建てられるのが良くないので、設定されたものと思われます。

複数に区画割する場合の例外

土地の形状から、どうしても最低面積が取れない場合、5区画であれば1区画など(土地利用上やむを得ない場合で、複数の区画がある場合は、全体区画の数に0.2を乗じて得た数〔平成20年3月24日以降分筆等による分割がなされていないものについて、その数が1に満たない場合は1とする〕を超えない数の区画)は下限面積を140平方メートルまで緩和することができます。

平成13年5月18日以降分筆されてない土地

平成13年5月18日以降に分筆されていない土地については、その後も分筆をしていない限り下限面積(160平方メートル)を下回っていても、許可申請が可能です。

おまけ:既存宅地は色々建てられる

分家住宅・農家住宅の許可は専用住宅しか建築できませんが、既存宅地は次の建物が建築できます。

  • 住宅(共同住宅含む)
  • 店舗
  • 事務所
  • 倉庫
  • 工場

市街化調整区域で事務所や店舗を構えたい、という方は検討してみてはいかがでしょうか?

まとめ

愛知県開発審査会基準第17号(既存宅地)の許可を取得するポイントは3つです。

  • 土地の地目が線引き前(昭和45年11月23日以前)からの宅地かどうか
  • 50戸連たんの集落性の確認
  • 土地面積の最低基準(160㎡以上)を満たすかどうか

この3つの要件をクリアできれば、既存宅地としての許可を受けられる可能性がかなり高いです。

最終的には、各建設事務所・市町村役場で確認しましょう。

既存宅地を考えているけど調べるのが面倒、不安な場合は?

市街化調整区域の建築許可申請には専門知識と手続きが必要です。
調べるのが面倒、不安な方には、経験豊富な工務店や行政書士への相談をお勧めします。

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