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分家住宅は住宅ローンが通らない?分家住宅100件以上のローン傾向を暴露

分家住宅の住宅ローン審査が通らない理由を示す書類。背景に市街化調整区域の家。 分家住宅

分家住宅を考えていたけど、住宅ローンが通らないというネットの情報を見て心配になった方は多いのではないでしょうか?

確かに、分家住宅は建てられる人が限られており、転売ができないので住宅ローン審査で不利な面もあります。また、金融機関によっては、市街化調整区域の物件に融資しないところもあります。
しかし、実際には、無事に審査を通して分家住宅を建てている方は沢山います

本記事では、分家住宅の許可を100件以上手掛けた筆者が、実際に許可を受けて家を建てられた人たちの住宅ローンの傾向をお伝えします。この記事を読めば、金融機関選びと審査のコツが分かるため、安心して住宅ローン審査に臨むことができるでしょう。

読むのが面倒な方は、こちらの解説動画を観てください(1分程度)

分家住宅とは何か

 分家住宅とは、市街化調整区域において、本家から分家した者が許可を得て自己居住用の住宅を建てる制度です。この制度は、家族や親族が長年住んできた土地に新たに住宅を構えることを支援する目的で設けられています。

市街化調整区域

 市街化調整区域は、都市計画法に基づき建物の建築や市街地化を抑制する区域です。主に農業や自然環境の保護を目的としており、建物の建築は原則禁止されています。

 そのため、市街化調整区域で新たに居宅を建築するには分家住宅(愛知県開発審査会基準第1号)や既存宅地(愛知県開発審査会基準第17号)の許可を受ける必要があります。

分家住宅の要件

 分家住宅の許可を受けるためには、幾つかの要件が必要です。

 線引き(愛知県では昭和45年11月24日)以前から親・祖父母が土地を所有していること、継続して住んでいること、そして他に利用可能な土地が無いなど、です。これらの要件をクリアしていれば、建築許可申請(都市計画法第43条)が可能になり、許可を受ければ建築確認申請→着工となります。

 しかし、住宅ローンでは、この分家住宅で、特に属人性が不利にはたらきます。

分家住宅の住宅ローンが通らない理由

売却が難しい

 分家住宅は昔から住んでいる世帯の子や孫、と限られた人だけが許可を受けられる許可です。これは属人性と呼ばれ、建て替えにも属人性が要求されます。そのため、分家住宅の売却は難しく売却が難しい物件はリスクが高いと判断されます。そうなると、万が一の担保処分が難しく、ローンの回収が困難になってしまいます。したがって、分家住宅に住宅ローンを提供しないことが多いのです。

担保価値が低い

 分家住宅がある市街化調整区域は、都市計画法に基づき、市街地化を制限する区域です。この区域内の不動産は一般的に市場価値が低く、再建築や売却のハードルが高いです。金融機関が住宅ローンを提供する際には、不動産の担保価値が重要な要素となります。

 市街化調整区域内の物件は担保としての価値が低いとみなされてしまいます。そのため、金融機関は住宅ローンの審査において厳しい姿勢を取ります。また、金利が高く設定されるケースもあります。

 以上のとおり、不動産として分家住宅を利用することは非常に困難であると言えます。

分家住宅の許可に多かった金融機関

 このように分家住宅の住宅ローン審査は難しいと言えます。しかし、実際には多くの方が審査をクリアして分家住宅を建てられています。私が手掛けた愛知県の分家住宅の許可手続きで多かった金融機関は次のとおりです。

JA(農協)

 もっとも多かった金融機関はJA(農協)です。JAは農業に関与する方々を支援する立場で、市街化調整区域に対する理解もあります。そのため、分家住宅でも、JAは住宅ローンの取り扱いが比較的柔軟なようです。

 また、JAは他の銀行とは異なり、農地転用の手続きを代行したり、土地改良区の決済金支払いができたりと、農地転用のノウハウも持っています。

 以上のとおり、JAは分家住宅の融資審査において前向きな姿勢と考えられます。

地元の信用金庫

 信用金庫も、分家住宅の住宅ローンが取りやすい金融機関として知られています。

 信用金庫は、地域の事情に精通しており、市街化調整区域にある分家住宅にも柔軟に対応する場合があります。また、信用金庫には地元の経済活動をサポートする役割もあります。そのため、地域の特性や住民のニーズに合わせた融資が期待できます。

地方銀行

 地方銀行も、分家住宅の住宅ローンについて前向きに取り組むケースが多いです。特に、地域で長年の歴史を持つ地方銀行は、地元住民へのサポートに積極的です。さらに、地方銀行は、他の大手銀行に比べて地域特性を重視してくれます。そのため、分家住宅の融資にも柔軟に対応する傾向があります。

 ただし、具体的な融資条件や金利についてはしっかりと確認しましょう。

分家住宅の許可でほぼ見なかった金融機関

ネット銀行

 分家住宅の住宅ローンで、ネット銀行は全く見かけませんでした。これは、ネット銀行が融資審査において担保価値を非常に重視し、本部に情報集約するため、売却相場や法令制限しか見ないからと考えられます。

 もちろん、実際の審査状況は分からないため、審査が通る場合もあるかもしれません。

3大メガバンク

 3大メガバンクからの融資はゼロではありませんが、2、3件程度でした。

 こちらも実際の審査状況は分かりません。しかし、ネット銀行ほどではないものの、分家住宅の融資はかなり厳しいと思います。やはり、客観的な評価(相場、法令制限)から、分家住宅は担保価値が低いと見られてしまうのでしょう。

 ただ、メガバンクの融資を受けて分家住宅を建築された方もいらっしゃいました。収入面やクレジット情報が良ければ住宅ローンを受けられる可能性はあります。

分家住宅で住宅ローン審査を通すコツ

 分家住宅で住宅ローン審査を通すコツは次のとおりです。

JAや地元金融機関

 分家住宅の住宅ローンは、JA(農協)や地元の信用金庫、地方銀行がおすすめです。地元の事情、農地についての理解を持ち、柔軟な対応が期待できます。

フラット35の活用

 分家住宅の住宅ローン審査を通すためには、フラット35の利用も一つの方法です。フラット35は住宅支援機構の支援を受けています。そのため、間口が広く、分家住宅のような特殊な物件でも融資を受けられる可能性があり、おすすめです。

メガバンク・ネット銀行は避ける

 分家住宅で住宅ローンを通すためには、メガバンクやネット銀行は避ける方が賢明です。これらの金融機関は一般的に担保価値を重視しています。そのため、担保価値が低い分家住宅に対しては消極的です。

分家住宅の住宅ローンに選ぶべき金融機関は?JAや地元金融機関フラット35農地・調整区域に理解があり、柔軟な対応が期待できる住宅支援機構の支援を受けており、分家住宅のような特殊な物件にも融資対応可能。メガバンクやネット銀行担保価値が低い分家住宅に対して保守的であり、ネット銀行は地域の事情に対応する能力が限られている

 特にネット銀行は地域ごとの特殊な事情に対応する能力が限られており、審査が厳しくなる傾向があります。したがって、分家住宅の住宅ローンを通すためには、地元の金融機関やJAを利用する方が現実的です。

まとめ

分家住宅は住宅ローン審査が難しいケースが多いと言えます。売却が困難で担保価値が低い点がリスクとなり、金融機関が融資を躊躇する原因です。ネット銀行やメガバンクはその傾向が強いので、分家住宅であれば避けるのが賢明かもしれません。

しかし、JA(農協)や地元の信用金庫、地方銀行といった地域密着型の金融機関であれば、地域の特性を理解し、柔軟な審査を行うことが多いため、ローンが通る可能性が高まります。さらに、フラット35のような政府支援のローンもおすすめです。

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