愛知県開発審査会基準第17号は、市街化調整区域内で建築を許可するための重要な基準です。本記事では初心者でも理解できるよう、基本的な仕組みから申請の流れ、許可要件、注意点まで徹底解説します。これから土地活用を考える方はぜひ参考にしてください。
市街化調整区域とは?
土地探しを始めると聞く、市街化調整区域とは何でしょうか?
概要
市街化調整区域とは「都市計画法」に基づき指定された区域です。市街化調整区域は、原則として新たな建築や開発が厳しく制限されています。これは都市の均衡ある発展を目指し、市街化を抑制するために設定されています。特に都市の外周部や自然環境を守るための重要な役割を果たしており、建築行為そのものが慎重に取り扱われる区域でもあります。
愛知県開発審査会基準第17号のような規定は、この区域内で特定条件を満たした建築活動を許可するため設けられた基準です。
目的
市街化調整区域の目的は、無秩序な都市化を防ぐことです。具体的には、農地や森林などの自然環境を保護し、都市化による公害やインフラ整備の負担を減らすことが重要視されています。また、都市計画区域全体の秩序ある土地利用を促進し、将来の計画的な都市拡大を可能にすることを目的としています。このような区域を設定することで都市開発におけるバランスを保つことができます。
規制内容
市街化調整区域内では、建築物の新設や宅地の造成など、通常の開発行為が原則禁止されています。ただし、農業従事者の住宅や公益性の高い建物など、例外もあります。この場合、愛知県開発審査会基準第17号などの要件に基づき、許可を受ける必要があります。また、建物の用途や高さ、面積に関しても細かく規定が設けられています。
市街化調整区域は誰が決めた?
市街化調整区域の設定は、都道府県知事が決定するので、愛知県であれば愛知県知事が権限を持っています。また、名古屋市などの指定都市等(名古屋市、一宮市、豊橋市、岡崎市、豊田市、春日井市)は、市長が権限を持っており、それぞれ独自の開発審査会基準を持っています。この6市は愛知県の基準と違うため、各市で確認が必要です。
また、市街化調整区域と市街化区域は昭和43年の都市計画法で分類が作られました。そして、愛知県では昭和45年11月24日に線引きが行われました。そのため、既存宅地を線引き前宅地(市街化調整区域決定前からの宅地)とも表現します。
豊田市の一部(藤岡地区)など、近年(平成12年4月4日)線引きが行われた地区もあります。
市街化調整区域の特徴
メリット
市街化調整区域には農地や森林といった自然の景観が多く残されています。そのため、大都市近郊においても静かな環境を享受できます。自然と調和した生活環境を求める人にとって魅力的な場所となっています。また、周辺環境の景観や生態系が保全されやすい点も特徴的です。
デメリット
一方で、建築や開発が規制されるため、通常の建築行為には許可が必要です。そして、手続きが煩雑である点がデメリットとして挙げられます。例えば、愛知県開発審査会基準第17号のような要件に適合しない場合、建物を建てることができません。また、インフラ(上下水道、道路など)の整備が不十分なことが多いです。また、都市部に遠いため、日常生活の利便性が低いことも課題です。そのため、利用や居住を検討する際には、事前に詳細な調査と確認が必要です。
市街化調整区域で建物を建てる方法は?
市街化調整区域での建築は原則、禁止されています。しかし、分家住宅などの要件を満たしていれば許可を受けて建築することができます。
ここでは、誰がどのような許可を下ろすか、どんな建物が建てられるかを解説します。
原則、建物の建築には許可(建築許可)が必要
誰が許可をする?
市街化調整区域の建築許可は、原則として都道府県知事が許可します。また、前述の指定都市等(名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市及び豊田市)並びに事務処理市(瀬戸市、半田市、豊川市、碧南市、津島市、刈谷市、安城市、西尾市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、東海市、大府市、知立市及び田原市)では、市長が許可します。
なお、愛知県知事許可の市町村と相談窓口は下記のとおりです。東三河エリアについては、市町村窓口でも特定の曜日に相談を受け付けています。※要事前予約
市町村 | 審査・相談窓口 | 電話番号 |
尾張旭市、豊明市、日進市、 清須市、北名古屋市、 長久手市、東郷町、豊山町、 岩倉市、大口町、扶桑町、 愛西市、弥富市、あま市、 大治町、蟹江町、飛島村 | 尾張建設事務所建築課 (名古屋市中区三の丸 2-6-1) | (052)961-1845 |
常滑市、知多市、阿久比町、 東浦町、南知多町、美浜町、武豊町 | 知多建設事務所建築課 (半田市瑞穂町 2-2-1) | (0569)21-3316 |
高浜市、みよし市、幸田町 | 西三河建設事務所建築課 (岡崎市明大寺本町 1-4) | (0564)27-2735 |
蒲郡市、新城市、設楽町、 東栄町、豊根村 | 東三河建設事務所建築課 (豊橋市今橋町6) | (0532)52-1315 |
上記以外の市町村は、各自治体の建築課・都市計画課等に相談します。
許可を受ければ建物が建てられる
市街化調整区域内での建物の建設は厳格に規制されています。しかし、一定の条件を満たす場合には許可を受けて建築が可能になります。この建築許可には、愛知県開発審査会基準第17号をはじめとする審査基準が適用されます。基準では、用途や規模、土地の性質などが決められています。条件をクリアすることで、住宅や店舗の建築許可を取得できます。
建築確認とは違う?
建築許可と建築確認は似ているようで異なる手続きです。まず、建築確認は、建物の設計や構造が建築基準法に適合しているかを確認する手続きです。一方、建築許可は、都市計画法に基づく申請であり、原則禁止されているものを特別に『許可』を受ける手続きです。
順番は、まず建築許可を取得し、その後で建築確認手続きを行うという流れです。
許可される、若しくは許可不要の要件
農家住宅(許可不要)
農家住宅は、農家が農業を営むために必要とされる住宅等を指します。これは、市街化調整区域の農家(漁業、林業も同様)の働き手のための制度です。そのため、農家住宅を建てられる人は農家である要件を持っている人に限られます。
農家の要件を証明するためには、各市町村の農業委員会で発行される農家基本台帳が必要です。詳しくは、各市町村の農業委員会で確認してください。
「明日から農業やります」では農家基本台帳は作成されません。従って、思い立っただけでは農家住宅を建てられない点に注意しましょう。
なお、農家住宅の建築は許可不要ですが、「許可不要であることの証明(都市計画法29条1項2号)」が必要です。そのため、結局は証明書を請求する手続き(申請書、計画図面、位置図、現況測量図、公図、土地謄本、農家基本台帳等)を行ってから建築確認申請となります。
公益上必要な建築物及び日常生活のため必要な店舗等(都市計画法34条第1号)
都市計画法34条第1号では、公益上必要な建築物と地元の人たちの生活に必要な店舗等に関する許可要件が限定列挙されています。
たとえば公益上必要な建築物は、病院や学校、社会福祉施設です。また、店舗等についてはコンビニ、薬局、メガネ屋、美容院、郵便局、学習塾などです。この基準に書かれている店舗等は各都道府県知事が地域の実情に合わせた業種を列挙しており、許可権者ごとに違っています。
なお、愛知県では中古自動車販売店は、34条1項に含まれていません。実務をしていると、中古車販売店を市街化調整区域で行いたい方が沢山いらっしゃいました。。。残念!!中古自動車販売店の店舗を建てたい場合は、既存宅地の購入を検討しましょう。また、自動車一般整備業(8911)、自転車小売業(5921)の店舗は可能です。
※()内数字は、日本標準産業分類(平成25年10月)の細分類番号です
この基準に該当している業種であれば、農地転用しての建築も可能です。農地であれば広い敷地を確保でき、駐車場も十分に確保できます。この点は、市街化調整区域で事業を考えている事業者さんには有難いですね。
建てられる建物の審査基準はこちら→別表(法第34条第1号審査基準第2項第1号関係)
その他、地元に必要な施設など(都市計画法34条第2~13号)
地域のニーズに応じた施設や業務施設など、都市計画法の34条2号から13号に規定される条件を満たした建築物については許可が下りる可能性があります。ただし、これも個別に審査されます。そのため、あらかじめ相談することが重要です。各項目は以下のとおりです。
- 法第34条第2号 鉱物資源、観光資源の有効利用上必要なもの
- 法第34条第4号 農林水産物の処理等の施設 審査基準
- 法第34条第5号 農林業等の活性化のための施設
- 法第34条第6号 中小企業振興のための施設
- 法第34条第7号 既存工場と密接な関連を有する事業場
- 法第34条第8号 火薬庫
- 法第34条第8号の2 災害危険区域等からの移転
- 法第34条第9号 沿道施設と火薬類製造所
- 法第34条第10号 地区計画又は集落地区計画区域内の開発行為
- 法第34条第11号 条例で指定した土地の区域内において行う開発行為
- 法第34条第12号 市街化を促進するおそれがない等と認められる条例で定める開発行為
- 法第34条第13号 既存権利者の開発行為
市街化区域での建築にそぐわないもの、広い敷地が必要なものなどが該当します。
愛知県開発審査会基準(都市計画法34条第14号)
都市計画法第34条第14号(市街化区域では困難又は不適当であり、かつ市街化を促進させないもので、開発審査会の議を経たもの)は、住宅建築などについて、許可権者が決められる許可基準です。愛知県の開発審査会基準については、次の項目で解説します。
愛知県開発審査会基準に該当する代表的なもの
都市計画法第34条第14号による、愛知県の主要な基準は次のとおりです。
※主に、専用住宅が建築できる許可を紹介します
分家住宅(基準第1号)
分家住宅は、線引き前から存在する世帯の子・孫が新たに世帯を持って独立した(結婚等)場合に、認められる許可要件です。属人性(誰が建てるかが重要)が必要な許可という特徴があります。
先祖代々住んでいる地元に家を建てる方であれば、許可を受けられる可能性があります。また、農地でも建築可能であり、土地の所有状況によっては農振除外も可能です。
やむを得ない自己用住宅(基準第7号)
やむを得ない自己用住宅は、分家住宅と似ている許可です。線引き前から先祖が所有している土地を相続か贈与で自己所有しており、かつ、現在の住居が賃貸アパートや実家住みなどの場合、許可を受けて住宅を建てられる可能性があります。
また、大規模既存集落内に線引き前から住んでいる方であれば、土地(農地を含む)を購入して建築することも可能です。
相当期間適正に利用された住宅等の用途変更(基準第16号)
分家住宅や農家住宅など、属人性のある許可を受けて建てた建物を、所有者の事情(死亡、破産、競売等)により手放す(売却する)場合、「『所有者の変更』という意味での用途変更」を行う許可です。一方、買主側は現在住んでいるのが賃貸アパートや実家であれば大丈夫です。
(例)
売主側:事業に失敗して、昔建てた分家住宅を売却する
買主側:不動産を所有しておらず、現在は賃貸アパートに住んでいる
売主側はかなり深刻な事情が必要ですが、買主側は比較的緩い条件です。不動産情報ではたまに、このような事情の物件が出ています。
「愛知県開発審査会基準第16号許可が必要」という記載であれば、比較的購入のハードルが低く、お買い得かもしれません。
既存の宅地における開発行為又は建築行為等(基準第17号)
愛知県開発審査会基準第17号とは、市街化調整区域内の既存宅地における開発行為や建築行為についての基準です。この審査基準では、宅地の特性や予定建築物の用途、規模などが審査され、一定条件を満たす場合に許可が下ります。例えば、昭和45年11月23日以前から宅地であることや、50戸連たんの地域性を持つことなどが条件に含まれます。
愛知県開発審査会基準第17号(既存宅地)とは?
やっと、既存宅地の説明です。。。既存宅地の許可要件は、主に下記の3つの要件が重要です。
土地の要件
昭和45年11月23日以前から宅地であること
1つ目の条件は、土地が昭和45年11月23日以前から宅地として利用されていたことです。途中で農地に地目変更されている場合や、昭和45年11月24日以降に宅地に地目変更した、いわゆる「新宅地」は既存宅地として認められません。さらに、登記簿上は線引き前から宅地であったとしても、地目変更登記の申請日が昭和50年4月1日以降になっている場合は、登記簿以外に証明できる公的資料が必要です。
既存宅地かどうかは、土地の登記簿謄本の「地目」欄で確認します。また、土地の登記簿で証明できない場合は、建物の登記簿謄本等で証明します。
建物が未登記で、当時あった建物も取り壊されている場合は証明が難しいです。ただ、昭和45年当時の住宅地図や航空写真で証明する方法もあります。「間違いなく昭和45年以前から建物があった」という場合には、専門家に相談しましょう。
50戸連たん(集落性)があること
既存宅地は、いわゆる「集落性」を持つ場所である必要があります。集落性は感覚的なものになってしまうので、「50戸連たん」という明確な基準があります。「連たん」定義は17号の運用基準第2項に次のように規定されています。※愛知県HPより引用
- 敷地間の最短距離がおおむね50メートルの距離をもって連続していること。
- 既に建築物がない宅地にあっても、連続しているものとみなす。
- 戸数の算定(延べ面積が30平方メートル以上のものに限る。以下、同じ。)にあたっては同一敷地に複数の棟があるときは、それぞれ算定し、共同住宅又は長屋にあっては住戸数で算定するものとする。
既存宅地の本申請時は市町村役場でもらえる白地図(2500分の1)に50戸連たんしているかを色付けして提出します。ただ、事前相談時は住宅地図やグーグルマップでも可能です。また、「おおむね50m」については、1割程度(55mまで)緩和してくれます。(←ココ重要)
原則、申請地の面積が160㎡以上あること
申請地の面積は原則として160㎡以上であることが求められます。これは、最低限の居住環境を確保するためです。また、分割が難しい場合など、状況によっては140㎡以上でも可能となります。
建てられる建物の用途
既存宅地で建てられる建物は、居住の用又は自己の業務用に限られます。なお、原則、高さが10m以内という制限にも注意しましょう。
1 予定建築物の用途は次の各号の一に掲げるもので、居住の用又は自己の業務の用に供する
ものであること。
(1) 住宅、店舗等で建築基準法別表第2(い)項、(ろ)項又は(は)項に掲げるもの。ただし、床面積については適用しない。
(2) 事務所、倉庫又は工場(作業場を含む。以下、同じ。)。ただし、建築基準法別表第2 (る)項、(を)項(第5号及び第6号を除く。)又は(わ)項(第1号から第6号までを除く。)に掲げるものを除く。2 予定建築物の用途は次の各号に掲げる用途に供しないものであること。
引用:愛知県HP 開発審査会基準第17号
(1) 倉庫にあっては、建築基準法別表第2(と)項の準住居地域内において建築してはなら
ない規模以上の危険物の貯蔵等をするもの
(2) 「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に規定する風俗営業及び性風俗
関連特殊営業等
専用住宅、共同住宅(居住の用に供する建物)
居住の用に供する建物は、専用住宅や共同住宅などです。建築基準法別表第2では、住宅、住宅で事務所、共同住宅、寄宿舎又は下宿とされています。居住の用に供する建物であれば、賃貸物件も建築可能です。
また、事業所の社宅・寄宿舎、大学の学生下宿であれば、審査会基準4号、5号を使えば農地でも建築できるため、有用です。
店舗等
店舗も条件を満たせば建築が可能です。ただし、この場合、規模の制約や営業内容に関する制限があります。特に風俗営業などの業種に該当する場合は許可が下りません。事前に利用計画について十分に確認する必要があります。
事務所、倉庫又は工場
小規模な事務所や倉庫、さらには地域に悪影響を及ぼさない規模や業種の工場についても建築が許可される場合があります。これらは、地域の生活環境や景観に調和していることが求められます。不適切な建築物が周辺環境を損なわないよう審査が行われます。
建てられない建物
貸事務所
貸事務所は、愛知県開発審査会基準第17号の条件には含まれません。そのため、許可が下りず建築できません。既存宅地でも、建築できるものは居住の用に供する建物か、自己の業務用(自分で使うため)のみとされているからです。
危険物の貯蔵等をする倉庫
危険物の貯蔵を目的とした倉庫は認められません。これは、市街化調整区域の住環境や自然環境を守るための重要な規定です。また、危険物は火災や事故のリスクが高く、住民の安全を確保するためにも厳しい制限が設けられています。
風俗営業等の建物
風俗営業等に該当する建物も建築を許可されません。
申請方法と手続きの流れ
相談先
愛知県開発審査会基準第17号の相談先は上述の愛知県の各建設事務所建築課(尾張、知多、西三河、東三河)です。また、市長が許可権者の場合は各市の建築課・都市計画課に相談します。
建築許可申請は専門的な知識や、作図の技術が必要です。そのため、申請を依頼する予定であれば、事前相談から行政書士や建築士などの専門家に相談すると良いでしょう。
申請手順
事前相談
手続きをスムーズに進めるために、まず行うべきは事前相談です。これにより、申請の可否や必要書類の確認が行えます。事前相談では、第17号に関する要件について詳細なチェックが行われます。
17号許可であれば下記の資料を添付して事前相談します。
- 土地の登記簿謄本:線引き前から宅地であったことが確認できるもの
- 公図:土地の形状を描いた図面で、登記簿謄本と同じく法務局で取得できます
- 都市計画図:2500分の1の白図で、各市町村役場の都市計画課で購入できます。相談時点では、グーグルマップ等でも大丈夫ですが、50戸連たんを確認するため縮尺を必ず記載します。
建築計画の策定、最終決定
次に、建築計画を策定し、最終的な計画内容を確定します。この際、予定している建物の用途や土地の広さ、地域の基準に適合しているかを慎重に検討します。
建築許可申請
必要書類を揃えたら、建築許可の申請を行います。この申請には、事前相談資料に加えて、申請書、計画図(建物の平面図、立面図、配置図、排水計画図)を添付して、各市町村の窓口に提出します。
※各建設事務所でなく、市町村役場に提出する点に注意です
審査、補正等
提出された申請書類は、市町村窓口を経由して各建設事務所に届きます。不備や補正が必要な点が確認された場合、申請者に指示があり、必要に応じて修正します。
許可完了
審査を通過すると、無事に建築許可が得られます。この段階で正式に愛知県開発審査会基準第17号に基づいた許可が下りたことになります。申請から許可までは通常、1ヶ月程度かかります。
確認申請、着工
建築許可が下りた後、施行前に建物の具体的な設計詳細を建築確認申請として提出します。建築確認申請では、設計図が全て法的な基準に沿っているかを審査されます。この確認が終わると、遂に着工が可能になります。
市街化調整区域内での建築は法律や規定が複雑な場合がありますので、実際に工事を始める際も専門家にサポートを依頼することが重要です。
既存宅地の土地を買うのはリスクが高い?
市街化調整区域の土地は、「何かコワイ」というイメージがあるかと思います。ここでは、既存宅地の土地に潜むリスクを解説します。コワイものの正体が分かれば、土地購入の判断がし易くなるのではないでしょうか。
リスクは?
建物を建てるために、建築許可が必要
既存宅地は、市街化調整区域の土地のため、建物を建てるには建築許可が必要です。建築許可手続きは複雑な部分もありますが、事前相談で既存宅地としての要件が確認できていれば、図面や申請等はプロにお任せすることをおすすめします。費用は、10~20万円の事務所が多いでしょう。
インフラが不十分なことが多い
市街化調整区域には、インフラ整備が不十分な場合があります。これは、既存宅地でも同様です。
愛知県では多くのエリアで上水道は整備されています。しかし、下水道や都市ガスはあまり整備されていません。そのため、個別に設備を設置しなければならないケースも考えられます。
インフラ整備で予期しない費用が発生する可能性があるため、事前にインフラ設備を必ず確認しましょう。
高さが10mを超える建物は基本的に許可されない
市街化調整区域では、建物の高さに厳しい制限が設けられています。原則として10メートルを超える建物は許可されません。これにより、デザインや用途によっては好ましい建物が建てられない場合があります。
居住用、自己の業務用のみしか使えない(分譲や共同住宅は可)
既存宅地では一般的に居住用や自己の業務用として利用することが前提とされています。
再建築でも許可が必要な場合がある(建物用途が変わる場合など)
建物の再建築を行う場合にも、建築許可が必要となる場合があります。特に、既存の用途から異なる目的の建物に変更する場合は、用途変更として新たな許可申請が必要となり、規制内容によっては許可が下りないこともあります。
既存宅地の土地は売れない?
意外と人気があり、価格もそれなりにする
市街化調整区域にある既存宅地は一見リスクが高そうですが、一定の人気があります。特に自由な環境を求める人や広い土地を希望する人に需要があります。そして誰でも買えるため、市場でそれなりの価格で取引されているケースも見られます。
専用住宅であれば誰でも建てられる
既存宅地であれば、誰でも専用住宅を建てることが可能です。建築許可が必要ではありますが、個人住宅として利用する目的であれば問題ありません。
自然が好きな人が買う場合も
市街化調整区域は都市部と比べて自然環境に恵まれているため、自然との共存を重視する人々から支持されることがあります。郊外で静かな暮らしを望む人にとって魅力的な選択肢となることも多いです。
既存宅地の土地を買うメリット
都会の喧騒から離れた土地
市街化調整区域にある既存宅地は、都市部の喧騒から距離を保ち、静かな生活が期待できます。このような環境を求める人には、心地よい居住空間を確保できる魅力があります。
自然が多い
市街化調整区域は、自然豊かな場所が多く、美しい風景や静けさを楽しみながら生活することができます。庭付きの広い一戸建てを希望する人やアウトドアライフを楽しみたい人には理想的な環境と言えるでしょう。
別の建物用途に変更も可能(再度建築許可は必要)
既存宅地で建築許可を得た建物は、後に建物用途を変更することも可能です。ただし、再度建築許可を取得する必要があります。しかし、条件を満たせば用途変更ができる点は魅力的です。
愛知県開発審査会基準第17号の注意点
適用されない市もある
愛知県開発審査会基準第17号は愛知県知事許可若しくは事務処理市にのみ適用される基準です。名古屋市や一宮市などは17号が適用されず、独自の基準となります。
同様の基準がある市町村
名古屋市、岡崎市、豊橋市、一宮市、豊田市、春日井市などの指定都市等は、独自の開発審査会基準があります。しかし、同様の趣旨に基づいた基準を設けているので、考え方は同じで良いでしょう。各市で基準を公表しているので、確認しておきましょう。
分譲地はまとめて開発許可を取っている場合がある
分譲地の場合、開発事業者があらかじめまとめて許可を取得しているケースがあります。このような場合、既に許可を得た条件に基づいて建築が可能となります。ただし、分譲地それぞれにおける条件や基準をきちんと確認し、建築計画に合致するかを検討することが求められます。
売買の場合には、契約前に開発許可番号等を確認して、土地購入後に「許可が下りてなかった」という事態にならないようにしましょう。
手続きに慣れた専門家に依頼する
市街化調整区域の土地で建築や開発を行うには、申請手続きや必要書類の準備など、専門的な知識が必要です。不備があると時間がかかるだけでなく、最悪、許可が下りないこともあります。
慣れた専門家への相談や依頼をおすすめします。建築士や行政書士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。誰に依頼すれば良いか分からない場合は、不動産業者に紹介をしてもらいましょう。
まとめ
愛知県開発審査会基準第17号は、市街化調整区域内で建築行為を行う際の重要な基準です。昭和45年以前からの既存宅地を対象に、建築許可の可否が判断されます。許可を得るためには土地の要件や建物の用途、高さ制限など、いくつかの条件を満たす必要があります。また、事前相談や専門家への依頼がスムーズな手続きの鍵となります。市街化調整区域での建築を検討する際は、この基準をよく理解し、適切な計画を立てることが大切です。
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