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愛知県の市街化調整区域の許可は誰が下ろす?

愛知県内の都市と農村の境界を示す航空写真。市街化調整区域の位置が示されています。 Q&A

市街化調整区域は、都市の無秩序な拡大を防ぎ、自然環境や農地の保全を目的とした重要な地域です。また、愛知県内の市街化調整区域では、許可権者は地域ごとに異なります。

本記事では、愛知県内での許可権者の違いについて詳しく解説します。また、許可申請の手順や注意点についても紹介しますので、最後まで読めば調整区域の許可の全容が垣間見えます。

記事内容をまとめた動画(1分程度)はこちら↑

市街化調整区域とは

定義と目的

市街化調整区域とは、都市計画法に基づき、市街化を抑制する区域です。そのため、主に自然環境や農地の保全、無秩序な開発を防ぐことを目的としています。また、この区域では原則として新たな建築や開発行為が制限されており、許可を受ける必要があります。

建築に必要な許可

愛知県の農地と市街地の境界を示す図。市街化調整区域の自然保護が強調されています。

開発許可制度の概要

市街化調整区域内での開発行為には「開発許可」が必要です。この許可は、都市計画法に基づいて愛知県知事や権限移譲を受けた市長が許可を下ろします。

市街化調整区域では基本的に建築が禁止されています。しかし、分家住宅、農家住宅、工場、商業施設など、特定の条件を満たす場合には、開発行為が認められることがあります。

なお、開発行為のうち、整地程度の造成(切盛り30センチ未満)については土地の検査は行わず、建築許可(都市計画法43条)のみで良い場合があります。

許可申請の手順と書類

愛知県内での開発許可申請のための書類が並ぶ事務所のデスク。許可申請の手順が強調されています。

市街化調整区域での開発許可申請の一般的な手順は以下の通りです:

1.初回相談

愛知県知事許可の市町村については、各エリアを管轄する建設事務所に相談します。また、指定都市や事務処理市は市役所の建築課等に直接相談します。ここで、必要な条件や書類について確認します。

2.書類の準備

必要な書類には、許可要件を証明する書類(分家住宅であれば戸籍謄本や名寄せ台帳、病院であれば医師免許等)、開発行為の計画書、土地の図面、建築計画図面、などです。また、これらの書類は、許可要件を審査するために重要な書類です。

3.許可見込

事前相談で各部署の決済(許可見込)が取れれば、本申請の準備に入ります。土地の分筆や他の許可手続きが必要な場合には、その手続きを進めます。

4.本申請

準備が整ったら、所定の窓口に申請書と必要書類を提出します。提出先は、愛知県知事許可・指定都市・事務処理市に関わらず、市町村役場です。愛知県知事許可のエリアの場合には、市町村役場から各建設事務所へ、後日送達されます。

5.審査と現地調査

提出された申請書は審査を受け、必要に応じて現地調査が行われます。愛知県や市町村のルールに従い、計画が適正かどうかが審査されます。

6.許可証の発行

審査が終了し、計画が承認されると許可が発行されます。この許可を得て、初めて開発行為を開始することができます。

許可申請には専門的な知識が必要な場合が多いので、行政書士など、専門家の助言を受けることをお勧めします。 また、市街化調整区域での土地利用は厳格に制御されていますので、迅速かつ正確な手続きを遵守することが重要です。

愛知県における許可基準

愛知県独自の開発審査会基準

愛知県知事許可の市町村における市街化調整区域での開発や建築には、愛知県独自の開発審査会基準があります。都市計画法34条1項14号では、都道府県知事が独自の開発審査会基準を設けることを規定しています。愛知県開発審査会基準には、分家住宅(基準1号)他の都道府県にはあまり無い「既存宅地(基準17号)」があったり、分家住宅などの許可された建物の用途変更(基準16号)といったものがあります。

これらの基準をしっかりと理解し、適切な手続きを踏むことが重要です。農地転用を伴う場合も、愛知県の規定に従う必要があります。

指定都市・中核市・施行時特例市と事務処理市の違い

愛知県内での市街化調整区域の許可には、愛知県知事許可の市町村以外に、指定都市事務処理市という分類があります。

指定都市・中核市・施行時特例市とは、名古屋市・豊橋市などの大規模な都市です。許可の事務権限だけでなく、独自の開発審査会基準を設定できる権限を持つ都市です。独自の審査会基準があり、名古屋市では既存宅地・分家住宅の基準が無い、豊田市では山間部における開発許可があったりと、エリアの特性に合わせた許可制度が設定されています。

一方、事務処理市は、県から一部事務権限の移譲を受け、市長が許可を行う自治体です。愛知県開発審査会基準に準拠して事務処理のみ行うため、基本的なルールは同じです。ただ、市町村ごとで多少運用方針が違っている場合があります。具体的な手続きや条件については該当する市の条例や規定を確認することが必要です。

指定都市・中核市・施行時特例市一覧

愛知県には、以下の指定都市があります。

  • 指定都市:名古屋市
  • 中核市:豊橋市、岡崎市、一宮市及び豊田市
  • 施行時特例市:春日井市

これらの指定都市では、独自に許可が下されます。特に、名古屋市は他の市町村と基準が全く違います。そのため、許可申請の際は、各市役所の建築課等に直接問い合わせましょう。。

事務処理市一覧

愛知県内の事務処理市は以下の通りです。

  • 瀬戸市
  • 半田市
  • 豊川市
  • 碧南市
  • 津島市
  • 刈谷市
  • 安城市
  • 西尾市
  • 犬山市
  • 江南市
  • 小牧市
  • 稲沢市
  • 東海市
  • 大府市
  • 知立市
  • 田原市

これらの事務処理市では、県から委譲された一部の事務権限に基づき、市内での開発行為や建築に対する許可業務を行っています。事務処理市での許可申請については各市の担当部署に問い合わせると良いでしょう。

建築許可(分家住宅、既存宅地など)の相談先

愛知県知事許可の市町村

愛知県知事が許可権者となる市町村では、各市町村を担当する建設事務所の建築課に相談する必要があります。各建設事務所の管轄は下記のとおりです。

市町村審査・相談窓口電話番号
尾張旭市、豊明市、日進市、
清須市、北名古屋市、
長久手市、東郷町、豊山町、
岩倉市、大口町、扶桑町、
愛西市、弥富市、あま市、
大治町、蟹江町、飛島村
尾張建設事務所建築課(052)961-1845
常滑市、知多市、阿久比町、
東浦町、南知多町、美浜町、武豊町
知多建設事務所建築課(0569)21-3316
高浜市、みよし市、幸田町西三河建設事務所建築課(0564)27-2735
蒲郡市、新城市、
設楽町、東栄町、豊根村
東三河建設事務所建築課(0532)52-1315
愛知県HP 開発許可申請等の審査・相談窓口 より引用

まとめ

愛知県内の市街化調整区域では、都市計画法や愛知県独自の開発審査基準に基づいて、建築や開発が厳しく制限されています。市街化調整区域での許可権者は、愛知県知事や指定都市、事務処理市などによって異なります。

開発許可申請の手順や必要書類については、各市町村の窓口や愛知県のウェブサイトで確認することができますが、実際に建築を考えている場合には必ず担当部署への相談、若しくは行政書士へ依頼しましょう。

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