給与ファクタリングの実際の取引内容と契約書を公開します

お金を受け取る人 給与ファクタリング

インターネットで「ファクタリング」と検索すると、「給与ファクタリング」という言葉が出てきます。会社同士の取引で発生した売掛債権を譲渡することは法律上問題ないのですが、ファクタリングという名前を使って実質的にはヤミ金のように高利貸しのようなことをしている業者もいます。

今回は、私が体験した給与ファクタリングの取引内容と契約書についてご説明します。

信用情報と関係ないという給与ファクタリング

私は過去に債務整理をしたものの、個人的な返済もあり、どうにかお金を工面する必要に追われていました。そこでネットで色々探していると、「給与ファクタリング」というキーワードを見つけました。給与ファクタリングを調べてみると、翌月以降の給与債権を買い取り業者に債権譲渡して、手数料を引いた金額を現金として受け取るものでした。そして何より、「借金とは違うので、信用情報機関の調査もなく、信用事故を起こした人でも利用できる」ものでした。

毎月ギリギリの生活をしていた私は、藁をもつかむ気持ちで給与ファクタリングに申し込みました。

申し込みから現金化まで

私が申し込んだのは、給与ファクタリングでは当時大手と言われていた、「〇〇神」です。

電話で申し込み

電話すると丁寧に対応してくれて、勤務先の情報・給与金額・希望の金額を聞かれました。〇〇神の審査では「55,000円まで債権譲渡による買取が可能で、買取金額は44,000円」とのことでした。今考えてみると、1ヶ月で25%の利息がつくのでとんでもない話ですが、どこからも借りれない自分としてはありがたい話だったので、返済のことなど考えずに2つ返事で承諾しました。

給与明細・本人確認書類の送付と大切なキーワード

直近2ヶ月分の給与明細と本人確認書類を指定されたメールに送ると、最終的な審査が行われて、無事に(?)給与債権を買い取ってくれることとなりました。そして、その電話の際に「これから契約書を送りますので、内容を確認いただいたら『説明を受けて、金銭の貸し借りでないことは理解しました。この契約でお願いします。』という文章を書いて返信してください。」とのことでした。

契約書の内容とメール返信

送られてきた契約書はこのような内容でした。

タイトルには「賃金等債権譲渡契約書」と書かれていました。私は法律を勉強していたので「実質ヤミ金と変わらないな」と思いつつも、〇〇神の担当T屋さんの言うとおりにしました。(ちなみに、T屋さんは少し口調がキツメの女性)そして、返信メールはこちら。

指示されたとおり、「説明を受けて、金銭の貸し借りでないことは理解しました。この契約でお願いします。」と書いて返信しました。

確認電話

メールを返信したら、「メール返信ありがとうございます」とT屋さんから電話があり、数時間で44,000円が入金されるとのことでした。そして数時間後には指定の口座に44,000円が入金されていました。当時の私は、「取り敢えず今月の生活費ができた」と思い、来月の55,000円の支払いのことは考えないようにしていました。。。

契約書に添付された別紙の内容とは

契約書の最後に別紙がついており、取引内容を簡潔に書いていました。

よくよく見ると、実質年利300%の消費貸借契約を結んだようなものでした。結局、翌月の給料日にはまず55,000円を支払い、すぐにその次の月の給与債権の55,000円を44,000円で買い取ってもらうのです。実際には毎月11,000円支払っているのと変わりませんでした。

給与ファクタリングの違法性

過払い金請求などで問題になった高金利(出資法の最高利率)でも年利29%だったのに、〇〇神の給与ファクタリングでは年利300%でした。なので最終的にこの会社は、2021年に「貸金業法違反」で役員・社員が逮捕されました。そこにはT屋さんの名前も・・・

給与ファクタリングについて金融庁の見解

金融庁は給与ファクタリングについて、このような注意喚起をしております。

 一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
 しかし、近時、ファクタリングを装った高金利の貸付けを行うヤミ金融業者の存在が確認されています。また、ファクタリングとして行われる取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものは、貸金業に該当するおそれがあります。
 事業者の皆様におかれては、こうした偽装ファクタリングを利用することのないよう、十分注意してください。また、通常、個人としてファクタリングを利用する機会はないと思いますが、「給与ファクタリング」という手法で、個人に貸付けを行うヤミ金融の存在も確認されていますので、こちらについても十分注意してください。

引用:金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起

事業用のファクタリングは大丈夫?

個人の給与ファクタリングが違法と書かれていると、事業者向けのファクタリングは違法じゃないのかが心配になるかと思います。しかし、業者間の取引で正式に債権譲渡(売掛債権の売買)を行う通常のファクタリングは債権を完全に譲渡してしまい、債権の回収義務をファクタリング会社が負うことになります(2社間ファクタリングで取引先に知られないために、債権を譲渡した本人が売掛債権の回収を代行することはあります)。

給与ファクタリングは債権を譲渡した本人が結局自分の財布から支払うので、実際には借金して返済していることと変わりません。この点が事業用のファクタリングと給与ファクタリングの大きな違いです。

ただし、事業用のファクタリング会社にも闇金業者が紛れているようなので、契約内容をよく確認して、「分割支払い」や「返済」といった文言が無いか、手数料が高すぎないか、ファクタリング会社は本当に存在しているか(連絡先が携帯電話だけなどは怪しいようです)、を確認した上で利用しましょう。

まとめ

給与ファクタリングは金融庁も注意喚起しているように違法なので、絶対に使わないようにしましょう。

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